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ヲタッキーズ184 伝説のメイドバー

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第184話「伝説のメイドバー」。さて、今回は秋葉原が萌える前からの老舗メイドバーのメイド長が殺されます。


捜査線上に浮かぶ、廃棄物マフィア、バーテンダー…伝説のバーから浮き上がる人間模様、そして、明かされる過去の萌えだした頃のアキバ秘話…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 殺されたメイド長


シンガポール便の飛行艇が、神田リバーに長く白い航跡を残しながら、鮮やかに着水する。

水上空港に向かう赤いフェリーを眺めながら、桟橋から川面にポトンと浮きを落とす老人。


妻がツカツカと歩み寄り声をかける。


「落ち込まないでアンデ。奴等が工場を潰してメイドカフェにしたからって何?どうにかなるわょ」

「ほっといてくれ」

「もうバカなコトはヤメて。神田リバーじゃ何も釣れないわ。風邪を引くだけょ」


ところが…急に"引き"があり、手繰り寄せると、胸に針のかかったメイド服の水死体が浮き上がるw


「ウソだろ…」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(メイドバー)のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて回転率は急降下、経営を圧迫中w


「小学生の時のTシャツ、着られた!」

「そんなムチムチじゃ着られた内には入らないわ」

「アキバの超人ハルクだ」


途端に口を尖らす常連のスピア。彼女はハッカー。


「姉様もテリィたんも嫌な感じ」

「テリィ様は執筆中はいつもこうょ。私は貴女のスイカみたいなバストが羨ましいだけ」

「このシャツきっとグレシが喜ぶわ!」


僕は執筆の手を止める。


「グレシ?仙台に引っ越した可愛い子?」

「そうそう、あの子。ファッションカレッジ見学のついでに泊まりに来るの。話したでしょ?」

「執筆中にか?あぁ…ハルクと打っちゃったw」


呼び鈴。微笑み駆け出すスピア。


「グレシ!」

「スゴい格好だね。元気そうじゃん」

「グ、グレシこそ…」


ドアを開けると…暗黒系ハードゴス美少女降臨。鎖ジャラジャラ、ギリギリで病み可愛いとも逝う?笑


あっけに取られながらハグで迎えるスピア。


「…ねぇ覚えてる?ミユリ姉様とテリィたん」

「モチ覚えてる、久しぶり。泊めてくれてありがとうね。バックヤードは前と同じ?」

「うん。何もかも昔のママょほとんどね」


暗黒異世界の世界観を引きずったママ、バックヤードへと消えて逝く。呆気にとられ言葉を失う僕達。


「仙台で燻ってたとは、とても思えませんね」

「何があったんだろう。昔はヘアバンドのニーハイ女子だったのに」

「あのぐらいの女子って変わるモノですね」


胸のスマホが鳴る。


「ラギィ?ちょうど煮詰まってたトコロさ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


殺人現場は古い桟橋。白ヘルメットの作業員が荷役作業をしている。その中を制服警官や鑑識が走る。


「昔は可愛かったんだ。ケンケンや人形遊びをしてた女子が、なぜ突然眉ピアスをスルのかな?まさか全身真っ黒のゴシック系になってるとは」

「当然でしょ?小学校(ローティーン)から変わらない女子なんていないわ」

「僕の場合、小学生の頃って自由研究で銀河の模型を作ったこと位しか覚えてないんだ。ラギィは?」

「歯の矯正してたわ」


手短かに相手をしてくれる万世橋警察署のラギィ警部。彼女は前の職場で"新橋鮫"と呼ばれた敏腕w


「そっか。輝く笑顔はそのおかげだね」

「両親がメマイがスルような高いお金を払い続けてくれたおかげ…ルイナ、水死体の割には状態が良いのね」

「未だ水が冷たいから。神田リバーに落ちたのは、恐らく12時間以内。IDは無し。おそらく40代前半。海軍のタトゥ。側頭線に沿ってヒドい怪我もしているわ」


僕のタブレットをハッキングして、超天才のルイナが彼女のラボから"リモート鑑識"をしてくれる。


「フェリーから落ちたのかな?」

「船の事故ではないわ。誰かに鈍器で殴られた痕だと思うけど」

「"ビーチを遊泳禁止にしろ"」


ドン引きのラギィとタブレット画面の中のルイナ。


「ジョーズのブロディ署長のセリフだ。おいおい、見てないの?」


広がるドン引きの輪。そして、無視。制服警官からビニール袋入りの証拠品を渡される。ん?メダル?


「身元は指紋で調べてもらうけど…こんなモノも何かの手がかりになるカモしれないわ」

「ギャンブル依存症の克服メダル?被害者は、依存症から立ち直ってるのね?」

「あぁ」


僕の溜め息にラギィが絡む。


「テリィたん"あぁ"って何?」

「一目瞭然さ。被害者はメイドだけどギャンブルにハマり、借金を返せず、マフィアに殺され、神田リバーにプカプカってワケだ」

「このメダル1つで、ソコまで妄想が膨らむナンて、何だか羨ましい」


明後日を向くラギィに僕はロジカルに語る。


「ホラ。神田リバーは良く水死体が出るだろ?絶対マフィアと繋がってる。状況終了」


僕は、制服警官とハイタッチ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


万世橋(アキバポリス)に捜査本部が立ち上がる。被害者のプロフィール画像が配信される。あれ?軍人上がりかw


「マフィアじゃナイわ」

「げ。ウソ、そうなの?」

「被害者はドーナ・ヘイズ。メイドカフェの店長メイド。"blood type BLUE"。パイロキネシス(焔使い)…なぜか今朝もレンタルカフェで元気に働いているコトになってる」


デスクから立ち上がるラギィ。


「あらあら。ゾンビメイドは随分と働き者なのね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


神田山本町。そのレンタルカフェは地下にアル。


「ドーナ!ドーナ・ヘイズ!」

「自分の名前を忘れたみたいだ」

「そうでもナイわ…待て!アキバP.D.!」


地上へ逃げるメイドの正面に音波銃を構えたマリレ、回れ右して逃げるメイドにエアリがラリアット!


