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義妹はやっぱり魔王でした  作者: タンタン
出郷編
9/96

009.ファッションセンス

 防具とは敵から身を守るための物である。

 剣や打撃、魔法から衝撃を和らげてくれれば優秀なわけで外観は付加価値でしかない。

 リストア町で売られる防具の多くは皮製品、または銅や鉄製品といった古来より人族で使われてきた素材が用いられて作られる。

 加工しやすく無名の職人が作った防具は先人の知恵を模倣したもの、つまり既製品となる為、外観はほとんど変わらない。

 たまに売り出されるダンジョンからの装備品も、値段や性能が違うだけで外観は売られている商品と大差ない。


 防具は消耗品である。

 山積みにされている商品を買う目的は、新規購入や身を守る用をなさなくなった防具の買い替えなどだ。

 自分の体に合うものを探す、それが防具選びの正しいあり方だ。

 そこにファッションセンスを求めるべきではない。


 今日は狩りを休んでリストア町で一番大きな防具屋を訪れていた。

 その防具の山を泳ぐように探し回る一人の幼女、アンジェリーク。

 小さい体に合うもの自体が少なく、小柄なドワーフ用の鎧が置かれる一角で試着中である。

 ドワーフの体系は一般的に小柄だが横幅が大きいのが特徴だ。

 アンジェリークはどちらかというと貧弱な体型。

 ドワーフ用の鎧は背丈は合っても横幅が合っていない。

 肩がしっかり外に出ていないので、鎧から二の腕だけが生えているように見える。

 例えるなら、大きめに作った雪だるまに短めの枝を突き刺した姿と言えばお判りいただけるだろうか。

 これを着て戦えというのは無理な話だ。


 そんな訳で苦肉の策。

 体へのフィット感を重きに置いて防具選びをする。

 冒険者にも体格に差がある。

 太った人もいれば痩せた人もいるわけである。

 既製品であってもサイズ違いは作られており、規格外の大きさも稀に作られる。

 特に女性用であれば細身の既製品も用意されており、これならばアンジェリークの体でも腕を出して戦うことが出来そうだ。

 問題は背丈だ。

 当然、大人の女性を意識しての既製品であり丈の部分が長い。

 それをアンジェリークが着ると装備品が本来の意図とは違う状態になるのだ。


 アンジェリークの服選びは間違った方向に行きつつあった。

 一番体に合った銅の鎧は、腰から腿を守る草摺くさずりと呼ばれる連結部分が非常に長く、本来の目的以上に身を守っている。

 そう、アンジェリークの足下まで広がりを見せている草摺くさずりはスカートへと変化していたのだ。

 まるで長いドレスを思わせるように華やかになっている。

 しかも迷彩が理由でほどんどが黒一色といった品ぞろえ。

 なんという事でしょう。

 劇的に着こなしたアンジェリーク、それはもうそれはゴスロリだよと言いたい。

 そっち方面の人には多大なダメージを与えかねないが、生憎ルイス達が戦っている魔物には効果が皆無と言って良い。


 そうなのだ。

 アンジェリークが望まなくとも、着れば装備の様相が変化する。

 前にも何故そんな服装選びになるのかが疑問だったが選びようがなかっただけだ。

 こうしてゴスロリ幼女にかなり近づいたのだが、戦場を駆け巡ってもらうためにも、更に装備を整えることにする。


 装備にファッションを求めてはいないのだが、これで鉄仮面を被らせたら変態チックになってしまう。

