(六)
夜に帰宅した時には落ち着いた気分になった。
サエをテーブルに置く。ホッとしてサエの頭を撫でる。
コンビニで買った弁当をレンジに入れて寝室で着替えて台所に入る。
温かい弁当を居間で食べながらサエと話す。
「どうだった。サエのパパよ。幸せそうだったね。サエが呼んだらいつでも遊んでくれるからね」
サエは黙ったまま。初めての父親との対面。父親の温もり。どんな気分だろう。
想像すると頭に残った彼の残像に心のひだを口づけされた気分になった。それ以外の例えが浮かばない位、何とも言えない感覚になり軽く頭を振った。
弁当を片付けて寝室でサエと同じ姿の人形を箱から取り出して台所に入った。
前に切った佳奈の髪を小皿に入れて燃やした。焦げた匂いがする。その匂いを人形に炙るように付けた。
人形の匂いを嗅ぐ。確かに髪の毛が焦げた匂いがした。
「サエ、妹のカナよ。仲良く遊んでね」
テーブルのサエの隣にカナの人形を置いた。
紗江の遺灰にまみれたサエを撫でた彼。
そして彼の娘の髪の匂いを染みつけたカナ。
こうしてサエに家族が出来た。
「もう寂しくないね。みんなで仲良く暮らそうね」
呪い? 違う。
自己満足の儀式? そうかも知れない。
理由は何であれ私も紗江を殺した事に変わりない。
だから自分なりに償いたい。それでも紗江は許してくれないと思う。
そうだとしてもサエと生きていく。
サエの為に生きていく──