額に音波銃を当てるw


「メイド長に動くなって言われたでしょ?」

「顔はヤメて。メイドさん達、何者?警察?」

「ヲタッキーズ」


息を呑むメイド。ヲタッキーズは僕の推しミユリさん率いるスーパーヒロイン集団。メイド服が制服w


「起きて。いつまで私のパンツ見てるの?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


万世橋(アキバポリス)の取調室。


「貴女の名前はグラト・バイロ」

「おまわりさん。私は誰も殺してない」

「じゃ何で逃げたの?」


神妙に応えるバイロ。


「組合かと思って…」

「ははぁ。組合員証のためにドーナ・ヘイズを殺したのね?」

「何を言ってるの?この組合員証は、ちゃんと買ったのょ!」


組合員証は売買しちゃダメでしょ。


「ドーナのフリして働いても、誰も気づかないと思ったのね?」

「ドーナは6年間、佐久間河岸の御屋敷(ホール)にいた。だから、電気街に回れば彼女の知り合いはいない」

「今、組合員証はいくらで買えるの?」


スラスラ歌うバイロ。


「ざっと250万円ね」

「冗談でしょ?秋葉原のメイドは相当稼げるわ。そんな金額では売らないハズょ。音波銃を向けて脅したの?」

「ヤメて、脅してナイ。ドーナは、キャッシュが必要だったの」


肩をスボめて見せる。


「あら。どうしてかしら?」

「さあ。興味もナイわ」

「はい、ラギィ」


スマホに出るラギィ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


万世橋(アキバポリス)の検視局は地下にアル。遺体が引き出され、局のモニターには頭蓋骨のレントゲン写真が並ぶ。


「やっぱり頭を殴られてたみたい。鈍器で1度叩かれて鱗状縫合の辺りが陥没してる。そして、彼女の頭蓋骨には赤いガラスの破片が残ってた」


証拠品袋入りの赤いガラスの破片が回って来る。


「頑丈な花瓶かボトルだな」

「鑑識に回して何の破片か調べてもらうわ」

「死斑や水温を考えると、死亡時刻は午前4時から6時の間ね」


引き続きラボからルイナの"リモート鑑識"。遺体

を見て気づくラギィ。腕を指差しクルリと回す。


「ルイナ。この腕の傷は何?」

「銃槍。散弾銃の弾が数発、左腕に埋まってた」

「え。頭を殴られた後に、ダメ推しで散弾銃で撃たれたの?」


そりゃアンマリだと思ったが違うらしい。


「ソレが不思議ナンだけど、散弾銃で撃たれたのは、2から3週間前なの」

「え。その間、治療してないの?」

「してない。誰かを恐れて潜伏してたのね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「ラギィ、バイロはシロだったわ。先月ドーナに250万円を小切手で払ってる。ドーナは、ソレを自分の口座に入れてるわ」

「え。小切手で?マジかょマリレ」

「マフィアっぽくナイわね」


考え込むラギィ。因みに、報告に来たマリレはメイド服だ。何と逝っても、ココはアキバだからね。


「ドーナの自宅には、赤いガラスの破片も犯罪の跡もナシ。身内もいないみたいょ」

「ギャンブル依存の治療は?更生施設とかに通ってないの?」

「最近は何処にも通ってナイわ」


うなずくラギィ。春物コートを手にしてる。


「うーんテリィたんの言う通り、またギャンブルにハマって組合証を売ったんだわ。借金で首が回らなくなって」

「250万円でね」

「その値段は、安過ぎると思うの」


ヲタッキーズのエアリが割り込む。彼女もメイド服。


「ドーナの口座を調べてみたら、もともと1250万円あった。250万円が入って1500万円に増えたけど…今は残高ゼロょ」

「残高ゼロ?」

「正確には残高623円」


さらに本部のモニターに顔写真のアップが出る。ベージュのスーツにオレンジのシャツを襟出しw


「ソイツはミルバ・ペトリ。1500万円をコイツに支払ってるわ。ペトリは、いくつか不動産を持っていて、産業廃棄物処理のビジネスもやってるわ」

「そりゃマフィアっぽいな。決まりだ」

「前歴は?調べてある?」


データを読み上げるエアリ。モニターには、やや若い頃のミルバ・ペトリの画像。ヤンチャ盛りだw


「2001年に暴行と恐喝で10年服役してる」

「何?暴行と?」

「恐喝。ソレと産廃処理の他に"賭け屋"もやってて、客を強請ってる」


思わず聞き返す。


「何屋?」

「"賭け屋"」

「つまり、元ギャンブル依存症が、元賭け屋とモメて、元も子も亡くなったワケだ」


誰も笑わないw


「きっと支払いが遅れた代償に殺されたのね。珍しくテリィたんの読み通りだわ」


だろ?もう解決したよーなモンさ。


第2章 伝説のレヲ子


万世橋(アキバポリス)の取調室。


「ペトリさん。歳は取ったけど、中身は変わらないようね」

「そりゃピラティスの効果だな」

「この小切手、覚えてる?」


1500万円支払いサイン付きの小切手のコピー。


「あぁどうにかな」

「ドーナは、その他にも借金があったんじゃないの?それで、貴方は昔みたいに脅したんでしょ?」

「俺が何でココにいるか知らんが、過去の罪は償ったし、今は完全に堅気さ。娑婆に戻ってからは世間に恥じるようなコトはしてナイな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


マジックミラー越しの隣の部屋では、僕とヲタッキーズのメイド達が取り調べの様子を見ている。


「泣けるセリフだな」


メモする僕。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


「信じられないならドーナに…」

「死んだわ。今朝、水死体でリバーに浮いてた。話を戻すけど、何のお金だったの?何かの支払い?」

「待て。ドーナが死んだ?」


ペトリは呆然としている。しばらく瞑目してから、静かに目を開き、噛み締めるようにユックリ話す。


「購入代金だった」

「何の?」

「彼女は…私のメイドバーを気に入ってた。だから売ったんだ」


メイドバー?


「なぜバーに全財産を叩くの?」

「ドーナが育ったバーだからだ。あのバーは、世界初のメイドバーなんだ。未だ秋葉原が萌える遥か前の話だ。メイドは絶対服従の証だから、いつの世もフェチの対象だった。彼女の祖母は、伝説のメイドのレヲ子。ドーナは、レヲ子を母親代わりに育った」

「そのレヲ子はどこ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


「伝説のレヲ子!」


僕は、取調室の隣室で息を呑む。


「伝説のレヲ子…」

「テリィたんの知り合い?」

「うん。うーん」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


「バーに行けば位牌に会えるよ。レヲ子は、あのバーについて何でも知っていた。2017年に死んだが、みんなで位牌を残そうと言って、今でもそこに置いてアル」

「カウンターに位牌か。最高にクールだ」

「今は、ドーナの店なのね。店名は?」


目を細め応えるペトリ。


「"万世橋ホール"だ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「"万世橋ホール"?」

「マリレは知らないか。偉大なメイドが集まる伝説のバーだ」

「どーせ私は"時間(タイム)ナヂス"ですょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ドーナにとって、バーは家同然、常連達は家族も同然だった」

「なぜ突然ドーナに売るコトにしたの?」

「バーは、もう何年も採算が取れてなかった。赤字が続いてたんだ。チェーン店で買い取りたいと言う話が来てたから、俺も考えたんだ。店のバーテンダーのブライ・アーンが買い取ろうとしたが、メイド長のドーナの方が高値をつけた」