 後付けだが衣装に沿った装備品にしないと異様な集団と指さされかねないのでコーディネートを考える。

 さすがにティアラ装備なんてものはリストア町にはなさそうなので、代用として額当てで適当なものを探す。

 こちらも黒っぽく、役割不明な凹凸が付いたものを見つけ装着させると…………あら不思議。

 ゴスロリ風メイドっぽくなってきた。

 こうなると方向性は固まる。

 固めたくはないが固まってしまったのだ。


 草摺くさずりは動きにそれほど邪魔になっておらず問題もない。

 額当てで視界も良好。

 統一感を目指し選んだ黒の皮手袋も良く似合っている。

 これで鍋のフタにお玉を持たせれば料理の達人風戦士の出来上がり。

 そんな事を考えていたら店員がおすすめだと鉄製の黒い円盾を持ってきてくれた。

 扱いやすいし見た目にも理想的な装備と言えよう。

 お鍋のフタは決定だ。

 肩に装着も出来るので、剣を両手で持って戦うことも出来る優れモノだ。

 ホブゴブリンの時も打撃も結構食らっていたし、アンジェリークの体は頑丈だが防御は固めておくに越したことは無い。

 傷つきやすいアンジェリークもこれでダメージを減らすことが出来るだろう。


 最後に大事な足元の装備を探す。

 足下にはもちろん黒色の靴を選んだのだが、素材は皮製品ではなく鉄製にした。

 それには理由がある。

 ダンジョン攻略で一番気を付けなければいけないのは足元だと聞く。

 足を狙ったトラップは毒などの影響が出るものが多くある他、足の怪我は逃亡をも困難にする。

 皮の靴だと素早さは上がるものの、そういった危険が生じやすいのだ。


 完成したメイド風ゴスロリ幼女戦士は、コツコツと足音を鳴らしながら歩き出した。

 装備選びは本当にこれで良かったのか疑問だが、これが現時点で選べる限界である。

 アンジェリークも満足気にしており、体を捻る度に草摺くさずりが宙を舞っている。


 ルイスも皮の鎧、円盾、額当て、鉄の靴を選び清算する。

 合計3980ルピのお支払い。

 それに鋼の剣も一本だけだが買い替え、予算内で装備を整えることが出来た。


 アンジェリークの分は次回購入予定として、リストア町で買える防具としては全て整った。


 後は手に入れた物を装備していくことになりそうだ。

 リノア村に訪れた冒険者が自慢気に見せた装備品の数々を思い出す。

 ダンジョンではどんな装備品が出るかまだ知らないが、いよいよ攻略出来るとなって期待が高まる。

 そうだ、ダンジョンについても色々聞いておきたいからハルク爺のところも行かなきゃ。


 隣のゴスロリ幼女といつものように手を繋ぐと、その足で情報を集めに冒険者ギルドへと向かうのであった。



――



 いつもの場所。

 カウンターの奥で片肘をついて酒場に集まる冒険者を眺める男。

 ハルク爺の定位置ともいえる場所は奥まった場所だが入口が良く見える。

 朝、慌ただしく依頼の斡旋や仲介を終えると、依頼を終えて冒険者が帰ってくる夕刻まではとても暇だ。


 これはハルク爺の仕事が暇だというだけで、酒場には結構人が残っていて忙しい。

 此処に残っている連中は冒険者とは名ばかりのアル中共で、ハルク爺と違い五体満足なくせに昼間っから酒を飲んでいる。

 そしてハルク爺に不機嫌そうな顔で睨まれるのを避け、自然と視線を外している小心者が揃っている。

 不機嫌そうにしているのは顔つきの問題で、別に彼らに対して苛立っているわけではない。

 力があれば冒険に出れば良い。

 嘆いて酒を飲むのも一つの選択だ。

