圭太くんへ 一九九二年五月二〇日
ぼくもじぶんのなまえをかんじでかけるようになりました。ついでに圭太くんのなまえもかけるようにしました。ぼくが仁以千絵というなまえなのはおとうさんがてつがくしゃのファンだからです。ニーチェというえらいてつがくしゃさんのなまえをまねたそうです。てつがくしゃというのは「じんせい」や「しんじつ」についてかんがえるひとなのだそうです。でもおとうさんはひきょうものでどこがてつがくしゃなのかわからないとおかあさんはいっていました。おとうさんはおこるとわがままなこどもみたいです。でもおかあさんもおてんきのようにころころきぶんがかわるひとで、ぼくやおとうさんにたいしてわがままです。おかあさんは「いいだしたらきかない」のでぼくはいつもいうことをきいています。おかあさんにぼくはおじゅけんをするのかときくとしないといわれました。ぼくはおじゅけんしたかったけれどがまんします。
仁以千絵より
ps.ぼくはおともだちがいます。でもぼくはともだちなんていりません。圭太くんとぶんつうができればじゅうぶんです。ようちえんはたのしくありません。