淡々と語るペトリ。ウソではなさそうだ。


「そのコトを知ってブライは?」

「そりゃ不満そうだったが…チェーン店で働くよりはマシと割り切った。だから、今も働いてる」

「そりゃそうだ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。スマホを切るラギィ。


「赤ガラスの破片からアルコールが出たわ」

「酒のボトルに怒れるバーテンダーか。今回も役者が揃ってきたな」

「ソレと万世橋ホールは神田リバーから2ブロックしか離れてない」


条件も揃って来てるw


「遺体が捨てやすいね」

「ねぇテリィたん。1杯おごりましょうか?」

「ラギィ警部。その言葉を待ってたょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


和泉パークのホットローステッドナッツの屋台。


「ねぇテリィたんは、その店の常連だったの?」

「アキバが萌え出す前の話だ。デビュー作のSF小説は、ほとんどそこのカウンターで執筆した」

「ふーんそうなの?」


ナゼか上から目線のラギィ。


「おいおい。300万部売れて大ヒットしたんだぞ」

「違うわ。バカにしたんじゃないの。ただ、余りにウレしそうだったから」

「店には歴史が詰まってる。昔は鍛冶屋や売春宿だった建物で、太平洋戦争の頃には潜りの酒場になったらしい。めちゃくちゃイケてる店だよ。壁が大正浪漫の息吹を語ってくれる」


呆れるラギィ。


「ただのバーでしょ?」

「いいや。チェーン店なんかとは比べられない。あーゆーバーは絶滅危惧種なんだ。生き残りのため近代化に立ち向かい…あれ?どしたの?誘ってる?」

「誘ってない。でも、警官ポクない方がバーテンダーとは話しやすいでしょ?」


髪を下ろすラギィw


潜入捜査(アンダーカバー)か。も1つボタンを開けとけば?」


チラ見せするラギィ…げ。黒ブラだw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


バーに入ると美しい曲線の階段、レトロなステンドグラス、天井にはシルクの刺繍だ。大正浪漫?


「良い匂いだ」

「気の抜けたビールの匂い?」

「こーゆーバーが多ければ、もっと外で原稿を描くのに」


突然ピアノの先生が低音でテレビドラマの主題歌を弾く。僕は苦笑いしてピアノの上にチップを置く。


「覚えててくれたんだね、レディ。ありがと。店に来てた有名人の写真だ。あのハンサムは若者は誰かな?」


僕の若い頃の写真を見つけ、口をアングリと開けたママ凝視するラギィ。写真に穴が開きそうだw


「ココが彼がデビュー作を書いた席さ。"地下鉄戦隊サブウェイ5"の第1話は、まさにココで生まれたんだ」

「驚いた。当時は可愛かったのね」

「当時は?」


クスクス笑うラギィ。カウンターに行く。


「あぁ何もかもみな懐かしい(沖田艦長の声でw)」

「伝説のレヲ子と…ちっちゃい子はドーナね。赤いボトルはないわ。何見てるの?」

「いや、別に」


バーマン女子(バーテンダー)が胡瓜の輪切りをシンクに並べてる。


「いらっしゃい。万世橋ホールにようこそ」

「ドーナはお店に来てる?」

「いいえ。でも、いずれ来るわ。貴女がいる席は、いつもドーナがいる席だから」

「通りで居心地が良いと思ったわ。私はケイト。ドーナの古いメイド仲間よ。こちらはテリィ御主人様」


僕は、バーマン女子と握手。


「ブライ・アーン。ドーナの古い友達なら、みんな私の友達ょ」

「ねぇブライ・アーン、教えて。探してるお酒があるンだけど、あるかしら?すごく美味しくて、赤いボトルに入ってるの」

「赤いボトル?」


ミニトマトを口に含むラギィ。ヤバいょセクシーw


「そうだ!上海で一緒に飲んだ2人の思い出の酒だょな。アルかな」


見つめ合うラギィとブライ・アーンの間に割って入る僕。さっと距離を置くブライ・アーン。


「赤ね?探してみるわ。ココには茶色と緑と透明のボトルだけ。向こうもちょっと見て来るわ」

「僕の元カノを口説いてた。レズビアンかな」

「誰がレズなの?違うでしょ。ソレより見た?」


僕を睨むラギィ。


「彼女の反応ょ。ドーナが死んだって知らなさそうだったわ」

「芝居がウマいだけだろ」

「…なかった。代わりにブルーウォッカはどう?」


光の速さで戻って来るバーマン女子w


「いいえ、いらない。ウォッカには未だ時間が早過ぎるわ」

「じゃまた来るね。オーダー決まったら教えて」

「ホントは、飲みに来たんじゃないの」


ラギィはバッチを示す。息を飲むブライ・アーン。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


店のバックヤードで事情聴取。白の半袖シャツに黒のネクタイのバーマン女子、ブライ・アーン。


「ドーナが死んだなんて…昨夜会ったばかりなのに」

「何時のこと?」

「朝の4時半。私が店を閉めて出る時に、ドーナはまだ店にいて、帳簿をつけに行った」


つけに行った?何処へ?


「店には彼女1人?」

「えぇそうょ。私にとっちゃ姉貴みたいな存在だったから」

「バーを買われてしまったのに?」


目が点になるブライ・アーン。


「ソンなコトまで知ってたの?」

「実の姉貴なら、せめて共同経営にスルょ。そうしてくれなかった人物を姉だと慕うのか?」

「…確かにモメた。でも、直ぐ関係は修復したわ。済んだ話ょ」


うそぶくブライアン。


「で、ピンハネも再開か」

「え。」

「何?」


ラギィとブライは其々の理由で目が点にナル。


「君は、客からオーダー注文を受けて金をレジに入れるけど、レジを打たなかった。その額を流しに入れたフルーツで記録している。チェリーは¥1000、ライムは¥2000かな?」

