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◆ドSとドMはメガネな関係の巻◆

こんばんわ、楽しんでいただけましたら嬉しいです(☆∀☆)


「……いやです」


 ゆきなから呟かれた一言……消え入りそうな声が絶望の淵から洩れた。


 もう気丈に振舞う気力もない。


 唯一できることは両目を閉じて現実から意識を逃避させることぐらいだ。


 そして、ただ、悲しみに明け暮れて涙を流すことだけだ。


 その場所は薄汚れた異臭漂う家畜の住処のようだった。


 剥き出しの床は沢山のくぼみがあり昨夜の雨で湿ってしまった藁が乱雑にひかれている。


 ブロンドの前髪が御簾のように顔をかくして表情は窺い知れない。


 ただ、ボンヤリと涙を湛えた虚ろな瞳が切なくて、とても寂寥感が漂っていた。


――助けてください。誰か――


 心痛な叫びだ。


 ここに捉えられるまでに一波乱も二波乱もあったのだろう。


 豊かなブロンドヘヤーは泥濘に頭から突っ込んだように小石と泥まみれだ。


 前髪に隠れていたアイオライトをおもわせる碧眼から落涙した雫が頬を伝って一滴、二滴と露わになっている太腿にポタリっと滴る。


 我が身の絶望を想うと涙腺を止めることができなくなる。


 絶望的な恐怖心とこの場の不安感が本能を侵食して痙攣のようにプルプルと身体全身を小さく震わせる。ゆきなは力無く膝を抱えてその間に顔を埋める。


 凄く怖いのだ、歯が立たず抗うこともできない。


 不甲斐ない……非力すぎる。


 ゆきなは下向きかげんでまるまりながら絶望の淵にたっていた。


 ここは監獄島中央部に位置する盆地地帯。


 周辺を高木林で敷き詰められた山地に囲まれた低く平らな地形だ。


 そこには集計と呼ばれる執行者達の大規模な本陣がどっしりと鎮座していた。


 執行人達の戦略拠点である集計には大きな檻が三つあり、各地域で執行者達が捕獲した若い女性の妖怪を檻に閉じ込めて捕縛していた。


 それはもちろん繁殖のためだけに生かされた捕虜である。


 檻には特殊な呪術が施してあり、内部からは絶対に開ける事ができない。


 檻の入り口には監獄島の古代用語『パテラマ』とかかれた板が無造作に立てかけてある。その言葉の意味は『生殖専用』その檻は特別に容姿に優れた妖怪が軟禁されていた。そのメンバーはゆきなを含めた八体の妖怪。


「あの女……ムチムチ、すぐにやりたいの」


 下賎な声だ。


 『パテラマ』の檻は遊郭の見世物小屋のように丸見えで外から好色や色欲の溢れた性的欲求の強い執行人達の劣情視線で溢れかえっていた。


 これは色欲の強い執行人達の士気を上げるための手法であった。


――明日になれば――


 ゆきなは恐怖で身震いが止まらない……そして身震いの止まらない奴がもう一体(こちらは上空の気温の為に(涙))……きりもみ止まらないままの人間弾丸は奇跡を発動させるために爆音ともにゆきなの元に舞い降りた。


 ドゴーン!


 モクモクと砂煙が舞い上がる……耳を劈く爆音が集計の中央広場から響いた。


 その音はゆきなにも届いていた。


 暗く沈んでいた意識を現実世界に引き戻すに充分な音量だった。


 ゆきなはうなだれていた相貌をあげる。

 

 虚ろだった眼差しは何やら騒ぎがおこっている中央広場に向けられた。


 ゆきなは視力がとても良い。


 自然児として育っているせいだろう。


 瞳にはっきりとした視覚的情報が飛び込んでくる。


 そこに……見覚えのある顔が。


 「……兄っち?」


 その声は小さかったがあきらかに先程までとはニュアンスが違った。


 暗く閉ざされた未来に一筋の曙光がさした。


 希望と驚きの入り混じった言葉が荒れたくちびるから零れた。



 零れる……もう、零れようがない程、俺はプライドが引き裂かれていた……。


 地面にどでかい穴を開けた。もちろん不可抗力なのだが……野外テントなどが乱立する集計の広場で俺はむっくりと立ち上がり、砂煙の舞った視界を掻き分けるように辺りを確認する。


