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街道へ


 3つの落とし穴、全てに薄い砂の蓋をしたところで、外から誰かが入ってくる気配がした。


「ジェイハン、いつまでやってるんだ?」


穴に落ちた盗賊の仲間が、心配して様子を見に来たのだろう。


「おい、お前ら、俺の仲間が来たろ?どこに言った?」


「さあ」


 アイズが「知らねーよ、バーカ」みたいな態度で、盗賊に言う。


「おい、舐めてっと殺すぞ!」


 いいね!簡単に挑発に乗るその感じ!

 これは、イケそうだ!


「あ~、すいません。腹が減ってたんで、食っちまいました」


「はぁ~~?」


 俺は、穴に落ちた盗賊が持っていたナイフを爪楊枝代わりにして、挑発した。

 その際、唇をちょっと切ったのは内緒だ。カッコ悪いからな。


 盗賊は鉄格子を掴んで、俺達を脅すように声を張り上げる。


「何言ってんだ!ジェイハンをどこに隠しやがった!言わねーと、ぶっ殺すぞ!」


 小さい斧を取り出し、威嚇する盗賊。


「…あれ?カギがかかって……あーーーーーー!!!」


盗賊は鉄格子の扉を開け、一歩踏み出したところで落とし穴に落ちた。

 穴の中で尻もちをついているところに、アイズと俺はどんどん石を投げつけた。


「いていて、やめろ!」


 俺達は石を投げるのを止め、石を持てるだけ持ち、穴の中に大量に入れる。

 今回は話を聞かないといけないので生き埋め作戦だ。

 生き埋めにされると思った盗賊は穴の縁に手をかけのぼって来ようとする。

 その手をナイフで刺し、蹴り上げ再び穴に落とす。

 痛がる盗賊に追い打ちを掛けるように、どんどん石を詰め込んでいく。


 ある程度、石を入れたところで、太ももまで埋まり、盗賊は身動きがとれなくなった。

 大声で騒ぐ盗賊の顔に、思い切り石を投げつける。

 盗賊は動体視力がいいのか、石を躱す。

 ムカついたので、足の付根の動きがとれない部分に投げつけると、苦悶の表情で睨みつけてきた。


「それで、お前らの仲間は何人だ?」


「……」


 10個ほど石を投げつける。

 

「いてててて!」


「言うか?」


「くそっ…………」


 黙秘ですか?仲間想いなのかな?

 石を盗賊の胸の高さまで入れる。

 どんどん青ざめる盗賊。

手の自由も効かなくなってくる。


さらに石を入れる。

盗賊はバンザイをした形で固まった。

もう何もできまい。


 浅くなった穴に降り立ち、盗賊の顎を蹴る。

 キッと睨んでくるが、さらに蹴り上げる。

 2度めの蹴りで盗賊は意識を飛ばした。


レベルが上った。


名前:スズキ・ユキト Lv.3

体力:15

魔力:3

力:10

守り:8

素早さ:5

賢さ:☓☓☓☓


スキル:異世界の技術 交渉Lv.1 盗賊Lv.1 狩人Lv.1 農作業Lv.1 運搬Lv.2

 罠Lv.3 探知Lv.1

称号:異世界者 魔王の友達 魔物の友達 精霊を叱る者 バカと天才の間の紙一重に立つ者


・探知スキルのステータスが出現した。


外の気配を探っていたからか、探知スキルを覚えていたようだ。

これは便利だった。

外の気配を探ると半径5メートルほどの景色が見えるように感じることができる。


外にはデカいトカゲしかいないので、俺達は隣の建物に向かうことにした。

途中、小さなサソリがいたが牢屋の方に行ったので無視した。


探知スキルで隣の建物には誰もいない。

壁際には食器や調理器具が置いてあり、4つの椅子とテーブルがある。少なくとも、4人はここに来るのか?

壁にはナタや弓矢がかけてある。

木製の棚には、インクと紙、手錠などが入っていたので全て取り出し、拝借する。


・盗賊Lv.2にレベルアップした。


さらに戸棚を探すと地図があり、現在地がわかった。

この盗賊の隠れ家はサラマリからかなり西で、岩場が多く、街道の北に行ったところ。


小麦粉が入っていたであろう袋があったので、全てその袋に詰めていく。


途中、「ぎゃーーー!!!」という盗賊の声がしたが、たぶん先ほどいたサソリが顔にでも落ちてきたのだろう。

外に出ると、デカいトカゲがこちらに向かってシャーシャーと威嚇をしてきた。

麦っぽい餌が入り口近くの袋に入っていたので、それを与えると嬉しそうに食べて、俺の手を舐めまわした。


「これに乗って行くの?」


アイズが気持ち悪そうにトカゲを見ている。


「まずいかなぁ?」


「盗賊の仲間がいたら狙われるわよ」


「街道まで行って放すっていうのもいいと思うんだけど」


「それじゃあ、冒険者や商人が街道渡るときに襲われちゃうじゃない」


「そうか、じゃあ諦めるか」


 トカゲの鼻を撫でると、くぅ~と鳴く。飼うにしても、金がないので餌もない。そもそも俺はこのへんに拠点があるわけでもないので、飼うわけにも行かないだろう。

牢屋の盗賊たちが騒ぎ始めた。はじめに落とし穴に落ちたほうが起きたのかもしれない。

ま、鉄格子のカギは閉めてるんだけどね。


もうここに用はない。


「俺は街道まで行ってサラマリに行くけど、アイズはどうするんだ?」


「私も報告するために、サラマリに戻るわ」


 俺達はひとまず街道を目指す。


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