「あら、そーなの?店が終わった後、レジを閉める時に集計して浮いたお金を着服するのね?」

「YES。つまり、レジからチョロまかし小遣い稼ぎをしてルンだ。それをドーナに責められて…」


アッサリ斬り込むラギィw


「殺したの?」←

「あのね!たかが1晩数千円ょ。そんなコトはドーナも見逃してくれてた。私がお金で苦労してるとわかってくれてたから」

「オフィスを見せてくれる?」


ココで初めて狼狽するブライ・アーン。


「実は…オフィスは地下なの」

「え。地下があるのか?初めて知ったな」

「2017年に神田リバーが氾濫スルまで、誰も存在を知らなかった。床板を外した時に初めて見つかったのょ…どうぞ」


ブライがカウンター横の木製ノブを回すと、扉が開いて地下へ降りる階段が現れる。スチームパンク風に磨かれた真鍮にランプ。コレは…盛り上がるなw


「伝説のバーに隠された地下室…これはめちゃくちゃクールだ。クールと言うより、まじヤバい…殺人には最適だね。誰にも声を聞かれないから」


アンティークな内装だ。書斎風でもアル。


「でも、コレじゃ遺体を運び出すのが大変ょ」

「音波銃を突きつけて、神田リバーまで歩かせたんだ。ソコで殺した」

「音波銃?凶器はボトルなのょ?」


冷や水を浴びせるラギィ。


「せっかく楽しんでるのに、ラギィは論理的過ぎルンだょ」

「ペンキの匂いがスル」

「ドーナが手すりやカウンターの木を交換したりして手入れしてたから」


壁を手で撫でるラギィ。ライティングデスクをズラすと…壁に弾痕。

デスクにあったペーパーナイフで壁を削ると、中に散弾銃の黒い弾w


「何か見つけた?」

「ココで散弾銃が発射された痕だわ。ブライ!貴女、散弾銃は持ってる?」

「まさか。持ってないわ」


首を横に振るブライ。


「鑑識が調べたら全部わかるわ。話すなら今ょ?」

「待って。ココで発砲したら店内に響き渡るでしょ?あり得ないわ」

「閉店後なら聞く者もいないでしょ」


散弾銃の球を突きつけるラギィ。


「ココ数週間、ドーナは誰かと揉めてなかった?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


バーメイドの証言。


「2週間前、1人で閉店作業をしてたの。レジのお金を地下の金庫に入れて戻って来たらノックが聞こえた。ドアを開けたら、ピックアップピートが立ってたわ」

ピックアップ(ナンパ)?ソレがあだ名(ストリートネーム)?ナンパ男ってコト?」

「いいえ。ピックアップトラックを持ってるからょ」


なーんだ。


「散弾銃は?」

「トラックに常備してた。とにかく!財布を忘れたと言うから中に入れたら、いきなり襲って来て推し倒そうとした。すると、地下からまるで幽霊のようにドーナが現れたの。店に残ってたとは思わなかった。でも、来てくれて良かったわ。ドーナはパイロキネシス(焔使い)だから、服に火をつけてピートを追い出し、トラックも焼け焦げにして追い払った」

「ヤルな」


ニッコリ微笑むメイド。


「ピートは出入り禁止ょ。昨晩までは…」

「昨晩、また何かあったの?」

「昨晩、またピートが現れて、ドーナが追い返したの。次はトラックじゃなく、貴方を焼け焦げにスルって言ってた」


ラギィは反芻。


「ピートは出禁にされた恨みで殺したのカモ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


引き続き捜査本部。


「ピックアップピートことビート・ムチャ。家庭内暴力が複数回。そしてレミントンM-870散弾銃を所有してる。もうじきエアリ達が連行してくるわ」

「ザ・テリティリヲンはどう?」

「なにそれ?」


僕は大真面目だ。


「アキバには良いメイドバーが必要だ。だから、自分で御屋敷を作ろうと思って」

「じゃ…お酒じゃなく、お店全体を買うつもり?もう"潜り酒場"があるじゃない?」

「コレは、アキバへの恩返しナンだ」


ところが、ラギィは…


「ソレ、単なるエゴょ」

「そかな?」

「警察を呼べ!離せよ!」.


青ジャンパーの男が左右にメイドを侍らせ…じゃなかった、エアリとマリレに引きづられながら登場w


「ピックアップピートのお出ましね」

「ラギィ。別のバーでモメてたわ」

「こいつ、散弾銃を車に置いたママ、お察しの通りのベロベロになってたわ」


ガクっと崩れ落ちるピート。


「殺人罪と聞けば酔いも覚めるでしょ」

「そうね」

「行くわょ来い!」


引きづられて逝く。


「ザ・テリィ…そうだ!入り口にはハネ橋だな!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室。肘で頬杖をつくピート。


