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第14話 新発見ゲート2

前回のあらすじ:中央都市への移動はそのうち何とかなりそうだということが分かった。

ユウキに新たな課題が見つかった。

土曜日の探索を終了し、カドマツの都市へと帰還した。

「本当に山分けでいいの?」



 ギルドへの魔物の売却を終わらせたタマキがユウキに聞いてきた。

 今はカドマツのギルドで個室を借りている。



「いいよ。タマキが居なかったらそもそも下に降りれてないし」


「でも、倒したのはほとんどユウキじゃない」



 タマキは戦闘をあまりしていないのにそんなに受け取っていいのか迷っている。



「それを言ったらゲートまでの往復時間の方が本来はかかっているんじゃない?

 こうやって簡単に帰ってくる事なんてできないし。俺が一人でやったって、余計時間がかかるだけだよ。そもそもカドマツまでの往復の時間だって考えたら、タマキがいてこその成果でしょ」



 ユウキはユウキで自分一人での成果ではないことを分かっている。タマキが居たからの成果なのだから、当然山分けだと思っている。



「分かったわ。でもEPはそのまま持ってて。既に十分な額だし、EPは嵩張らないから。魔道具に使えるし貯めておいて損はないわ」


「分かった。そういえばドロップアイテムがいくつかあるんだけど、鑑定結果を見ても、どれが必要なものだかわからない」



 そういうとユウキは机と床の上にドロップアイテムを並べていく。床にも出しているのは机に載せたら重そうな物もあったからだ。

 ユウキはそもそものダンジョン知識が足りていない。どういう時に役立つのか、どういう装備が良いのか、その中から自分に合うのはどれなのか。全く選ぶ基準が分からない。



「そうね。私と二人で組むときに、ユウキって結局装備は要るのかしら?」


「今のままで問題ないかな。動きやすいし。ただ、いざとなった時のために攻撃力が高い武器はあった方がいいのかも。切り取る攻撃力というのに関係する可能性があるから」



 ユウキの部分出納の切り取る攻撃力。今のところ魔石の回収でダメだったことは無いけれど、いつダメになるか分からない。

 ユウキはそう考えている。



「そうなのね。であればこの両手斧は収納に入れておいて。実際の攻撃力は分からないけど、この中では何となく一番だと思うわ。レアリティがハイレア級になってるし、両手斧は一般的に攻撃力が高いから」


「確かにそんな感じに見えるね。ところでレアリティって?」


「アイテムの希少度の分類よ。ノーマルの上がレア、レアの上がハイレアよ。星の数が3個ついているマークがあるでしょ。だから星3アイテムって言われたりもするわ」


「これってそういう意味だったんだ」


「そうね。実際は魔法装備の武器が出てくると攻撃力特化とかがあるかもしれないけど。暫定はそれでいいと思うわ。私はこっちの太刀を貰っていい?」



 タマキが選んだ太刀もハイレア級のアイテムだった。



「うん、これも山分けでいいと思うし」


「ドロップアイテムはーって言ってもどれがどれかあまり分からないし、また同じ話になるのよね」


「だね、アイテム類も使いそうにないものはギルドに売ってしまいたいんだけど」


「そうね、ポーション等の魔法薬は念のため持っておきましょ。お金に余裕はあるんだし、他にも邪魔にならないレベルの物は持っておいた方がいいわ」



 この日二人は、既に山分けで1000万Pを超えるDPを手にしていた。それは縦穴を降りた先の魔物がそこそこ強く、そして何よりも数が十分に多かったからだった。


 その後二人はイチゴの町のユウキの部屋へと転移で戻り、そしてタマキも自分の施設へと転移していった。





 翌朝、タマキは再びユウキの部屋を経由して新発見ダンジョンの宝箱部屋へと転移する。迷宮内を確認してみると、普通に進んでいる先頭グループは、まだかなり上の階層だ。当分後ろから追いついて来る事はなさそうだ、というユウキの言葉でひとまず安心しているタマキではあるが、今日中にコアまでたどり着く必要がある。

