魔法使いと愉快な仲間たち
何かもう慣れました。フェルミアのしょげた姿を見るのも。
「……ごめんなさい」
「あはは、良いけどね……。それでどういう魔法だったの?」
「風の精霊が……望むものの元へと導いてくれる魔法です。風が吹く方向で道がわかるはずなのですが……」
「風なんて吹いていましたか? むしろ今日は風がなくて静かとさえ思いますが。ねぇメアリ」
「ちょっと吹いてたよ。サッ、ササァッて」
「耳も目も悪い耳短にしてはなかなか見所のある子ですね。その通り、風は確かに吹いていました」
「フェルミア、メアリちゃんの表現からすると微風ってこと?」
「はい、精霊が草木を揺らして教えてくれるというものですので」
「あぁ、そういうのなんだ……」
「そおんなの、わかるわけないでしょうがぁぁぁぁぁッ!!」
「だからいちいち叫ぶな雄鶏ぃぃぃぃぃッ!!」
喧々と二人のキャットファイトが始まります。
メアリちゃんとそれを静観していると、
「なんか来たよ」
とメアリちゃんが森の奥を指差しました。
「あ、モズリスちゃん」
走ってきたのは巨大モズリスです。
川から救出した後乾かして森へ帰したのですが、雄鶏さん……じゃなかった、ソフィアさんの怒号を聞いてやって来たのでしょう。
「大丈夫だよメアリちゃん、怖くないからね」
「うん、おいしそう」
「……君も、捕食者なんだね」
もしかして町全体でリスは食料なんでしょうか。
モズリスちゃんは隠しておかなきゃダメですね。
「この子は食べないリスなんだよ? ほら、モズリスちゃん可愛いでしょ。友達だよ」
「友達なのにモズリスをモズリスって呼ぶの?」
「……うっ」
鋭い。
友達の人間ですとは言いませんものね。
やっぱりこの子、頭が良いな。
とはいえ子供は子供。すぐにモズリスちゃんの虜となりました。
「もふもふぅ」
「ね、可愛いでしょ?」
良かったねモズリスちゃん。愛らしさで人間に取り入ったから、食料にされずに済むよ。
「それはそうと、二人ともそろそろやめたら?」
「はぁはぁ……リヴィさんが、そう言うなら……」
「リヴィ様の、ご命令なら……ふぅ……ふぅ」
またです。
そういえば色々と聞き逃していました。
「フェルミアはなんで私の名前を様付けで呼ぶの? そんな気にしなくて良いのに」
「あ、申し訳ありません。では、あの……ご、ご主人様」
「悪化したよ?」
フレンドリーさ皆無です。
「ならその服は? あの時、家に持って来ていたのは見たけどなんでメイド服?」
私の質問にフェルミアはやや緊張したような表情で応えます。
「これは姉がお土産で買ってきたものです。耳短……人間社会でこの衣装は主従関係の象徴だと教えられました。わ、私はご恩を、か……身体で返したいと思う所存です……ッ!」
頬を赤らめて何を言っているんでしょうか、この子は。
「ふあああぁぁぁぁぁぁぁーーッ!?」
どういうリアクションなんでしょうか、ソフィアさんのは。
「リヴィお姉ちゃあん」
メアリちゃんが私の腰をつんつんしてきます。
「ヒューッ」
メアリちゃんと出会ってから、一番頭悪そうな瞬間でした。
やっとこさメインメンバーが揃いました。