 無謀に挑んで死ぬ必要はないのだ。


 かつてハルク爺が組んでいたパーティはユーラジア大陸では知らぬ者がいないほど有名だった。

 ダンジョン攻略で名を成すだけでなく、メルキオ公国の傭兵として働き、国境での戦線で活躍したと言う。

 数万の敵軍に対し僅か四名で撃退したやら、敗走する殿を務めて味方の窮地を救ったやら。

 真偽はともかく、その手の話が多く語られるパーティの一員だった。

 ハルク爺はその中で斧を振らせれば敵が消し飛ぶと恐れられ、味方の矢面に立つパーティの守備前衛ガーディアンを務めていた。

 不慮の事故で片足を失うまで、ミノタウロスの斧を片手で振り回しオーガですら真っ二つにする剛腕の持ち主。

 幾多の戦場でも大きな傷を負う事もなく信頼も厚かった。


 パーティは無謀に挑んだつもりは無かったが、あるダンジョン攻略でパーティは解散することになった。

 その時ハルク爺は片足を失ったが、それが原因で心が折れて冒険者を辞めたわけではない。

 これを機に引退して冒険者ギルドのカウンターに座り余生を過ごす事を自ら望んだだけだ。


 自分が到達出来なかった英雄クラスの力を持った者はきっといるはず。

 次世代の強き冒険者が現れるのに期待し、この場所で彼らの活躍を見守ろうと決めたのが約十年のことだ。

 その噂を聞きつけた新米冒険者が話を聞こうと、引退当初はリストア町でギルドを守るハルク爺の元に大勢が押し掛けた。

 話を聞き終えると、彼らは皆一様にハルク爺の持つミノタウロスの斧に憧れ、手に入れるべくダンジョンを目指して行った。

 だが不幸にもハルク爺の話で夢を見た者の多くが命を落としていき、自分を超える次世代の強き冒険者はいないのだと思い知ることになる。

 いつしか不機嫌そうな顔になり、弱き者が話を聞きに来ることもなくなった。


 だから、この小さき冒険者達がダンジョンに行くと聞いて不安しか感じないのも当然だった。


「最近、実力をつけておるのは認めるが、本当に二人だけでいくんじゃな」

「ハイオークも二人で倒せたんだ。もちろん、ちゃんと装備も整えたよ」


 ルイスは真新しい鋼の剣を少し鞘から出して見せる。

 手入れが行き届いており、切れ味は良さそうだ。

 アンジェもドレスアップした防具で回転して見せ、準備が整っていることを誇示した。


「だからダンジョンについて詳しく知っておきたいんだ。ハルク爺さんなら色々聞けると思ってさ」

「うーむ。教えてやるのは良いが…………ええい、ちょっと待っとれ」


 そういって奥に引っ込み棚の引き出しを開けて探し始めた。

 引き出しの数はそれほど多くないのだが、事務的な仕事が苦手なハルク爺は全ての棚を開けていく。

 やがて契約時と同じように差し出された紙には、階層の特徴と魔物名が箇条書きにされていた。


「あのダンジョンの正式名称は修練の洞窟と言っての。7層からなる初心者向けのダンジョンじゃ。出てくる魔物は全て魔獣系。しかも最後のボス以外は魔法を詠唱せん魔物ばかりじゃ。剣術で相手に専念できる意味では初心者向けに違いないわい。じゃが複数で現れるボスもおるから油断は出来んぞ」


 そこまで言ってルイスに渡した紙の一文を指し示し話を続ける。


「階層は階段で繋がっておるが、一度言った場所なら魔法陣でいつでも行けるようになる。お前さんらならまずはB1Fのアルミラージが相手にせねばならん。ウサギに角を生やした魔物でちょこまか動き回る厄介モノじゃ。奥には大ザルの魔物が階段を守っておるはずじゃが、名前はオウルベアと書いてあるのぉ」

