緑盗り女
詩三作目。
嗚呼、何で私は緑の宝石をもっていないの?
女が言えば、煌めくエメラルドが手の中に。
嗚呼、何で私は緑の靴を履いていないの?
女が言えば、光沢の在る靴が足に履かれて。
嗚呼、何で私は緑の衣服を着ていないの?
女が言えば、可愛らしいドレスが揺れて。
嗚呼、何で私は緑の眼鏡をかけていないの?
女が言えば、鼻元に軽い眼鏡が乗せられて。
嗚呼、何で私は緑の料理を食べていないの?
女が言えば、胃袋は満たされて。
嗚呼、何で私は緑のワインを飲んでいないの?
女が言えば、喉が潤され。
嗚呼、何で私は緑の玩具を持っていないの?
女が言えば、遊戯を楽しみ。
嗚呼、何で私は緑の家に住んでいないの?
女が言えば、森に住居が出来。
嗚呼、何で私以外が緑なの?
女が言えば、緑は赤に変わり。
嗚呼、何で私は緑ではないの?
女が鏡を見ながら言えば、体液で緑を被り。
染まらなければ、
こんな私なんて要らないのよ
割れた鏡は深紅に染まり。
「愚拙な噺だ」
この人、怖いかもです。