表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方幻想人  作者: 黒方
1/3

プロローグ

作「前書きって何書けば良いか全然分からない」

狂「本編の内容でも少し書けば?」

作「なるほど。

死にかけの狂夜!

紅白の巫女現れる!

元最強の傭兵は自分の出生について知る!と、こんな所か」

狂「…………まあ、お前がそれで良いなら良いけどな」

作「よし、とりあえず本編の内容を3文で表すのを当面の目的にしよう。

それでは本編の始まりです」

足がもう動かないと悲鳴を上げている。

気を抜いたら今すぐ倒れてしまうぐらい体力がないにも関わらず、俺は決して走ることをやめない。

何故なら………

『人間だ!久し振りの食い物だ!!』

『外から来た人間だ!

食べても良いんだ!』

「食われてたまるかあああああああ!!」

現在進行形で命の危機だから!!

血走った目で追い掛けてくる何かから逃げながら、俺はこんな状況になった経緯を思い出していた。

―――――――――――

その時俺は登校中だった。

「はあ〜〜、今日も面倒くさい授業があっ!?」

歩いていたら突然、道がなくなり俺は何かに落ちた。

「な、なんなんだこれぶへっ!!」

数秒の浮遊感の後、俺は顔から地面に落ちた。

「ぎゃあああ!!いてえ死ぬ―――!!」

俺は痛みが引くまでゴロゴロと転がり、痛みが何とか引いた後に立ち上がり周りを見回した。

「…………どこだここ?」

辺りは木々に囲まれ、地面は鬱蒼とした草が生えている。

どう見てもここは、人が入ってこないような森であることを窺わせる。

「ま………待て待て。

そんな森で道が分からない俺は一人っきり?」

だんだん現状を把握してきた俺の顔が青くなってくる。

「誰かー!!誰かいませんか―――!!」

不安から誰もいないだろうとは思ったがつい叫んでしまう。

俺の声に答える者はなく、どんどん不安がつのる。

『何かこっちから人間の声がしたぞ』

『おい、誰かいるのか?』

だから声が聞こえてきた時は、思わず神に土下座しても良いぐらい感謝したりもした。

まさかそれが―――

「こんな化物だとは思わなかったがな!!

ちくしょ―――!!」

俺は走りながら叫ぶ。

声の後現れたのは人ではなく、五メートルはある体が毛に覆われた熊男と、四つ足の狸みたいな姿で尻尾が鎌みたいになってる獣だった。

前者は言うまでもなく、後者もヤバイだろう。

あの鎌みたいな尻尾明らかにサクッといきそうだ………怖いから何がとは言わないが。

『待てえ食料!』

『今止まるなら苦しまないよう食ってやる!!』

「結局食うんじゃねえか!!」

叫び返すも、俺にもう体力はほとんど残ってなかった。

くそ、せめてアレを持ってきていたら…………!

ガッ

「うわっ!」

ついに俺は足がもつれて転んでしまった。

疲労でもう立ち上がれない俺に化物達が近づいてくる。

『はあ………手こずらせやがって』

『人間のくせにやたらと足が速かったな』

くそ………こんな、こんな訳の分からない内に死ぬのか。

確かに良い人生ではなかった、けどこんな死に方はあんまりだ。

『さて、また逃げられても困るし足から食うとするか』

『そうだな、それじゃいただきまーす』

化物達が俺の足に手を伸ばそうとした時

ヒュンッヒュンッ

バチィッ!!

『『ぐわあ!!』』

突然化物達が仰け反り、俺から距離を取った。

「目の前で食べられるのは流石に気分が悪いわね」

『誰だっ!?』

化物達が殺気立つ中、現れたのは紅と白の巫女服に身を包んだ黒髪の女の子だった。

その子が現れた途端、化物達は目に見えて狼狽え始めた。

『げえっ!?紅白人間!?』

『通り過ぎるだけで妖怪の屍が山々と積み上がるというあの紅白人間!?』

…………何かよく分からないが、とにかくあの女の子が化物に恐れられているというのはよく分かった。

『に、逃げろ!熊鍋にされちまう!』

『俺も狸鍋は嫌だ!』

化物達は一目散に森の奥へと消えていった。

助かった………のか?

