永遠のトライアングル
翌朝。
まだ松葉杖をつき、足元がおぼつかずかない私は、お兄ちゃんの車で学校まで送ってもらった。
父兄とは言え、校内には学校の許可がないと立ち入れない。
私は、お兄ちゃんと正門のところで別れ、ひょこひょことした足取りで、下駄箱まで来た。
私の身長よりも少し高い所に、私の靴はある。
靴を取ろうと少し、背伸びをしたその時──────
私は、右足首に鋭い痛みを感じ、大きく体のバランスを崩した。
松葉杖が右脇から落ち、スローモーションのように、後ろへと全身が倒れていく。
「神崎……!」
その時。
私の名を叫び、私を背後から抱き留めてくれた人がいた。
「守、屋…くん……」
私は彼に支えられながら、ペタンとその場に座り込んだ。
何が起きたのか、よくわかっていなかった。
「馬鹿! 俺がいなかったら、どうなってたと思うんだよ」
危なかった……
本当に、あのバランスを崩したまま倒れていたら、また大怪我をしていたかもしれない。
「怪我、ない?」
「う、うん……。大丈夫、みたい」
「みたい、て」
彼が、ふうーっと息を吐く。
「大丈夫なんだな?」
「うん。ありがと……」
その時、私はその状況にハッと気付き、彼の胸の中から急いで身を起こした。
また、私ったら……!
そんな私を知らぬげに、彼は松葉杖を手渡してくれた。
私は、杖をつき、ゆっくりと立ち上がる。
「あ、守屋君」
彼は、私の鞄とサブバッグを拾い上げ、私に背を向けて、
「これ。持って行ってやるから、ゆっくりと。気を付けて来いよ」
振り返りながらそう言うと、さっさと教室の方へと歩いて行った。
後には、私だけがその場に取り残されている。
私は。
守屋君が好き……
でも。
そんな私を。
吉原君は想ってくれて……
それは、どこまでも交わることのない永遠の三角形のような恋だった。
了
本作は、「十七歳は御多忙申し上げます」本編には載ってないエピです。
色々綻び、矛盾点のある作品ですが、大目に見て頂けたら嬉しいです。