異世界トリップしたのでギルドを立ち上げてみた。
――気が付けば見知らぬ場所にいた。
さっきまでゲームしてたのに、と思ったらそのゲームのキャラになってたし、アイテムやスキルもそのまんま。
ステータスもそのまんまだから、俺無双できそう。
だが、俺はチキンだ。
冒険するより日々堅実に、地に足をつけた生活がしたい。
そう考えた俺は、ギルドで職業斡旋してもらえないか、聞いてみることにした。まずはギルドの場所だな。
「すんませーん。ギルドがどこにあるか教えて下さい」
「は? ぎるどってなんだよ」
「ああ、名前が違うのか。えっと、ほら。冒険者が出入りしてて、依頼をうけられる、便利屋ーみたいな」
「はあ? 冒険者? 便利屋? あんた何話してるんだ?」
屋台のおっちゃんと長々話した結果、一つの事実が浮かび上がった。
……この国、いや、この辺りの国にはギルドなんてものは無いらしい。
えええ? 最初から詰んだ?
いやいや、なかったら作ればいいんだよな! それでギルドの職員になろう。
だって戸籍も信用もない俺を働かせてくれるとこなさそうだし。
マスターはなんか面倒そうだから、最初は仕方ないにしても、良さそうな人材がいたらパスしよう。そうしよう。
俺は手持ちのアイテムを幾つか売って、ギルドを立ち上げた。一応、ギルドマスターは俺。職員はなんか近くで弱ってた孤児達と大安売りされてた奴隷達。
あ、受付嬢は美人がいいかなーと思って奮発した。
綺麗だし賢いし魔法も使える女性を三人、かわいい、色っぽい、クールビューティーで取り揃えた。
さて、開店だ。
最初は上手くいかなかった。そりゃそうだよな、信用なんてまるで無いし、何やるとこなのか怪しまれてるみたいだし。
だけど、誘拐された子供を助けたりモンスターを退治したりしてるうちに、少しずつギルドの名が人々の間に浸透していった。
冒険者? 孤児や奴隷で見所のある奴を鍛え上げたさ。さくらって奴? いや、ギルドお抱え? まあそんな感じ。
一度軌道に乗ると、依頼が来るわ来るわ。いやー、忙しいっていいね!
たまに滅茶苦茶な依頼してくる馬鹿もいたりするけど、まずはにこやかにお話して、聞かなかったら裏でOHANASIしてみたり。
それでも聞かなかったら……ごふんごふん、いや、まあ、ギルドは公明正大デスヨ?
そんな感じでわいわい賑やかにやってたんだけどねー。目をつけられた。
誰に、って? 国にだよ。
国立にするから貴族の配下になれーだの、強い冒険者は国の物ーだの言いだしやがった。
強い冒険者は、まだうちの奴らしかいねーっつの。
勿論、とんずらこきました。うちの奴らは渡さん!
ついてくると言った職員やお抱え冒険者を連れて他国に逃げて、また目をつけられて、また逃げて。
そんな事を繰り返しているうちに人員は増えたし、職員同士で結婚する奴らも出てきた。
……ここはいっそ、辺境で村おこしするべきか?
いい場所がないなら作っちまえ! とばかりに人踏未踏の地に皆で旅した。
今や人数は百を越えてる。
誰もいない辺境で村をつくった。ギルド村だ。なんかもう、ネーミングセンスないのバレバレな名前。そのまんまだし。
「いや、分かりやすくていいですよ」
「そうですよ、マスター」「ええ、私もいいと思います。あなた」
皆は優しいから慰めてくれたけどさ。
村長は、まあ、この俺。
村祭りの日も決めて、いやー、久しぶりに騒いだね!
俺の嫁になったクールビューティーな受付嬢も嬉しそうだったし、うん、やっぱ定住っていいよね!
そうして勿論村の中にもギルドを作って、俺が村長兼ギルドマスターになっちまって、忙しさにひーひー言いながらやってると、あちこちから依頼やら人やらやってきた。
もうこの世界ではギルドの名前は知れ渡っていたし、あちこちで別れた元職員達が伴侶や仲間をつれて戻ったりしたのだ。
国々からのちょっかいも当然あった。が、はねのけてやった。
こっちにはSSSランクがごろごろいるし、もともと秘境だったところなわけだしな。地竜だのなんだのに襲われて、村にたどり着く前に軍壊滅、もよくある事だ。裏で手引きしてた? いえいえ、ナンノ事デショウ?
なんだかんだで人も増えてルールも決めて、あっという間に村は町になり、町は街になり、近くにどんどん新しい村や町が出来て……
気が付けば、うちの街は首都となってた。ギルド国の、首都だ。
……異世界で、ギルドを開いたらいつの間にか国が出来てました。
あれぇ?
「マスター、今日の案件です」
「マスター、エゾ国からの使者がまた来てるんですけどー、どーしますぅー?」
「とーさま、遊んでーっ」
「こら、リリー。お父様はお忙しいのよ。ごめんなさい、あなた」
……まあ、忙しいけど幸せだからいっか!
お読みいただき、ありがとうございました。