「オウルベアならサルじゃなくクマだよね」

「まぁそんなことはどっちでもいいわい。とにかく動きは遅いが堅いやつじゃ。お前さんらなら捕まることはないが油断できんぞ」

「ありがとう。まずはオウルベアを倒さなきゃ先に進めないってことだね」

「そのオウルベアの肉はうまいのか?」


 食欲担当のアンジェリークが会話に割り込んでくる。

 パーティの要として情報収集してくれるのは良い傾向だ。

 アンジェリークにとって良い魔物かどうかの基準は肉であり、知るべき重要な情報と言えよう。


「ヒャーハッハッハ、お嬢ちゃんは相変わらず豪胆で食いしん坊のようじゃな。がーしかし、オウルベアの肉は食べられん」

「まずいのか?」

「そうではない。まー洞窟の魔物はどれも倒したら消えてしまうからの。肉が欲しいならアルミラージが出すはずじゃ。それで我慢することじゃな」


 アルミラージの肉と言われても想像出来ないらしい。


「ちいさいが美味い肉だ」


 ルイスの補足にアンジェリークは頷く。


「美味い肉か。それなら沢山狩るのじゃ」

「肉ばっかり食わないで野菜も食わないと背が大きく伸びないぞ」

「誰情報なのじゃ!野菜は薬草だけで沢山なのじゃ。食わんでも背は伸びるのじゃあ!」


 野菜嫌いのアンジェリークは肉以外の情報には納得しなかったらしい。

 背の事も気に障ったらしく、ルイスは腹を殴られた。

 その後、ハルク爺に肩車をされると、ルイスを見下ろして勝った勝ったと喜んでいた。

 一通りの満足に付き合うハルク爺にしてみれば孫を扱う気分だろう。

 片足でよろけながらも一緒になっておどけて遊んでくれている。


「さっきの話の続きなんだけど、回復してくれるような魔法使いなら紹介してほしいな」


 肩の上で燥ぐアンジェリークを下すとハルク爺は顔をしかめた。


「そいつは難しいじゃろうな。お前さんらが力不足だからってことじゃない。この大陸に魔法使いは少ないんじゃ。有能なれば、こんな場所ではなく士官する道を選ぶじゃろう。金と待遇が違うからの。それに魔法使いの多くは貴族や金持ちが多いと聞く。小さいころから修練を積まぬと魔術は身に付かぬそうじゃ」


