第12話 東からの刺客
その日、シモはいつものように前線の観測地点に向かっていた。
その時だ。
バァン!!
鋭い銃声と共に、少し離れた場所を歩いていた伝令兵が倒れた。
即死だった。弾丸はヘルメットを貫通していた。
シモは瞬時に雪の中に身を投げ出し、気配を消した。
(今の音……)
普通の歩兵銃ではない。狙撃銃特有の、鋭く重い響き。
そして、何より恐ろしいのはその「待ち方」だった。
敵のスナイパーは、倒れた伝令兵に続く二発目を撃ってこない。仲間が助けに来るのを待っているのだ。典型的な「囲い込み」の戦術だ。
(誘っているのか、俺を)
シモは理解した。スターリンが送り込んできた「掃除屋」が到着したのだ。
相手は、これまでの徴集兵とは違う。殺しの訓練を受けたプロフェッショナルだ。
シモは動かなかった。助けに行けば、自分も撃たれる。
冷徹な計算と、煮えたぎるような怒りが、彼の腹の中で混ざり合った。
太陽の位置を確認する。まだ昼過ぎだ。
勝負は、夕暮れまでに決まるだろう。
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