「全く………酷い言いようね、魔理沙辺りが言いふらしてるのかしら。

今度厳重に注意しとかなくちゃ」

女の子はそう言い、俺の方に向く。

「あなた見慣れない格好ね。

もしかして………」

助かったことをだんだんと実感してきた俺は

「外の人間じゃってちょっと!?」

気づいたら意識を失っていた。

―――――――――――

次に目を覚ますと俺は和室にいた。

一瞬自分の部屋かと思ったが、置いてある家具や間取りが違うので人の部屋のようだ。

「目が覚めた?いきなり気絶するからびっくりしたわよ」

声の方に振り返ると紅白の巫女服を着た女の子が俺の方に歩いてきていた。

ということは………

「さっきのは夢じゃなかったのか………はぁ」

これで夢オチという希望は消え去ってしまった。

「ちょっと、人の顔を見るなり溜め息つくなんて失礼じゃない?」

女の子が不機嫌な声で俺を睨み付けた。

しまった、つい。

「ごめん………なさい。

助けてもらって失礼だよな………ですね」

「無理に敬語使わなくても良いわよ」

女の子はまだ少し不機嫌な声で言う。

うーん、機嫌を損ねてしまった。

完全にこっちが悪いのだが女の子の機嫌の直し方なんて俺は知らない。

「……………」

「……………」

気まずい沈黙。

「あらあら、良い雰囲気ね」

「っ!?」

いきなり第三者の声が聞こえ驚きながら振り向く。

そこにはゆったりとしたドレスに身を包んだ金髪の美しい女の人がいた。

い、いつの間に………というか全然気配がなかったんだが。

「紫、いきなり現れるのはやめなさいよ。

あとこれのどこが良い雰囲気に見えるの?」

「あら違った?まあ良いわ。お茶はないの霊夢?」

自分から言い出しといて………しかもさらっとお茶を要求したよこの人。

女の子に紫と呼ばれた女の人は俺の前まで来るとにっこり微笑んだ。

「初めまして風見狂夜。

幻想郷にようこそ」

「は、はあどうも………って何で俺の名前を………?」

「だって私があなたをここに連れてきたんだもの」

…………なんだって?

「ど、どうして………」

「ここは幻想郷。外で幻想になった者は来る運命なのよ」

わ、訳が分からないんだが。

「幻想って一体どういう………」

「つまりあなたは忘れ去られたのよ。

あなたの世界で妖怪や神が忘れ去られたように」

「…………はあ?」

どういうことだ?忘れ去られた?俺が?

