第11話 賞金首
1940年1月、コッラの森。
年が明けても、寒さは厳しさを増すばかりだった。気温はマイナス35度。木々の樹液さえ凍りつき、夜中には破裂音を立てるほどの極寒だ。
フィンランド軍の陣地で、シモは缶詰のスープを啜っていた。
「おいシモ、聞いたか?」
中隊長のユーティライネンが、可笑しそうに新聞の切り抜きを持ってきた。
「ソ連軍がお前の首に懸賞金をかけたそうだ。かなりの額だぞ。俺が売り飛ばしてやろうか?」
冗談めかした言葉に、周囲の兵士たちがどっと笑う。
だが、シモは表情を変えなかった。
「……無駄金ですね」
「ああ、全くだ。お前を見つけられる奴がいればの話だがな」
笑い話で済ませてはいたが、戦場の空気は明らかに変わり始めていた。
これまでは無造作に突っ込んできていたソ連兵たちが、極端に慎重になったのだ。そして、森の奥から、今までとは違う、異質な視線を感じるようになっていた。
シモの狩猟本能が、警鐘を鳴らしていた。
(何かが来る。素人じゃない……同業者が)
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