「おめでとう、ピート。今年1番酔っ払ってる殺人の容疑者ょ」

「メイドさん、賞品は何だ?」

「貴方次第ね」


酔いが醒め始めたピート。


「今、殺人って言ったか?」

「免許証によると家は池袋ね?乙女ロードにバーはナイの?ソレともソコも出禁になった?」

「特別区には仕事で来てる。パイプの組み立てとか…仕事の後は別のパイプで仕事だ。俺は上手いんだぜ。意味ワカルか?あははハハハ」


いやらしく笑うピート。心象は最悪。


「散弾銃は狩りに使うの?」

「待てよ。あの散弾銃で俺がメイド長を殺したとでも言うのか?」

「違うの?2週間前、万世橋ホールで騒ぎ起こしたでしょ?」


顔色1つ変えないピート。


「そうだ。万世橋ホールなら昨日も行ったが、ムカつく女のせいで俺は出禁になってた。いっとくが、女の方から営業してきたんだ」

「店を出禁になったから、頭に来て殺したのね?」

「待て。ドーナが死んだのか?」


酔いが1発で醒めるピート。


「ソレはいーから。昨日は何をしてたの?」

「おい!何だょ?俺が殺すワケがナイだろ!」

「車をボコボコにされたンでしょ?散弾銃で撃ち損じたンじゃナイの?」


思い切り怪訝な顔のピート。


「散弾銃?何だ?先週から1発も撃ってない。硝煙反応を調べろ。確かにドーナにトラックをぶっ壊されたけど、後で修理代をタンマリもらってる」

「何ですって?」

「トラックに着火されたンで警察に通報してたら、急に下手に出て10万円、現金で握らせて来た」


今度はメイド達が怪訝な顔。


「ドーナがアンタに10万円を?」

「もっといっぱい持ってたわ。宝くじでも当たったのかって聞くと、そんなトコロだと言ってた。修理工場(ガレージ)に聞け。俺は修理代を現金(キャッシュ)で払ってる」

「ココで待ってて。ちょっと電話してくるわ」


出て行くエアリ。


「メイドさん、大丈夫だ。犯人は必ず捕まる」


お前に逝われたくナイなw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。エアリはスマホを切る。


「ピートはアリバイがあった。シロょ。犯行時刻は他の店でビリヤードやってた」

「口座の残金が限りなくゼロに近いメイドが10万円もの大金をポンと払うなんて信じられない」

「店の修繕費に手をつけたか、その日の売り上げを使い込んだか?」


さらに、僕のナイスな気づき。


「ドーナが店の金を盗んでたら、仕入れ先への支払いが滞るハズだな」

「ヲタッキーズは万世橋ホールに行って店の帳簿を調べて。お金の出所を調べて来て」

「ROG」


制服警官がラギィにファイルを渡す。


「警部にです」

「ルイナの鑑識結果が出たわ…店に赤いガラスの破片はなかった。血痕も弾痕の下に少しだけ」

「万世橋ホールは殺害現場じゃないのか?」


ラギィは唇を噛む。


「メイド長は御屋敷では殺されなかった」


第3章 万世橋ホールの地下


万世橋ホールの地下オフィスで帳簿読み込み。


「わかんないわ。ドーナは撃たれたのに、なぜ通報しなかったのかしら」

「オーナーになりたてで警察沙汰になれば、酒の販売許可を取り消されるからじゃナイ?」

「だから、ピートとも金で解決をしたのね」


エアリとマリレは2人共スーパーヒロインなので、超速で帳簿類を読み込んで逝く。メイド服だけど…


「でも、不思議ね。経営はかなーりヤバかったようょ。毎日ギリギリの赤字で散財は出来なかったハズだわ」

「その割に、随分と派手に投資してる。この請求書だと、新しい手すりと木材の交換に60万円近く支払ってる。1つはカウンターの木材の交換ね」

「うーん2つとも小口現金で支払ってる」


エアリはしかめ面w


「小口?小口って額じゃないわ」

「やっぱり宝くじが当たったのかな?」

「コレだわ…理由がわかった」


超速でペーパーをめくる手を止めて1枚抜く。


「"ハーゲン&ダッツ"?…最近秋葉原に進出して来た外資系の老舗オークションハウスとの契約書?」

「ピカソやレンブラントの絵を売るようなトコロでしょ?そんなトコロとドーナは何の契約をしてたの?」

「バーの経営が破綻寸前だと言うのに…組合員証をオークションに出したのかしら?」


まさか。


「組合員証以外に何かを売ったのね」

「何かしら?海外の老舗オークションハウスの興味を引くようなモノ?」

「人から盗んだモノかも」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


オークションハウス"ハーゲン&ダッツ"は同朋町に自社のオークション会場を持つ。ラギィと訪問。


「ココは歴史を重んじ、アーティストの技を高く評価するための場所だ」

「テリィたん、歴史の保存に興味があるのね」

「変化にも敏感だけどね」


スマホをいじりながら会場に入る。どーやら今日は下見会らしく富豪や富豪代理人でゴッタ返してる。


「スピアのお友達のコト?」

「いや。第1秋葉原高架橋下のコトだ。昔、あの辺は電気街らしいヲタクを惹きつける強い個性があった。でも、ソレが消えた」

「そうなの?」


背後で咳払いが聞こえ、僕は何気に握ってた彫像の頭から手を離す。げ。ギリシア美術の女神像だたw


「お待たせしました。副ハウス長のスティ・ハスラと申します」

「万世橋警察署のラギィです。コチラは南秋葉原条約機構(SATO)のテリィたん」

「え。もしや、あの国民的SF作家の…貴方が?先日"地下鉄戦隊"の初版本がロンドン支店で落札されてます。プライマリーマーケットに御興味は?セカンダリーより断然お得ですが…」


力強い握手。ラギィが咳払い。


「スティさん。このメイドのコトなんですが、見覚えはありませんか?」

「あぁドーナ・ヘイズさんですね。万世橋ホール、メイド長の。彼女が何か?」

「殺されました」


驚愕スル副ハウス長w


「こ、殺された?ウソでしょ?」

「ドーナが何かを出品したのは知ってるのですが、何を出品したかがワカラナイのです」

「警部さん。"ジミウ・桜花"と言う人物をご存知ですか?」


首を傾げるラギィ。即答の僕。


「モチロンです」

「発音が似てるけど、ウィスキーのJimmy Walkerではありませんょ?」

「初代の秋葉原D.A.(特別区)長だ。2024年に就任。あだ名は"ボー・桜花"。アンチスーパーヒロインの汚職政治家で"反ヒロインの父"と呼ばれ、初めてスーパーヒロインに人権を認めた秋葉原デジマ法に対して常に否定的なスタンスの持ち主だった」


驚くスティ。


「御存知でしたか?彼は"覚醒"したスーパーヒロインを、あくまで突然変異種(ミュータント)として扱った。さすがは…」

「そんなコトより、元特別区長が今回の事件とどんな関係がアルのですか?」

「ソレは、ドーナから元特別区長由来の出品があったからです。元区長は、最高級のバーボン原酒をコレクションしていると言われていました。ソレは御存知で?」


僕は、古い記憶をたどる。


「しかし、程なく彼は辞職に追い込まれ、コレクションは全て下水に流されたハズだ」

「ところが、その残りをドーナが持っていたのです。1875年バーボンの原酒。もちろん、モノホンであるコトは、当オークションハウスの専門家の折り紙つきです。因みにラベルには元特別区長のイニシャルが殴り書きされてました」

「1875年モノは、最高品質のバーボンだ。国営放送の朝ドラでもやってた。俗に"人を殺してでも味わう価値がアル幻のバーボン"と逝われてる」


ラギィが口を挟む。


「ボトルの写真はありますか?」

「えぇ。落札後もウェブサイトに画像が残ってるハズです。今、探してみましょう」

「しかし…何でソンなモノをドーナが手に入れたンだろう」


ウェブで探しながら答えるスティ。


「元は祖母のレオ子が持っていたそうです。あの"第2.5次太平洋戦争"に従軍メイドとして参戦、生還したお祝いにもらったとか…ありました。このボトルです」


PC画像のボトルは…赤いw


「このボトル、今はどちらに?」

「落札者は…ジフリ・(マグロ)さんですね。ネット億万長者だ。落札価格は2600万円。コレはお買い得だな」


2600万円の何処がお買い得だょ?