「?あなた妖怪だったの?」

「い、いや違う違う」

俺はごく普通の人間……

「正確にはあなた自身ではなく、昔のあなた、最強の傭兵だった頃のあなたよ」紫さんの言った言葉に固まる俺。

「傭兵?ってなに?」

「外の世界での何でも屋みたいなものかしら。

でも外の世界での傭兵といえば一般的には、兵士ね」

「ふーん、ずいぶん若いのねぇ………」

紫さんと女の子、霊夢が話してる中俺は口を開いた。

「…………どういうことなんですか?」

「それを説明するのは少し長くなるわ。

まあ、お茶でも飲みながらゆっくり聞きなさい」

「ってさっきから自分のことのように言ってるけど、淹れてるの私だから」

全く………と、霊夢は溜め息を吐きながら俺の分も注いでくれた。

「あ、どうも」

つい頭を下げてしまうのは日本人の悲しい習性か。

「で、あなたがここに来た理由だけど。

まず妖怪や神と呼ばれるものが、人の思いから生まれるというのは分かるかしら?」

「………まあ何となく」

妖怪は人間の恐怖心、神様は人間の信仰心を糧にするというのはゲームや小説でよくある設定だ。

でも俺は人間だ、妖怪やら神やらの話に何の関係があるのだろう。

「大体、あなたが思っている通り、妖怪は理解できない何かに対する恐怖を抱いた人間の思いから生まれ、神は超常的な力に対する人間の畏怖から生まれた。

つまり人間が思えば何でも妖怪にも神にもなれるのよ」

…………まあ、何となく理解はできる。

「逆に言えば人間に存在を信じられなくなった妖怪や神は力を失い消えてしまう。

作った人間がその存在を否定したら消えるのは道理ね。

その消えてしまう妖怪や神を保護するのが、ここ幻想郷なのよ」

「つまりここは忘れられかけた妖怪や神が集う最後の場所だと?」

俺がそう言うと紫さんは頷いた。

「それでなんで俺がその忘れられかけた存在に?」

「簡単なこと。それはあなたもまた人間の思いで生み出された存在だからよ」

「???」

「傭兵時代のあなたはまさに一騎当千。

一人で基地を制圧することもできたし、その力は一軍にも匹敵するとも言われていた。

でもただの人間がそんな力を持ってるなんておかしくないかしら?」

言われてみれば………あの頃は全然気にも止めなかったが。

「何故そんな力を持ったのか?

それがさっきの話に繋がるわ」

「というと?」

「あなたが傭兵として活躍する中、相対した相手のあなたへの恐怖、畏怖、恨み、怒りが積み重なり一つの存在を作り上げた。

それは妖怪とも取れるし、ある種の邪神や鬼神とも呼べる存在になったわ。

そしてその力を使って活躍した戦場でさらに恐怖等を集め力を増していった。

それが最強の傭兵の正体。

つまり最強の傭兵だったあなたは、あなたであってあなたではない存在だったのよ」

あの頃の俺が………人間の思いによって作られた存在………?

「でもあなたは戦場を離れ、その存在はどんどん忘れ去られていった。

元々、外の世界は科学に反するものは片っ端から否定するから、あなた(最強の傭兵)が伝説となるのにそう時間はかからなかった、というわけね。

どう?分かったかしら?」

なるほど、ほとんど分からん。

まあ要するにあの頃の俺は人の思いによって生まれた、でも戦場を離れたから忘れ去られた、最強の傭兵は消滅するからここに送られたわけか。

「でもそれなら最強の傭兵だった俺だけがここに来るんじゃ?

普通の高校生になった俺は関係ないんじゃ?」

「言ったでしょう?

あなたであってあなたではない、と。

最強の傭兵のあなたも、普通の高校生のあなたも、あなたなのよ」

つまり………半々ってことか?

「でもそのままじゃ、結界を通りきらずに次元の狭間に落ちそうだったから、私が直接ここに送ったのよ」

へえ、そりゃ感謝………って

「ならなんで最初の時、助けてくれなかったんですか!」

「その時、起きたばかりで眠くてー送る場所を間違えたのよー。

で、そのまま寝ちゃったの」

ごめんなさいねーと笑いながら言う紫さん。

いや、そんなノリで謝られても。

「ふわぁ…………長話したら眠くなってきたわー。

そろそろ帰るわね」

そう言うと紫さんは何もない虚空を指で線を引くようになぞった。

すると指に沿って空間が割れ、中に目玉がたくさんある不気味な裂け目ができた。

「ちょ、俺は一体どうしたら」

「好きに生きれば良いわ。

ここは幻想郷、全てを受け入れるのよ。

時には残酷な程にね」

そう言うと紫さんは裂け目に飛び込み、姿を消した。

「……………」

こんな見知らぬ所で好きに生きれば?って言われても…………。

「なあ霊夢、俺はどうすれば―――」

言いかけて口を閉じる。

「………すー………すー………」

「…………俺も寝よう」

明日のことは明日考えれば良いって誰かが言ってた。

実にためになる言葉を思い出しながら俺は眠りについた。

――――END――――

作「前書きは決まったけど後書きは全然分からん………」

狂「調子が良いときは、一時間で一話書けるぐらい早いのにな」

作「しょうがない………後書きは当面雑談等を書こう。

下手したら書かないかも」

狂「………前書きは雑談じゃないのか?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 話が長くても飽きない。 読んでて違和感がない。 すごい。 [一言] すごくおもしろかったです。 プロローグおもしろ! 僕も最近始めたのですが、大変ですね。 Let's do our bes…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