ショートコント『人間の条件』
「こんにちは、人間です」
「人間って猿ですよね」
「誰だよお前」
「ゴリラです」
「ゴリラ? 猿はお前だろ。俺は人間だぞ」
「ゴリラは猿で、人間は猿じゃないって言うんですか?」
「当たり前だろ。猿ってのはゴリラやチンパンジーのことだろ」
「いいえ、違います」
「は? 違わないだろ」
「ゴリラは猿ですが、猿はゴリラではありません。ゆえに、猿は人間ではありません」
「猿は人間じゃない? 当たり前だろそんなこと」
「人間は猿、ゴリラも猿、チンパンも猿なんですよ」
「……みんな猿なの?」
「分類するとそうなるんですよ」
「なんで?」
「霊長類のことを猿って言うんですから、人間もとうぜん含まれているわけです」
「そ……そうなの?」
「人間は魚です」
「……誰だよ、お前」
「マグロです」
「魚はお前だろ」
「マグロは魚です。人間も魚です。ゴリラも魚です」
「はあ~? 何言ってんだよこのマグロ」
「分類上はそうなるんですよ」
「なんで?」
「同じ先祖のグループですからね」
「そ、そうなの?」
「エンタメは文学です」
「誰だよお前」
「ラノベです」
「エンタメはお前だろ」
「分類上は……」
「エンタメを文学と呼ぶなよ。人間を猿と呼ぶのと同じだぞ」
(おわり)
お読みいただきありがとうございました。




