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第42話 小山戦争3

前回のあらすじ

ユウキは<解析>により魔法と忍術の差に気が付く。

スミレは日本防衛軍内での派閥争いを見てうんざり。

「上から見続けても、速いですね」



 魔物の動きを見つめつつ、サクラがユウキにのんびりとした口調で話しかける。



「だね。タマキー、魔石回収しちゃおうか?」



 同じようにユウキものんびりとした様子である。

 二人は既に<魔化>で完全にエネルギー体となり、上空でのんびりと見学をしている。


 タマキが戦っている相手はコボルト。

 スライムのように武器が通じない訳ではないのだが、とにかく速い。

 タマキはともかく、ユウキやサクラでは結界を張って待つ事しかできない。しかもオークよりも強いので、結界で防ぐ場合にしてもEPの消費が大きい。

 そのため、少しずつEPを継続消費したとしても、<魔化>で避難していた方がはるかに消費が少なくなるのだ。



「この1体だけはやる」



 既に黄色ゲート2Fの最終面。

 毎回1体を残してユウキが回収している状況で、タマキもこれが最後の戦いだと思っている。



「それにしても、他の人達は黄色を普通に突破できると言ってましたよね。つまりこれも普通に突破できるんでしょうね」


「オークをあっさり倒したスミレさんを見ると、やっぱり強い人は強いんだと思うよ」



 サクラとユウキが雑談をしている間に、タマキの戦いも終了した。



「お疲れ様」


「ありがと。この武器だとこの辺が私の限界かな。

 それにユウキが1対1にしてくれなかったら、集中しきれなくて戦えなかったと思うわ」


「それでもすごいですよ」


「いつもの武器で戦ってみたかったけど、この場所だと装備できないからどうしようもないわね」


「目つぶしの援護はあまり効果がなかったし、血抜きはなんか、倒してしまったっぽいよね」



 ユウキは魔石回収以外にできそうなこととして検討した内容を実行してみたが、目つぶしはあまり効果が無く、血抜きは抜く量が難しかった。



「コボルトは匂いで追ってきたのかもしれないわね。

 血の量は、うまく動きが鈍るくらい抜ければ役立つかもしれないと思うわ。

 でも魔物によってその辺が違うだろうし、難しいわね」


「魔法も、あれだけ速く動かれると避けられちゃいますしね。

 乱戦のところに撃つには、まだまだ力不足です」


「分身体だけで踊ってた時は笑ってしまったわ」


「だって、コボルト速いんですよ。

 普通に踊ってたら避けられません」


「1回攻撃されると消えてしまうのがもったいないわね。

 耐久のある分身の様なものは無いのかしら」


「どうなんでしょう。

 もしかしたらそのうち出てくるかもしれませんけど、今のところはなさそうですね」


「それ、あっても耐久が高い実体を作り出すってものすごい魔法力が必要になる気がするけど」


「「あー」」



 ユウキの言葉に、もっともだと思うタマキとサクラだった。





「リザードマン、かな?」


「それっぽいわね。あの鱗は、木刀じゃ無理かな」


 サクラが分身して踊り、さらには風遁で強襲。

 タマキも木刀で切り込むが、やはり鱗の部分ではダメージを受けているようには見えない。

 ユウキの目つぶしは効果があるも、手当たり次第に暴れまわられてしまいタマキのフェイント効果を発揮できなくさせてしまう。



「あ、ごめん」


「目が見えなくなったら、そりゃ暴れるわよね」


「魔石回収しちゃう?」


「そうね。目から木刀を突き刺せば倒せる気はするけど、狙い所を読まれた場合は私の腕ではまだ厳しいわ」



 タマキの結論に合わせてユウキは魔石を回収する。



「ならここからは急ごうか。

 どうせなら早く終わらせてギルドで買い物したいし」



 ユウキの希望に特に反論はないタマキとサクラ。

 先ずはその階層の魔石をすべて回収するユウキ。そして魔石のあった場所にある魔物の死体を回収し、それと同じ反応を調べてすべて回収する。

 さらには全員で<魔化>の完全エネルギー状態となって地面に沈んでいく。

 もはやタマキの転移すら必要のない階層ショートカット。


 移動速度こそユウキが普通に走った程度しか出ないものの、横と縦の移動速度が同じというのは脅威である。横の必要移動距離に比べ、縦の必要移動距離というのは短い。