「2600万円のボトル。あの赤い破片には、そんな高値がついていたのね」

「随分と高価な凶器だな」


副ハウス長のスティ・ハスラは首を傾げる。


「凶器?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


陽光が降り注ぐオークション会場から一転、練塀町のタワマン地階。専用エレベーターを降り、手動でガラガラとシャッターを〆て地階フロアに降りる。


「ネット億万長者のジフリって何で儲けてるの?」

「オンラインゲームのサイト運営でガッチリ(マンデーw)?50もサイトを持ってるらしい」

「その割に殺風景な住環境だ。まさかホームレス?ちゃんと殺す動機とかアルのか心配」←


地下金庫の錆びた扉みたいな鉄扉の前に立つ。


「うーん良くワカラナイけど、少なくとも神田リバーには近いね」

「こんにちわー。万世橋警察署でーす」

「デリバリー来るの、遅せえんだょ!」


やたらスムーズに錆びた鉄扉が開き、ヒョロ長くて青白いモヤシ青年が現れる。バッチを示すラギィ。


「おっとピザのクワトロ2ウルトラハッピーじゃなさそうだね」

「オークションを利用したジフリ・マグロさんは?」

「僕さ。マグーって呼んでょ」


彼が…億万長者?ジーンズにTシャツ。UNIQLOのチラシから抜け出たようなファッションセンスw


「君がマクギガン?」

「おい!マグーだ。バカにするな!オークション?確かに色々買ったけど。ま、どうぞ」

「お邪魔」


中は…驚くほど広い。遠くソファが点在し移動はスケボー。ソファでくつろぐヲタクは全員Tシャツw


入って来た僕達に気づきもしない。


「君が落札したモノの中に赤いボトルの最高級バーボンがあるンだが」

「あぁ結構高かった。かなり美味かったょ」

「美味い?飲んだのか?135年寝かせた貴重なバーボンだぞ。そんな簡単な一言で済ませるなんて!美味い?ソレだけ?」


ズズズとコーラを飲むマグー。 


「いや。ソーダと混ぜた」

「おい!」

「待って。テリィたん」


1歩前に出たらラギィに足を踏まれるw


「そう?じゃボトルを見せて。赤い奴」

「マジで言ってる?!アンタ達、勝手に来てちょっと威張り過ぎだょ!どっちにせよ、ココにはないぞ!」

「まさか、あのボトルを割っちゃいないよな?」


遠く遥かなバーコーナーの酒棚を目を凝らすが、白内障で見えない。マグーから望遠鏡を渡されるw


「マグー。貴方、ボトルを割っちゃった?」

「何なんだょアンタ達!僕は仕事で忙しくて、大学は中退したけど、自分の権利ぐらいは知ってるぞ」

「貴方が買った、あのボトルが殺人に使われたかもしれないの。容疑者の権利警告を聞きながら逮捕されたくなかったら、さっさとボトルを見せて」


少し考えてから、態度を改めるマグー。


「わかった。邪魔はしないょ」

「助かるわ」

「コッチだ。来てくれ」


広い地下空間を電動キックボードで移動、オープンキッチンのリサイクルBOXから空き瓶を取り出す。


「まさかポイ捨てか?」

「捨ててない。リサイクルに出したンだ。良く見てょ!」

「わわわ」


赤い空瓶を投げてよこす。奇跡的に受け止める僕。


「どこも欠けてなさそうね」

「殴った衝撃で破片が飛び散ったハズなのに、何処も欠けてナイ」

「because 俺は誰も殴ってないから」

 

帰りの電動ボードでラギィにコボす。


「ソーダ割りにスル奴は誰かに殴られるべきだ」

「もう良いでしょ。ありがとう、マグー」

「あんなバカな若造にモルトバーボンを飲む資格はナイ!」


赤い空き瓶を白いハンカチで推し頂きながら、謎の地下空間を後にスル。背後で閉まる赤錆びた鉄扉。


「何に混ぜたか聞いたか?僕が35才若ければボコボコにしてたトコロだ」

「テリィたんが?ボコボコにされてたの聞き間違い?そもそも、テリィたんって、お酒飲めたっけ?」

「いや。下戸だ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の検視局。モニターに"リモート鑑識"中のルイナ。


「テリィたんの持って来たボトル、確かに同じ赤いガラス製だったけど、何処も欠けてなかったわ」

「じゃルイナ。コレ以外にも、何処かに同じモルトバーボンの瓶がアルってコトか?」

「まぁそうなるわね」


綿棒で赤いカケラの残り香?を嗅ぐ。


「というコトは、未だモルトバーボンを飲むチャンスはアルってコトだ」

「オークションに出品したボトルとは、別のボトルで殴られたってコトね」

「頭をガツンとね」


全員が全力でチグハグな会話をスル。


「同じバーボンのボトルを抱いてる人がいて、その価値を知ったドーナは、残りのボトルの行方を追った」

「そして、奪おうとしたのか」

「元市長のバーボンについて、も少し調査スル必要がアルわ」


同感だ。


「リサーチだ。僕もやってみよう」


も1度、綿棒で赤いカケラの匂いを嗅ぐ。ルイナに思い切り怪訝な顔をされ、そのママ画面から退出w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


シェイカーをシャカシャカする僕。軽く匂いを嗅ぎカクテルグラスに注いで、うやうやしく差し出す。


「コレは、太平洋の対岸で禁酒法時代に生まれた"サイドカー"だ。当時は、男達は酒を飲むために危険を犯した。潜りの酒場(スピークイージー)でギャング達と肩を並べてさ」


1口飲んでミユリさんは微笑む。


「テリィ様。バーをお始めになれば?アキバには、良いバーがないモノ。店名は"テリックのカフェAmerican"」

「カサブランカだ!僕もカサブランカから考えたけど"テリィブランカ"しか考えつかなかった。ダサイだろ?」

「はい」←


スピアが御帰宅スル。


「私も飲みたい。H2O」

「水道水と逝えょ」

「例のゴスロリ系のお友達は何処へ行ったの?」


ミユリさんが話を振る。


「ファッションカレッジで知り合った人と何処かに遊びに行った。私は邪魔みたい」

「喜ぶべきか怒るべきか…ちょっと安心したな」

「テリィたん、だょね。彼女"壁"がアル。私が大事にしてるモノはオール馬鹿にスルし…昔の彼女は何処にもいないわ」


ミユリさんの出番かな。


「あのね。多分スピアが変わったから、彼女はポジションを失って戸惑ってるんだと思うわ」

「そうかな。でも、姉様。私は全然変わってナイわ」


一斉にホメに回る僕達。


「もう何言ってるの?スピアは変わったわ。こんなに綺麗になって。鏡を良く見て」

「しかも、美人のメイド長の影響で、ドンドン綺麗になってるな」


ミユリさんもホメて一石二鳥だ!と思ったら、カウンターの中でシカメ面される。女心はワカランなw


「きっと仙台の子は、スピアがスゴく変わっちゃったので、気後れしてるのょ」

「姉様、ソレはナイ。アンタと行く店は違うって言われちゃったンだょ?」

「ソレはバカにされたんじゃなくて、自虐的な意味なのょ。わかってあげて」


僕は、僕の義務を果たそう。


「じゃバージンモヒートを作ってあげるょ。冷蔵庫からミントを取って来て」

「スピアの瞳に乾杯」

「乾杯だ」


僕は、ミユリさんと乾杯だ。一方、スピアが冷蔵庫を開けたら…詰め込んだ色んなモノが転がり出るw


「テリィたん!コレ、何の罠?」

「いや食材を盗まれないようにと思ってさ。影の政府や宇宙人やギャングから護ってる」

「考えてから詰め込まないと!プンプン」


意外なシッカリ者ブリを発揮するスピア。


「考えて仕込むの。さ、入れ直すのを手伝って」

「ROG!」

「はい。麺ツユからしまって」


突然ふと立ち止まる。


「仕込まないと…そうか!」


元カノを今カノの目の前でハグw


「ミユリさん。散弾銃の謎が解けたぞ」


見つめ合い、戸惑い、やがてニッコリと微笑み合うミユリさんとスピア。僕の大好きな Akiba girls。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋ホールの入口には、羽根ペンとナイフがクロスした紋章が飾られてる。僕達は勇んで出掛ける。


「さぁ危険と冒険の旅に出よう」


地下オフィスへの階段で降りる2人。


「禁酒法時代は危険が多かった。密売者は酒って宝を守るためなら人殺しだって日常茶飯事だったンだ」

「結論プリーズ」

「ピートがメイドを襲った時に、ドーナは地下にいたけどメイドは気づかなかったって」


大事なポイントだ。


「遅い時間だったし、彼女は疲れてて見逃しただけですね。想像つきます」

「ホントにそうかな?」

「つまり?」


壁を指差す僕。


「その向かいの壁が怪しいな」

「テリィ様。何を探してらっしゃるの?」

「真実さ」


天を仰ぐミユリさん。一瞬、光の渦巻きが起きて、彼女は"ムーンライトセレナーダー"に変身スル。


ありがたい。


「伝説のレイ子がドーナにしか伝えていないコトがあったとしたら?いや、レイ子でさえ、真相を知るコトがなかった秘密もあった。洪水で地下への隠し戸が見つかってなかったから?ドーナはチェーン店にバーを売るって話を聞いて気がついた。確かめるなら今だってね」

