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質問7 暗黒物質とは?

「周期表を埋めて素粒子も見つけたってことは、もう宇宙の組成はだいたいわかったってことでいいんですか?もちろんまだ見つかっていない重い原子や特殊な粒子はあるんだろうけど、大部分の調査は終わってますよね?」


―残念ながら、全然終わってないのよ。むしろわかっていない方が多いかな。宇宙全体の総エネルギー量から換算すると、人間さんが発見したのは”5%”にも満たないわ。


「うえええっ!?周期表はもう末尾以外埋まってますよね?いったいどこに95%も残ってるんですか?

もしかして、宇宙空間は地球にはない超物質で溢れてるんでしょうか?」


―多いのはダークマターとダークエネルギーね。あと、この宇宙には少ないけど、裏の周期表にある反物質や超重原子もあるかしら。


「ダークマター?ダークエネルギー?なんかとあるラノベに出てきそうな名前ですね。

それってどんなものなんですか?まさか地球にはありませんよね?」


―特定の物質を指す語句じゃなくて、『宇宙に存在する正体不明な物質・エネルギー』の総称よ。

いつも人間さんのすぐそばにあって、身体の中を通り抜けてるのに、誰も気付かないの。


「すぐそばにいて、通り抜けても気付かない!?まるで幽霊じゃないかっ!」


―ふふ、確かに幽霊みたいね。でも実際にそういう不可解な物質やエネルギーが宇宙には充満してるのよ。

人間さんの目には映らないし、現行のどんなに高価な測定装置を使っても検出できないけど、確かにそこにあるわ。


「充満してるのに検出できないって、絶対おかしいでしょ?どういう理屈?」


―前に物理的接触を成り立たせているのは電磁気の反発力だって説明したけど、人間さんは覚えてる?


「はい、僕達の身体は実体がないスカスカの波で、原子核を覆う電子が磁石みたいに反発することで押し合ってる、という話でしたよね?」


―覚えておいてくれて、とても嬉しいわ。

たとえ人間さんが私の制服を脱がしてたわわな果実を揉みしだいても、乙女の柔肌を本当に侵すことはできない。実際に物質同士が触れ合うことはなく、電子が反発する感触を楽しんでるだけ。そういう話だったわね。


「そんな例え話じゃなかったでしょ!勝手に人を強姦魔にしないでください!

そもそも羽神様はホログラフだから、襲うこと自体が不可能だし!」


―まぁ、冗談はさておき、人間さんが電磁気力を介さないと対象を確認できないのは本当のことだわ。人間さんが物体を見ることができるのは、それが可視光線を放出している、あるいは反射しているから。完全に透明なガラスが目の前に置かれていたら気付かずに衝突してしまうように、波と干渉しない物質は認識することができないのよ。


「目視で確認できなくても、センサーを使えばわかりますよね?ガスの検知器とか、見えない気体に反応してるし」


ー検知器も測定器も、人間さんの発明品はだいたい電気と磁気を利用してるのよ。可視光以外のX線や電波を測定に使ったとしても、対象がそれを透過してしまったら何の反応も得られない。あらゆる電磁波に干渉せず、物質と化学反応を起こさないものが存在したら、それを検出するのは不可能なの。


「そんなとんでもない物質が、本当に存在するんですか?もしあるなら、なんでそんなことがわかるんですか?どんなビームをぶつけても、通り抜けてしまうんですよね」


―わかるのは、重力があるからよ。人間さんが地上から浮き上がって宇宙空間に飛ばされないのは、地球の引力が大地に繋ぎとめているからよね?

宇宙に存在する無数の銀河も星々の重力でまとまっているんだけど、その恒星や惑星の質量を全部足し合わせても、銀河を維持するだけの力を発生させるのには足りない。その不足分を計算で導出することで、人間さんは自分の知らない未知の物質、ダークマターがあることに気付いたの。ちなみにダークエネルギーも同じように、宇宙の膨張速度に対してエネルギー量が不足していることから想定されたわ。


「見えないのに質量がある物質が、そこかしこにあるんですね。なんだか不思議です」


―もしダークマターやエネルギーがなければ、宇宙のエネルギーバランスは崩れて、天の川銀河が今の形に収まることはなかったわ。その場合、人間さんは誕生すらしなかったかもしれない。


「認識すらできない暗黒のエネルギーが、陰から人類の生活を支えているんですね。僕達を助けていたのは神様ではなく、ダースベイダーだったのかぁ。まぁ、神でも悪魔でも、見つけられないのはどうせ一緒だけど・・・」


―諦めるのは、まだ早いわ。これまでも人間さんは様々な課題を創意工夫で解決してきた。肉眼で見えない超微小粒子も、一瞬で消えてしまう不安定な物質も、あっと驚くような知恵とたゆまぬ努力で発見してきた。今も科学者は暗黒物質を検出するために、日夜試行錯誤を繰り返しているわ。

そう遠くない将来に人間さんはダークマターやダークエネルギーを見つけて、新しい図鑑を作っているでしょう。5%未満から100%に近づけば、単純計算で使えるものは20倍。未知の物質やエネルギーを扱えるようになった人間さんの文明は、これまでとは比べ物にならない発展を遂げるはずよ。

羽神さんが時々変なことを言い出すのは、製作者が変態さんだからです

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