1 ストラテジーよりRPGが好きです
前世の記憶はとてもはっきりしてる。17歳から俺は大工をしており、遂に1週間程前、'国金建設'の社長に上り詰めたのだ。そう、まだ30歳っていう若手だけど腕もあるし判断も良いからよろしく頼むって言われたんだよね。
で、確かその帰り道に車運転してて、バスに正面から突っ込んだんだよね。うん、そこまでは覚えてるわ。
で、ここどこ………?
2000年に突入して速くも20年が経ちそうになってるこの世界に、こんなに綺麗なお城とか、普通に馬車とか通ってる都市あったか?
っていうか、なんで俺生きてんの?頑張って!って俺に声をかけてた医者とかナースさんとかどこ行ったの?
(こんにちは、大石 拓さん)
「うおっ!え!?」
(自分に何が起きたか、十分に理解できましたか?)
急に頭の中に声が響きだす。
「いや、まったく……」
(あなたは1度、元の世界でお亡くなりになられました)
「…………やっぱり…?」
(ええ、ですが、あなたのその培ってきた技術を必要とする世界があり、上手く適合していたのでここに無理やり転生させました)
「…………ほぅ…」
(あまり驚きませんね)
「いや、だってそういうマンガとかラノベとかいっぱい見てきたから、ああ、あの主人公ってこんな気持ちになったんだなぁ~って思ってる」
(そうですか)
「で、何…?勇者やれっての?」
(いえ、違います)
「え?、じゃあ俺何しに来たの?」
(あなたには勇者を育ててもらいたいのです)
「…………」
(驚きました?)
「あ、うん、これはちょっと驚いた」
(それは良かった)
「え、じゃあ、アイドル育成ゲームみたいなことすれば良いの?」
(惜しいですね)
「え?」
(都市育成、いわゆるストラテジーゲームみたいなことをしてもらいたいのです)
「ほ~」
(実は、これから先、しばらくすれば勇者が産まれるという予言があったのですが、いろいろと問題がありまして………)
「言ってみ」
(ええ、今、この国の王様が優しく言ってもクソなのです)
「おぉ……」
(税金を巻き上げるだけ巻き上げて、私利私欲に使い、国民は貧困で困っているのです)
「そこに勇者が産まれたら変な方向に進みかねないと……」
(ええ、そういうことです)
「で、違う世界の死人をわざわざ呼び寄せたのね」
(本当に申し訳なく思っています………)
「い~よ、人様の為になるんだったら全然大丈夫」
(ありがとうございます……)
「どのくらいかかるかわからないよ?」
(ええ、かまいません、私が全力でサポートします)
「じゃあ、これからよろしく!え~っと……」
(ミーティアです、よろしくお願いします)
でもさ、やっぱり少しRPGに憧れはあるよね………