「真相って何のコトでしょう?」

「組合員証を売って、全財産も叩いた。そして得たモノがココにある。さぁ来てくれ。ムーンライトセレナーダー」


指をポキポキ鳴らして準備する力強い彼女w


「手伝って。ヨイショ。ココに秘密の宝が眠ってる。元特別区長のモルトバーボンを手に入れルンだ」

「テリィ様、推して」

「推してるょいつも」


アンティークな戸棚だ。力を合わせると棚は動く。


「何なの?これ、スゴいわ」


棚の奥は地下道が通じている。ひるむコトなくムーンライトセレナーダーを先頭に中へと入って逝く。

 

「テリィ様。ピートの騒ぎの時には、きっとドーナはココにいたんだわ」


奥の古い木製のドアを開けると、ドアの外に向かって隠し拳銃が仕掛けてある。ギョッとする僕達w


「ドアを開けると発射する仕組みになっている。驚いたな」

「ねぇ聞こえますか?」

「うん。水が流れてる」


川の音?


「神田リバーにつながっているとしたら、ココがきっと殺害現場だわ」


僕はうなずき、トイレ用プランジャーにトイレットペーパー、ジンを浸してトーチをつける準備だ。


「テリィ様。何してるの?」

「明かりがあったほうが良いだろう?」

「ダメです」


ろうそくの火を吹き消すスーパーヒロイン。


「ソレでは酸素がなくなっちゃいます。インディ・ジョーンズさん。あかりもいるけど、酸素も大事」


僕にランタンを持たせる。


「ちっとも面白くないな」


乾電池のランタンをつける僕w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ココは、大正浪漫時代の下水道ですね」

「禁酒法時代は秘密の通路だったんだ。すごいな」

「欠点もアリます。湿ってるし、狭くて、暗いし…きっと私は、ネズミの糞を大量に踏みまくりながら歩いてる。もう最悪です」


ボヤくスーパーヒロイン。


「チャドもいそうだね」

「チャド?」

「地下世界に棲む食人鬼だ」


意外そうな顔を向ける彼女。


「テリィ様は、てっきりアリゲーターがいるってタイプの方だと思ってました」

「アリゲーターがいるのか?クロコダイルは?」

「さあ?」


肩をスボめライトで照らし先へ進む。角を曲がる。


「なんだろう。この残骸は?」

「元は下水道でしたが、随分と前にレンガで塞がれてたようです」

「ソレをドーナが壊したんだ」


古いスイッチを入れると突然明かりがつく。クモの巣だらけの少し広めの地下室。木の棚にモルト瓶。


「元特別区長のサイン入りだ。ボー・桜花。1919年。太平洋の向こう岸で禁酒法が成立した年だわ」

「めちゃくちゃイケてる最高のタイムカプセルだ。地下の秘密酒庫とは。ドーナがレヲ子から聞いた話はホントだった。ドーナはきっと喜んだろうな。コレだけあれば、ブライ・アーンのチョロマカシなんて、どうでも良くなる」

「壁に並んだバーボンは100本以上アリます」


思わズ手が伸びる。


「1本頂戴して飲んでみよう」

「テリィ様。ラギィの証拠品ですょ。ソレに…もう何本か持ち出されてるみたい」

「コレが盗まれたのは最近だ。ボトルがあった箇所にホコリが積もってない」


ライトで照らし出す。


「テリィ様。赤いガラスの破片です。凶器を見つけました」

「指紋がついてるかもしれない」

「ソレ、血も混じってると思うからテイスティングはしないでください」


僕は、しかめ面だ。


「ソコまで飲みたそうに見える?」

「犯人は、地下酒庫の存在を知り、ココまで来たのね。ドーナが見つけた宝のコトを知って、ココまでつけてきたのよ。そしてドーナは、ソレに気づいて鉢合わせ。犯人は、咄嗟に武器になるモノを手に取った」

「まさに死の一撃だ。そして、それが致命傷となった」


ホコリの中に死体を引きずった跡がある。ライトを照らしながら跡をたどる2人。


「犯人は遺体を引きずり、地下道を引き返した。見て。コッチに続いてるわ。引きずった後がコッチまで続いてるわ」


角を曲がる2人。


「何でもあって便利な場所だな。人目につかないし、遺体を簡単に片付ける死体処理装置付きだ」

「この先は神田リバーね」

「遺体も自然と神田リバーに流れつくようになっているみたいだ」


下水溝のフタを開ける僕。まだ明るいサイリウムを見つける。誰かが使用したか、未だ使用中なのか?


「ついさっきまで誰かがいたんだ」


突然、地下道の奥で物音がする。素早く音波銃とライトを構える僕。


「ヲタッキーズ!止まって!動かないで!」


構わず動く物音。ライトをつけて追う2人。


「止まって!南秋葉原条約機構(SATO)ょ!」

「ムーンライトセレナーダー、アッチへ行った」

「こっち?」


ラビリンスだ。暗黒の地下迷路。見失う。


「どこ?」

「目の前にいたのに」

「行き止まりです」


そんなバカな。


「他に通れる道はなかったょね」

「一体どこに消えたのでしょう?」

「"リアルの裂け目"が開いたのか?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


「消えたの?」

「そーなんだ。僕達の前を走ってたんだけど、気がついたら消えてたンだ」

「"リアルの裂け目"なら開いてないわ。警戒配置も発令されてナイし」


ヲタッキーズのみんなも腕組み。


「店のカウンターにはブライ・アーンがいたけど、誰も地下室から出て来た者はいないと言ってる」

「元特別区長は、酒庫の存在がバレないよう地下の出入り口から人が出るの見られたくなかったハズだ。きっと、別の出入り口も作ってたんだ。いわば、宝への道だね」

「相当探したけど見つからなかった」


ラボからルイナが割り込む。オンライン飲み?


