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始まりの解説
空を、自在に飛び回る
天狗様が、その岩山に、住むと言うが
その姿を見たものはおろか
たびたび
その場所では、無残な、死体が上がっていた
どれも、体中を切り刻まれると言う
奇怪な死にざまであり
その山に近づくものは
居ないと言う
「先生、今日こそは宿に泊まりましょう」
牛の尾っぽのような後ろ髪をした女が
そう言って、汚い吹き流しを着た
金色の髪の男に、そう言ったが
男は、雲一つない空を
なにかを、探すわけでもなく
ただ見ている
少女は、その男の気を引こうと
色々やけっぱちとも思える
大嘘を吹いたりするが
結果的に男が振り返ることはなく
ただ、歩き続けるのである
今宵、お話ししますのは
血のような赤い髪を
先に結んだ細身の娘と
沢庵のような黄色い頭の
不潔な男の化け物退治の一話でございます