 流石は集計だった。予想に反せず筋骨隆々の執行人達がわんさかといる。

しかも珍しそうに俺を見つめながら。


 そんな危機的な視線を一身に浴びながら俺は別の議題で頭がいっぱいだった。


 オリムラ! 下半身露出空中浣腸の刑の恨み……晴らさずにいられない、額に青筋を立てながら俺は必然と決意する。


 絶対に生きて帰る! そして、オリムラ……殺す! 超絶な決意を胸に秘めた俺の肉体から黒い瘴気が上がりはじめる。


 苦しさが増す……魂が融合していく感覚がしっかりとつかみとる。


――仕掛ける――


 と心に響く大飛丸の声。


 中央広場の騒ぎに駆けつけた執行人達の数は三百程度に膨れ上がっている。


 その視線は全て俺に注がれる。


 大気圏外無重力を体感しているように足が地面から剥離され身体が宙に浮かぶ……えっ、大飛丸、飛べるならなぜ……俺は落下して地面に大穴をあけたのですかーっ!?


 思考回路に疑問附が乱立するが、それをかき消す程の衝撃が俺の羞恥心を刺激した――それは事前にオリムラに聞かされていた情報が知識となり俺の

心のアラートを激しく可動させた。


 まて、大飛丸、飛ぶな、飛ばないでくださいーっ! 


 執行人の五体に一体はBLの疑いありとオリムラが言っていた……これ以上、下半身を見られては婿の貰いてがなくなってしまいます、およよ……などと言う俺の切なる願いをばっさりと無視して……赤絨毯のハリウッドスターのように注目の的になる俺……執行人どもが下半身丸出しの俺を好色の瞳で見上げる。


 ――弾けろ――


 大飛丸の叫びに大気中のプラズマ粒子が勢いよく動き始める。


 神秘の輝きを連想させるパープルの雷光が大地に舞い降りると集計を覆うように呑みこんだ!


――うぉぉぉ――


 樹枝状のパープルの雷光が集計にある生者や物品を貫き荒れ狂う死神の如く執行人の命を狩っていく。ぞっとするほどの阿鼻叫喚の世界が体現されていた。


 俺を取り囲んでいた包囲網は全て灰と化した。


 そして、今の一撃は俺の上半身の衣服もあっさり炭にかえた!


――だれかーっ、葉っぱでもいいからどうか俺にお恵みください(涙)――

俺の羞恥心も本格的に弾けてしまいそうです。


 灰塵と化した集計と俺のプライド……ただ、檻だけは呪術の力で雷光から庇護されていて無事だ。


 大飛丸の魂の連動が弱まる。


 それは大飛丸の意思の束縛が弱くなったことによるものだ。


 大地に降り立った俺……ち○こまで丸出し……もう完全な露出マニアの域に到達している。


カチャン……


 青磁が割れるような甲高い音が俺の聴覚に響く。


 良くも悪くも目的そのものが近づいてきている。

この瞬間のために俺は羞恥心を投げ捨ててやってきたのだ。

もう後にはひけない。


 風の悪戯だろうか? 砂埃が舞っているために視界が不明瞭。


 俺はばったり鉢合わせしてもいいように全神経を研ぎ澄まして警戒する。


 突然、右足にひんやりとした。


 ジャリジャリ――


 魔力をおびている鈍色の細鎖が生蛇のように大地を張って、両足に絡みつき俺の上半身めがけて駆け昇ってくる。


「ほほっ、私の鎖に触れても生気が枯れぬか……精力絶倫だな」


 それは称賛と探究心の入り混じった建設的な好奇心が色濃い声だった。


 その声を待っていたかのように一陣の風が吹く……劣悪な視界に血なまぐさい臭いの砂埃が完全に流されていく。


 明瞭になった視界。


 俺は頭の中で素早く今起こっている状況を整理する。


 結論から言うと……俺の肉体(地肌)は綺麗に細鎖で縛られていた……ってき、亀甲縛りではないかーっ!


――あれっ、声の主……プリンプリンのめっちゃ巨乳……ひゃっほい♪――


 素っ裸で細鎖によりあられもない姿の俺の前方に、ボーイッシュな白銀の

 髪、見目良い端正に整った鼻梁。


 艶美と怜悧があわさった雰囲気、まるで、美の女神アフロディーテが現世

に舞い降りたような……何よりおっぱいがおっきいぞーっ!


「どうした? 抵抗しないのか。それとも縛られるのが好きなのか?」


――はい、好きです……貴女に瞬殺で恋しました……などといえるかぁーっ、だけど、今の俺、ちょっと爽快感で胸がいっぱいだーっ!――


 白銀の髪の女性はニッコリ微笑み俺の胸(右乳首辺り♪)に柔らかな手で優しくなぞる……や、やばい、胸には突起型の二つのスイッチが、あぁぁぁぁぁ……突然、優しく右側の突起スイッチがつままれた。


「ここか……」


 ドスッ!