 どうりで魔法を使う者を見かけないわけだ。

 ここにいる連中は皆鎧を着こんでいる。

 つまりは戦士系だ。

 せめて俺が回復魔法だけでも使えるようになれば楽になるのだが。

 欠かす事なく修練をつんでも、一向に開花する様子の無い魔法使いとしての才能が悩ましい。

 そろそろ家から持ってきた薬草も底をつきかけているので、新たに買い足そうか悩んでいたところ。

 まだまだアンジェリークには野菜代わりの薬草を食べてもらう日が続きそうだ。


 宿屋に戻ると買った装備に油を差し、戦闘中を想定した動きで微調整などをしていたら、その日はあっと言う間に終わっていた。

 必要な情報も手に入ったし、明日からダンジョン攻略に乗り出すことにしよう。



――



 意気揚々、ダンジョンへと続く道。

 入口付近は囲われ、鎧を着こんだ衛兵が立っていた。

 ダンジョンは国の財産であり、維持管理税という名目で入る者には通行料を取る。

 これは魔物が溢れ出るのを防ぐ役割もあり、どの国でも当然のように配置、徴収する。

 当然、形骸化していてほとんどの場合、現役を退いた老兵がこの任務に就いている。

 ダンジョンから魔物が溢れ出たという事例は少なくないが、屈強な兵士を常に配置するほどのことはないというのが本音だ。

 もっとも本当に溢れ出たなら常駐する衛兵で対処できるわけもなく、近隣の常駐する軍に連絡する役目を担うことになる。

 ここなら城塞都市カトレアにも近く、数週間もあれば軍が駆け付け鎮圧してくれるだろう。

 その間、リストア町の民は冒険者などを雇い防御を固めて待てば良い。

 脅威はあるがダンジョンは町にとってマイナスとはならないのだ。


 ところで、その維持管理税を町ではなく冒険者が払わなきゃいけないのは納得いかないところでもある。

 理不尽な気はするのだが、それでも入る者が絶えないのはダンジョン内はそれだけ魅力のある場所であるからだ。


 ルイスから通行料を受け取った衛兵は、二人で入ると聞き無謀だと話す。

 初心者用とはいえ早い者でも一年、遅い者だと十年かかっても攻略出来ないらしい。

 せめて修練の洞窟で組める六人パーティにしてから入った方が良いと忠告はされた。

 ここで衛兵の忠告を聞くくらいなら、ハルク爺のところで耳を傾けていたので当然のように無視する。


「待ってたぜルイス」


 近辺で修練の洞窟の地図を売る者を見かけ買おうか迷っているルイスは声をかけられた。

 試練以来見かけなかったが、あの酔っ払いのバガナだ。

 ふらつく腰を持ち上げ、ルイスに軽く手をあげて近寄ってくる。

 気さくに声をかけてくれるのは良いのだが、相変わらず酒臭い息を吹きかけてくるのは困りものだ。


「お前ら修練の洞窟に行くんだろ?俺も暇だから付き合ってやろうと待ってたんだよ」

「ハルク爺にでも頼まれたのか。なんか頭上がらない間柄みたいだし」


 そう言われて気まずそうに頭を掻く。

 惚ければいいのに、嘘をつくのが下手らしい。

 言い訳をしても無駄だと感じたようだ。


「違うって言っても通らないよな。そうだよ、頼まれたんだよ。ただ俺にも利益があるから引き受けたんだ」

「どんな利益だよ。子供二人の面倒なんてギルドの連中も嫌がってたじゃないか」

「普通はそうだろうよ。子供の実力なんてたかが知れてる。だが俺はお前の腕をそれなりに見たわけだ。その上で俺が指導すれば、そこらの連中よりは使える剣士になると感じたわけよ」


 ルイスを評価している様だが妙に違和感がある。

 まだ本音で話していると思えない。

 なにより子ども扱いして話を脱線させようとしているのが見え見えだ。


「でー、バガナの利益は?」

「チェッ、素直じゃねぇガキだな」


 疑われているのが分かってバガナは面倒くさそうに言った。


「わーったよ。俺がお前らに剣の使い方を教えてやる代わりに、修練の洞窟で得た報酬の半分を俺がもらう」

「取りすぎじゃねぇかよ」

「いーや、お前らのピンチの際には殿を務めてやるんだ。言わば保険だよ。安心なダンジョン生活を過ごすなら、俺って存在は良い買い物だぜ」

「でもなぁ、そんな面倒しょい込まなくても、バガナだったら一人でも十分楽な生活ができるだろ。いくらハルク爺の頼みだからって、なんでそこまでするんだよ」


 話せば話すほどバガナの話はうさん臭くなる。

 ジト目で見つめるとあっさり吐露するバガナ。


「あーもう全部話してやるよ。俺だってハル爺だけなら断ったさ。しかし女主人ティファに言われちゃ断れねぇんだよ」


 観念したように話して聞かせてくれた。


「正直、俺も困ってるんだよ。酒場のツケを急に全額払え、でなきゃリストア町で酒は飲めないと思えってさ。俺は散々借金を残してグータラな人生を送って死ぬって夢があったってぇのに、お前らのせいで台無しだよ」


 ルイスに八つ当たりされても困ってしまう。

 要するに女主人ティファに脅されたわけだ。

 バガナの日頃の行いが招いた結果なので同情はしないが。

 それにしても、なんで俺の周りは世話焼きが多いのだろう。

 むしろそちらも不思議なので聞いてみたのだが、「そんな答えはハル爺にでも聞きな。俺は知らない」と急に素に戻って突き放されてしまった。


 後日、周りがしてくれる一連の働きは加護の一つにあると分かるのだが、今のルイスは気づくはずも無かった。


「ここまで聞いたんだ。受けるよな」


 拒否は認めないと言わんばかりに力強く肩を叩かれた。

 断れば酒を飲めなくなるのだから、強引にでもついてくる気だ。

 こうして剣士が一人増えただけのバランスの悪いパーティが出来上がった。


「オッケー、今日から俺達はパーティだ。よろしくな」


 バガナとパーティを組むことになったが、今回はコーカオンは鳴ることはなかった。

 理由を聞いたらパーティは組んでも仲間とはならないそうだ。

 パーティは仲間じゃないのか、そんな疑問はあるが鳴らないのは誰のせいでもない。

 ともかく迷宮に進むことにする。


 ルイス達の前には、暗闇が拡がる修練の洞窟が口を開いて待ち受けていた。

初めて感想もらいました。

誰も読んでくれてないのかと思ってたから嬉しかったです。

読んでるよってだけでも良いので書いてくれると励みになります。

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