 ユウキの回収はフロア全体を余裕でとらえているためにあっという間に黄色ゲートの最終部屋へとたどり着く。



「これ、普通のゲートだったらもうユウキ1人で十分よね」


「上下でつながっていればもう余裕だね。

 でも階層移動が転移タイプだとタマキの移動術とサクラちゃんのバフがあったほうが効率がいいと思うよ。

 それに、俺一人だと単なる素材回収だし。たぶん<収納>以外はスキルすら上昇しないよ」


「それもそうね」



 そんな雑談をしながらオレンジゲートへと入る3人。

 そこで見た相手は……。



「……これ、普通はどうやって倒すんだろうね」


「ちょっと1回攻撃してみる」



 バキッ!



「やっぱり折れたわね。いくら何でも木刀じゃ金属の塊は斬れないわよ」



 オレンジゲート1Fの相手は、金属の塊で出来ているゴーレムだった。



「雷遁!」



 サクラの手から雷が飛んでいく。



「あまり効いてなさそうですね」


「普通に動いてるね」


「サンダースピア!」



 サクラは手元に現れた雷で出来た槍を投擲する。



「……魔法力が尽きますね」


「とりあえず魔石を回収するよー」



 速度は速くないもののゆっくりと近づいてきたゴーレム。

 ユウキは余裕があるうちに魔石を回収する。



「オレンジが突破できない原因って、これかな?」


「木製武器ではきついわね。

 スミレさんなら殴り倒しても驚かないんだけど」


「魔法も効いているのかどうかよくわからなかったですしね」


「材質も分からないし、解体してみようか」



 ユウキは収納から強化解体用ナイフ+2を取り出し、金属製のゴーレムの死体に触れて<解体>スキルを発動する。



「……魔鉄のインゴットがいっぱいになった」


「え?

 これ魔鉄なんですか?」


「魔鉄の塊のゴーレムって、どうやって倒すのよ」



 魔鉄とは、通常の鉄に魔力が込められている金属である。

 当然ダンジョンの中でしか見つかることは無く、地球上にはもともと存在していない。装備素材として利用すれば使用者の魔力をよく通し、逆に魔法攻撃に対する耐性も高いのである。





 オオトカゲにオーガにミノタウロス。

 ゴーレム以降も次々とユウキに回収される魔石と魔物たち。


 そして黒ゲートの最終ステージまでたどり着いた3人が見た相手は、ワイバーンだった。



「これ、クリアさせる気ないわよね」


「ワイバーン相手に木製装備で挑むって、どう考えても無茶だよね」


「やっぱり魔法が主体になるのでしょうか」


「でも杖だって木製だし、魔法攻撃力とかの装備効果は低そうだよね」


「ラスボスだし、こういうものかもしれないわよ」



 既に魔石は回収済み。

 3人は遠足気分で死んでいるワイバーンを前にああだこうだと騒いでいる。



「とにかくクリアしましょ。

 今できないことを考えるよりも、素材を買いに行きたいわ」


「そうだね。

 最後の相手がワイバーンという情報を届ければ何か分かることもあるかもしれないし」



 まだまだ分からないことだらけの中学生。

 本格的な勉強はこれからなのだから、もっといろいろ知っている人に考えてもらえばいいのである。





<訓練施設『初級コース』クリア。クリア報酬を付与しました>



 最後の部屋へとたどり着いた3人の視界にはクリアメッセージが表示され、二つのゲートが出現する。

 一つは訓練施設からの出口と表示されており、もう一つには中級コース入り口と表示されている。



「……ワイバーンを木刀で倒すのって、初級だったんだ」


「……これで初級って、根本的な想定がおかしいわよね」


「人類ってまだ、初級の途中までしか進めてないってことですよね。

 装備返却場所がありますから、中級は別の装備かもしれませんよ」


「あ、ほんとだね。どうする?

 中級に行く?

 それとも出る?」



 サクラの言葉で装備返却場所に気が付いたユウキは、二人にこれからの事を相談する。



「今回は出ましょ。

 スミレさんからも黒いゲート以降の話は聞いていないし、進むにしても一度話を聞いてからの方が良いと思うわ」



 タマキの決定に従うユウキとサクラ。

 今の装備のまま外に出ると、装備が回収されて素顔を見られてしまう可能性がある。

 そのため偽装装備に着替えてから装備を返却し、出口のゲートへと入っていく3人だった。

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