 快感を与えてくれていた、柔らかな左手からでは想像もできない力で俺の皮膚と大胸筋を突き破る。


 吹き上げた鮮血など歯牙にもかけず大胸筋から内・外助間筋をこねくり回すように手を動かし、何かを探るように体内を蹂躙する。


 そして、その手は何かを掴む。


 肉体を突かれようが切り裂かれようが今の俺には反撃する術がない。

意識の中で大飛丸に訴え掛けるが返答がない。


 痛みは全くないのだが気持ちの悪い感覚が体内を駆け巡る。


 引き抜かれた手にはぼんやりと銀色を宿している魂が握られていた。


「これが、大飛丸の魂か……」


 銀髪の女性は息を吐くように嘆息するとペロリとくちびるを舐めて薄ら笑いをうかべる。


 それは絶対的な自信からくる嘲笑だ。


 心臓の拍動のようにドクリドクリと脈動する大飛丸の魂を左手で握りしめると銀髪の女性の唇がうごく。何か短い呪文を呟いている。


 俺は一瞬息が詰った。


 いや、息というよりも魂が切り離されたような痛みが走った。


 煌びやかなプリズムが波動となり天に突き上がる。


 それは大飛丸の魂が昇華していくということだ。


――ひよっこ……すぐに逢える……意志を持て……進め……――


 その想いには憎しみは感じられない。


 戦友に送る確かな想いが込められていた。


 同時に大きな力を削がれたことに間違いはない。


 だがここで諦めるわけにはいかない。


 つくしや仲間達との約束は軽いものではない。


「さて、どうする……もう、手ゴマは尽きたか」


 蔑みの目だ。銀髪の女性の歪んだ笑み。


 鮮血に塗れた手がそっと俺の頬に触れるとインディアンのしるしのように斜めに指をはわせて血を二度、三度と塗りつけていく。


 恐怖が張り付きそうなこの状況下でも何故か俺に動揺の色はなかった。


 不思議な懐かしさが込み上げて来ている(この人、面識がある)何故かそう断言できる自分の意志。


 ただ、俺の脳内ライブラリーには存在しない記憶……俺自身の魂が今の俺に訴えかけてきている感覚だ。


――いやはや……ついに万策尽きた……はっ、そう言えば……もともと策なんてないじゃん☆ なら状況からして初めから大ピンチだったのでは!?――


「まさか、露出しながら空を飛んでくるとは。男色趣向が強い執行人に対して有効的な奇策であった。ただ、さしずめ、ドールマスターを殺せばよい程度の単純すぎる無策極まりない軍略でここに来たのだろう、浅慮だな」


 うわぁー、全て見透かされているーっ!


「浅慮でけっこうだ。ドールマスターとバルケッタの双方を殺る予定だったからな。チチがでかいからってあまり俺を見下すと乳首が痛いめにあうぜ」


「乳首が痛いめ!? ふふふっ、絶倫男は捨て台詞もエロだな」


 表面的には強硬姿勢を崩さない俺に「クスっ」と小さく馬鹿にしたような笑いを零す。


 銀髪の女性は魔力のおびているしなやかな指をくいっと上にあげた。


 ――えっえっ、細鎖のしめつけが……うっうぅぅぅぅ、やめてぇぇぇ、男の尊厳がつぶれるぅぅぅ――


 「あうっ」と小さな悲鳴をあげる俺にうっとりと満足そうに銀髪の女性はさらさらな銀髪をかきあげて瞳を眇めた。


「ふふふっ、無知とは恐ろしきものよ。ドールマスターとバルケッタは同一人物。そんな事も知らずに出てくる、勇気、いや、無謀さだけはほめてやるぞ」


 バシリっ!


 ビンタ一閃!! 振りあげられた手が俺の頬を弾く。


 その勢いで大切なグリグリメガネが吹き飛んだ……こいつ、メガネは顔の一部なのだぞ、銀髪め! こいつはSもドS、超絶ドSだ!