「割れたボトルについていたのは、ドーナの血だった。コレで殺人の凶器が見つかったわ」

「指紋が付着してたが、誰の指紋かは不明。犯罪データベースとは誰とも一致しなかった」

「トンネルは70年間封鎖されていたのに、犯人は簡単に別の出入口を見つけた。相当地下世界の事情に詳しい奴ね」


ヲタッキーズも割り込む。


「その抜け道の他に、下水道につながる通路があるハズなのに、ソレらしきモノは図面には載ってナイ。存在が知られていないのょ」

「コレは新しい下水道の地図だろ?新しい地図を作る時、封鎖された古い下水道は放置されルンだ。埋め殺しって言うんだけど、レンガで開口部を塞がれたりする。古い地下鉄のトンネルや40年も前に閉鎖された駅もある。万世橋駅さ」

「エアリ。貴女の図書館、昔の下水道台帳とかないの?地球が冷え固まって以来、あらゆる本があるのでしょ?抜け道が分かれば、出て来る犯人を見た人を見つけられるカモ。直ぐ取り掛かりましょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


実は妖精のエアリは、有史以来のあらゆる書籍を所蔵スル巨大図書館の司書だ。徹夜で台帳を探す。


「全くアナログだな。コピー機ぐらいおけよ」

「第二次世界大戦以前の資料ばかりよ」

「70年以上1度も閲覧されていないはず。これは大正浪漫の頃だわ」


地球の中心まで続く洞窟図書館。ヲタッキーズは飛んで探し回ってる。僕はミユリさんにへばりつくw


「当時は今よりも良い時代だったのね。この台帳だと、ココが万世橋ホールか」

「売春宿だった直後ね」

「ガーターベルトが目に浮かぶな」


ミユリさんに睨まれる。


「この下水道は新しい図面にはなかったわ。コレが私達のいたトンネルですょね?」

「元特別区長の酒庫はココだ。このトンネルを通れば誰にも見られず元特別区長のバーボンを取りに逝けるな」

「でも、外からトンネルへはどうやって入ったのかしら」


古い台帳を覗き込む、スーパーヒロインと妖精とロケットガール…と僕←


「犯人が姿を消した場所から3本に下水道が分岐してるね」

「いずれかから逃げたのね。3本の下水道がそれぞれどこまで続いてるかを調べて。出口から犯人が出る時間がわかれば、街頭カメラに映ってるカモ。犯人を見た目撃者がいるとか」

「どうやら、その必要なさそうだぞ。この台帳は70年間眠ってたわけじゃない。この貸出カードによると、ある人物が2週間前に借りてるな。僕達がトンネルにいた時、犯人は元特別区長のバーボンを売り飛ばすために取りに来てたンだ」


何と貸し出しカードが付いてる。さすがは図書館司書。貸し出しカードを見て、全員が納得スル。


「他に入札者はいますか?次の商品は、高級モルトバーボンです!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


オークションハウス。落札!


「ソチラの後ろの男性!次は1955年シャトーレスティオの白!」


インド系の美人がカゴ入りの瓶を取り出す。


「それでは12万円から開始いたします。12万円の方。ソコのアフリカ系の方。16万円。そちらの方17万円はいますか?はい、354番の方」

「では187番のパドルの方」 


咳払いする男。


「その後ろの方。20万円はどうでしょう?」


ラギィがパドルの代わりに警察バッチを示す。


「20万円!」


続けてエアリがバッチ。横からマリレが迫る。


「それでは20万円の方…」


声が小さくなる。立ち上がる僕達。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


解散が決まり、後片付けが始まった捜査本部。


「ハスラを信用してドーナはバーボンのコトを話したようです」

「ハスラは1本ずつ売った方が金になるとドーナを説得、その間にハスラは酒庫のありかを調べた」

「でも、酒庫でドーナと鉢合わせをして仕方なくボトルで殴りつけた」


エスポが駆け込んでくる。


「ハスラが消えた謎がわかったわ!」

「秘密の通路?」

「え。まーね」


思い切りつまらなそうな顔のエアリ。


「反対側からしか開けられない扉があった。その扉で通りから酒庫に行ける。元特別区長が使ったルートです」

「ハスラは全部は持って行かなかった。3ケース分残ってた」

「わお!」


木箱を台車で持ってくるマリレ。


「コレ1本で26万円だから、全部で1億円近いわ」

「ちょっとどうやったら1本もらえるかな?飲んでみたい」

「それは証拠品だから」


僕はとぼける。


「でも、今日の証拠品は明日の寝酒に変わっても問題は無いだろう」

「ダメよ」

「いずれにせよ、数ヶ月後、誰に所有権があるかが決まるわ。はい、ラギィ」


スマホに出るラギィ。スピアとゴス系娘がIN。


「どうした?」

「かっこいいでしょ?一緒にお買い物したの。初めて行くお店だったけど」

「この近くなんだょ」


2人は赤と黒のゴスロリw


「ホントにお洒落。グレシはセンスが良いわ」

「スピアは、何着ても似合うよね」

「また仲良くなったんだ」


感心する僕。女子ってスゴい。


「私達、新しい関係を築いたの。もう10才じゃないわ」

「とにかく、泊めてもらって助かったよ。ありがとう。昔を思い出した。大人になると色々大変でね」

「よくわかる」


スピアとハグ。赤黒の順で出て逝く。


「駅まで送ってくる…ミユリ姉様が後で来るわ」

「警告をどうもありがとう」

「懐かしい。ちょうどタトゥー入れた頃ね」


ラギィの声に、思わズ振り向く僕。


「タトゥしてたの?どこに?」

「さて、何処でしょう?このバーボンは元特別区長のモノだから所有権は特別区にあるそうよ。でも、テリィたんが警察の遺族基金に寄付すると言うのなら、特別に1本あげても良いと言われたわ」

「え?」


1本渡される。鼻を抑える。押し頂く。


「想定外だ」

「泣いてるの?」

「あーなんと言えば」


瓶を胸に抱く僕。


「寄付するって言えばいいのよ」

「もちろん寄付はするよ。ぜひみんなと一緒に飲みたいんだけど、どうかな?」

「それなら少しちょうだい」


もうグラスを持っているラギィ。


「違う。万世橋ホールでドーナとレイ子に捧げようと思うンだ」

「そういえばあの店はどうなるの?」

「経営不振だろうから、チェーン店になっちまうんじゃないか?」


僕は胸を張る。


「いや。その心配に及ばないよ」

「テリィたんが買ったのね?」

「飲みに行くか?」


思い切り誘う。


「そうしたいんだけど、もう遅いし、まだ仕事が残ってるわ」


僕はとっておきの歌を歌い出す。オールドソング。ヲタッキーズが次々と歌い出す。


ラギィが振り向く。


みんながラギィを見る。ラギィも歌い出す。全員で肩を組み捜査本部の中を歩く。古い歌を歌いながら。


ヲタク 般ピー 垣根を超えて

目指すアキバだ 外神田

メジャーの煌めき はるかに遠く

闇にうごめく 地下アイドル

サンダースネイク!ロマンス決めろ

ゼロゼロに向けてヲタを打て

俺たちゃアキバの

俺たちゃアキバのヲタクだぜ



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"伝説のバー"をテーマに、バーのメイド長、港湾労働者、廃棄物マフィア、バーテンダー、萌え出した頃のアキバを振り返る超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。


さらに、主人公の元カノの友人がゴスに豹変した騒ぎなどもサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、すっかりカタコト英語が公用語となったインバウンドのあふれる秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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