 明日は学校があり、月曜なのでリセットされてしまうからだ。

 そのため下に降りることを優先し、今は進路上の魔物以外は放置している。



「牛発見」



 そんな先を急ぐ道中、既に魔物はユウキが対処している。タマキでは新しい武器を使っても既に1発で倒すことはできず、危険を伴う事になるからだ。

 本来の戦闘を行うのであればそのような状況下でこそ修行になるのだが、今回はこのゲートへの興味を優先し、タマキは自分の修行は二の次としたのだった。

 これはタマキが一人で戦うのであればユウキは何もできず、ユウキが魔石を回収するのであればタマキは何もする必要が無いという2対1での戦闘にはお互い無力であることも原因の一つだった。



「牛なの? どんな牛?」


「種類は分からないけど、これ」



 ユウキはいつもの様に倒した牛を収納から取り出した。



「ホントに牛ね。しかも大きいわ。この階の牛は全部持って帰りましょう」



 確かに大きい。

 立っている状態だと、ユウキやタマキの頭よりも高い位置に顔が来るくらいには。



「えっと、タマキ?」


「お肉よ。しかも結構強い牛のはず。絶対に美味しいわ」



 タマキはすごく興奮している。



「タマキって肉好きだったんだ」


「美味しいものは好きよ。お肉は力が出るわ。強くなるにはお肉を食べなきゃ。ユウキももっとお肉を食べれば凛々しくなるかもよ」


「そのためには体動かして訓練とかが必要そうな気がするけど」


「それはそうよ。食べて動く。修行の基本よ。一緒に鍛えましょ」


「そうだね。1人でやるよりも一緒に訓練がいいかも」



 ユウキは放課後の自主訓練では何をしていいのかわからなかった。とりあえず走り込みとかをしているのだが、効果があるのかわからなかったのだ。

 先駆者に教えてもらえるのならばその方が良いと考えた。



「先ずは牛よ。この階のボスまでの最短ルートで倒して回収。ボスの奥の宝箱の部屋で午前は終了。その段階で私達の空いている収納に牛を入れてカドマツへ持って帰りましょ。そこで一部は解体したお肉を代金の代わりに受け取って持ち込み調理をしてもらうの」


「そんな事出来るんだ」


「ええ、変な物じゃなければ大丈夫なはずよ」



 先を急ぐタマキに合わせて急いでボスを倒し、奥の宝箱部屋へと到達。ユウキはさっそく魔石と牛の魔物を回収する。勿論その場で牛をいくつか取り出し、タマキの収納にも積み替える。

 それでも階層全部の牛を収納することはできない。



「流石に全部は無理だった」


「仕方ないわね。これだけの量でも目立つだろうし。2往復は、まずいわね」



 既に牛を優先するため、牛以外の魔物は部屋の外へ取り出して放置してある。倒されて放置されている魔物は、30分もすればダンジョンに回収される。

 それはゲート内でも同じことだったので二人とも気にしていない。


 二人は予定よりも早い時間だが午前中の探索を終了した。

 当然美味しいお昼ご飯を食べるために。



 カドマツのギルドでは、二人が大量の牛を持ち込んで驚かれた。

 そして、肉を食べたいので代金の一部を肉で貰おうとしたところ、どうせなら食堂に直ぐに卸すから食堂で食べてくれという事になった。

 解体スキルを使うとすぐに調理できる状態になる。その一部がギルドの食堂で料理として出されることになったのだ。



「このとろける様なお肉、きっとすごいお肉なんだろうね」


「私も高級なお肉なんて食べた事が無いから分からないけど、美味しいわね」



 とても高級なお肉なのだが、二人は普段育児施設で出されているお肉か学校で食べる給食しか食べた記憶が無い。エリート中学と言えども一般向けのメニューは一緒だった。

 ただ、家から持参してくる一部がいるだけで。

 もちろんタマキは一般向けメニューだった。当然コストパフォーマンス重視の安いお肉。同じ肉を食べているという感じがしなかった。



「これ、解体スキルと調理スキルがあれば自分でも食べられるんだよね?」


「そうよ。でも私もどっちも持っていないわ」


「俺も勿論ない。調理は最悪焼けばいいとして、解体スキルってどうやったら取れるんだろう」


「解体スキルは解体の経験を積めば取れるはずよ。魔物を倒して解体し続ける。大変な作業だけどね」


「今はともかく、高校に入ったらほしいね。自分達で食べられるならこれ以上はまずいとか気にしなくていいし」


「そうね、一段落したらそういうのもいいかもしれないわね」



 美味しい料理に満足しながら二人の雑談は続いた。

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