 頬が痛い。胸をえぐられても痛みを感じないのに。


 俺の痛覚はどうなっているのやら。


 くちびるから顎に向い鉄分たっぷりの赤い液体が滴り落ちて大地に吸収されていく。


 怒り心頭でキッと刺すような視線を放つ俺の顔を見て固まった。

そして、大きく目を見開いて俺の顔をまじまじと舐めまわすように見てくる。


 ――おっ、もしかして――


 ひらめきが一瞬スパークした。


――あの時の夢の女の子銀髪だったな……駄目もとでチャレンジ!――


「夢と奇跡を……現実のものとされましたね……カノン、安心いたしました。さぁ、その手で私を(あや)めくださいませ」


 とこんな感じだったような……夢の中のカノンは。


 ポカーンと口を開いて大きな瞳を更に大きくしてドリーミ―的に放心状態となった銀髪の女性……よし、やれるぞ、夢を思い出せ俺!


 自分の魂の奥底に促されるままに、込み上がるままに言葉を紡ぐ。

「どうなさいました……シャル様の御手にて……」


 あれっ、急に細鎖の束縛がとけたぞ。


 ガシャガシャ……


 重力に引かれるままに細鎖が大地に落ちていく。


 それは銀髪の女性の戦意が消えた証明だった。


「……今、シャルと……その幼名を知る者は世界で二人……私とカノン……」


 信じられないといった表情だ……銀髪の女性は、驚きのあまりピクリとも動かない。


 だが、突然、銀髪の女性が俺の額を鷲掴みする。


 その動作に懸命さが伝わってくる。


 今までの嘲笑的なニュアンスは完全に消えた。


 そこには失ったものを探すような必死さが全面に現れている。


「見せよ! 大友ゆうきの魂の旋律を……」


 凄まじい魔力が大気を震わせる。


 突然、俺の額から魂が剥離されるような感覚が全身の痛覚と連動するように走る。


――ぎゃゃゃゃゃゃぁぁぁぁぁぁぁ! 痛いぞぉぉぉぉぉぉ!!――


 あまりの激痛に悲鳴もでてこない。


 眼輪筋や口輪筋が硬直してしまいそうなほど眉間に皺が集まりぐっと瞳を閉じる……どっと汗腺から吹き出す大量の脂汗。


 ああっ、一糸まとわぬすっぽんぽんで女性にアイアンクロ―をされながら死にたくないよぉ(涙)


――も、もうダメーっ、失禁しました……だ、だ、だ、だれかぁぁぁ、たすけてぇぇぇ――


 と心で叫んだ刹那、全身を覆っていた痛みが消える。


 そして……ぱふぅっと柔らかな二つの感触が俺の顔全体を覆った。


 おそるおそる……目を開ける。


 でっかいおっぱいに挟まれる俺……至福です。これはご褒美ですか、Sばかりではないのですね、女王様ぁぁ……と鞭のあとの飴に歓喜して脳細胞が小躍りしている。


 俺は視線を上にあげると、瞳いっぱいに涙を溜めた銀髪の女性。


 先程までとは打って変わって柔和と罪悪感が渾然一体となった複雑な表情だった。


「カノン……ごめん、痛かったよね、私、私ったら……ごめんね」


 滂沱の涙が俺の相好に降り注ぐ。


――こ、困った、今更、俺、カノンじゃないですよ・てへ☆――何ていったら間違えなく殺されるぞーっ。


「転生して逢いに来てくれたのだね……邂逅……千年の魔法が引き寄せてくれた」


 愚直なまでにまっすぐな数多の想いがこもった感情が『もう、離さない』と言っているように更に力を込めて抱きしめてくる。


 一分前まで俺を殺そうとしていた相手。これはおかしなことになった。


――うひょーっ、おっぱい柔らかすぎますよ――


 ただ、俺の思春期の煩悩だけはかわらない。


 俺は成長期で伸び盛りにはいったしまったビックジョンがバレないように腰を引く。


「ええっと……今更で申し訳ないですが……俺は大友ゆうきです」


 もう、殺されることはないだろうとたかをくくって勇気をだして告白する。


 初めての御使いぐらいの冒険心と緊張しながら訥々と言葉を紡ぐ。


 涙目できょとんっと小首をかしげた銀髪の女性は心から喜び溢れる笑みを浮かべた。


「そう、貴方は大友ゆうき、そしてカノンでもある稀有な存在」


 そう言うと、銀髪の女性は天高く右手を掲げた。


 その姿は気高く誇り高き女神を連想させる。


「カノン、幼少の名シャルではなく、今の私の真名バルケッタ。明日、もう一度、カノンに逢いに行きます。何処に居ても……」


 喜びに満ちた感情がはっきりとつたわってくる。


 悠久の彼方から待ち望んでいた出逢いだったのだから。


いかがでしたか?

クスッと笑って頂ければ嬉しいです(☆∀☆)

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