(七)
それ以来、彼女から連絡は来なかった。
彼に会うなと言われたのだろう。勝手に納得する。
私も公園に行かなくなった。
ある日、職場の同僚の送別会が開かれた。
「本当、綺麗なのに何で結婚しないの」
同い年の女性社員から訊かれた。
「昔、痛い目に遭ってね。それ以来男はコリゴリ」
私は笑って答えた。
「へえ、そんな事があったんだ」
前の席に座っていた中年の男が話に入って来た。
「まだ若くて男を見る目が無かったから仕方ないですけどね」
自虐的な嘘をつく。その位の嘘を言っておかないと孤独で重たい女と思われるのも何だか嫌だから。
穏やかに送別会を終えて帰宅する。酒は飲んでいない。
「ただいま」
テーブルに置いたサエとカナに声をかける。
シャワーを浴びて居間でジュースとお菓子を軽くつまみながら話す。
「いい子にしていた? パパは来てくれた? そう。良かったね」
サエとカナの顔が楽しそうに見えた。
「さあ、寝ようか」
サエとカナを寝室に抱きかかえて小さな布団に寝かせて私はベッドで休んだ。
日曜日、テレビで国会議員が収賄の疑惑で辞職したニュースが流れた。彼の父親だった。
「おじいちゃん、暇になったね」
居間で二人分の小さな服を縫いながら私はサエに話しかけた。
サエの目が輝いたように見えた。
「おじいちゃんも連れて来ようか」
私の問いにサエとカナの目が輝いたように見えた。
(了)




