第56話 ヴォルヴァーズ
前回の荒すぎるあらすじ!
パリステイン到着
元、金と銀を入手
奏魔法の練習
以上!
皆さんお久しぶりのスリ師キャンドルです!
毎度ながら投稿ペース遅いですが頑張って書いてますよ?
とまぁ、御託は極力省いて本編どうぞ!
朝、元達の姿はパリステインの外にあった。
これからヴォルヴァーズに向かう。
紫が先頭を飛び、元がその後を歩き、奏が隣に並んでいる。
しばらく歩いているとだんだんと風が冷たくなってきた。
元と奏は元の用意した防寒着を着用、紫はそのままで先頭を飛んでいる。
その後、しばらく歩いていくと雪が降り始め、更に歩いていくと町が見えてきた。
町は一面雪に覆われ銀世界と化している。
表の道には町の者は出ておらず、露店商もその姿を見せていない。
唯一人が居るとすればそれはこの町に訪れた、もしくはこれから旅立つ旅人位なものだ。
そんななか、元達も訪れる者としてこの町にやって来た。
この町の名はヴォルヴァーズ、火山の麓に位置し、一年を通して暑い灼熱の町。
しかし今は一面雪に覆われた極寒の町。
元達は宿を訪れた。そこには普段なら全く使われることの無かったあろう暖炉がロビーに設置されていた。
宿屋
「いやー、もともとはインテリアとしてのただの飾りのつもりだったんですが、まさかそれに助けられるとは思いませんでしたよ。はっはっはっ!!」
元はチェックインを済ませ、暖炉に群がる町民に雪の原因訊ねた。
群がる人A
「大雪の原因だ!?そんなもんこっちが知りたいくらいだ!!」
群がる人B
「今、調査隊が調べに出とる。今はそいつらの報告待ちじゃ」
二人は寒い寒いと身を丸くして答えた。
つまるところ何も分かっていないのだ。
元は呆れながらも自ら原因を調べる為、町へ繰り出した。
奏と紫も後に続く。
元は何か手がかりがないかと町へを練り歩くが、一向に何も見つからず時間だけが過ぎていった。
身体も冷えて一旦宿に戻ろうと元が奏の方へ振り返るとその先に一人の少女が佇んでいた。
奏も元の視線が自分の後方へ向けられているものだと気づくと、元の視線の方へと目をやった。
透き通るような白い肌、腰まである白銀の髪、純白のワンピースに身を包まれた少女が白い世界に一人ぽつんと佇んでいる。
奏は少女に近づき屈みこんで話しかけた。
奏
「寒くないの?」
奏に話しかけられた少女はこちらを向き、疑問の表情を浮かべ首を傾げた。
奏
「一人?お父さんかお母さんは?」
少女はキョロキョロと周りを見回し、遠くの方を見た。
奏も少女の視線の先を確認する。
奏
「向こうにいるの?」
少女の視線の先にはこの町のシンボルであるヴォルヴァル火山があった。
元
「ヴォルヴァル火山、あそこにお前の親がいるのか?」
少女は頷く。
奏
「よし!私たちがお父さん?お母さん?…の所に連れていってあげる!いいよね元!」
少女は奏のお父さんという言葉に首を振り、お母さんという言葉に頷いた。
奏に同意を求められた元は了承し、しかし一度宿に戻るように奏に返事をする。
宿に戻る途中、奏が少女に質問をしている。
奏
「あなたのお名前はなんですか?」
少女は奏の質問に対し、奏を見つめ続けている。
奏
「もしかして喋れないのかな?」
奏は元に質問する。
元は何も答えない。奏は元に無視されたのも気に止めていない様子だ。それもそのはず、元は普段から自分の答えるべきでない質問に対しては沈黙を返事としていたのだ。
奏は少女に向き直った。
奏
「字はかける?」
少女は頷く。
奏はDRからカバンを取り出し、その中からノートとシャープペンシルを取り出し、少女に手渡した。
少女は受け取り、首を傾げる。
奏
「そこに書いて、あなたの名前」
少女はノートに自分の名前を書き始める。「スノー」その先を書きかけ止めた。
奏はノートを覗き込む。
奏
「スノー?それがあなたの名前?」
少女は奏の顔を見つめ、頷いた。
奏
「スノーちゃんか。ん~、ちょっと違和感が…ねぇスノーちゃん、貴女のことゆきちゃんって呼んで良い?」
スノーは少し驚き、しかし、笑顔で頷いた。
そうこうしてるうちに、宿屋に到着、元達が宿屋に入ると
入れ違いに数人の人が出ていった。
元
「主人、今のは?」
宿屋
「ああ、詳しくは知らんがこの大雪の原因が解ったらしくてな、その解決に乗り出したみたいだぞ」
元
「そうか。主人、悪いが防寒着を4着用意してもらえないか?」
宿屋
「はいよ、ちょっと待ってな」
元達は自分達で用意したものと、宿屋で用意してもらった防寒着を2重に着込みヴォルヴァル火山へ向かった。
町を出たすぐ脇にヴォルヴァル火山の山道があるのでそこを進む。
本来ヴォルヴァル火山には火属性のモンスターが生息しているのだが、現在は雪のせいで活動を停止してるようで幸いなことにモンスターに襲われること無く進んでいる。
道中、雪で視界の悪いなか、目を凝らしながらスノーの母を探すがそれらしき人物を見つけられずとうとう山頂までたどり着いてしまった。
奏
「ゆきちゃんのお母さん見つからないね」
奏がそう呟き、スノーが悲しそうな表情になったとき後方から話し声が近づいた来た。
元は草木の影に隠れ奏達に手招きする。奏とスノーはそれに従う。
討伐隊A
「とうとう山頂まで来てしまったな」
討伐隊B
「ここまでの道のりでは見つからんかったからな」
討伐隊C
「後探してないのは火口位か」
討伐隊の1人が火口に近づき、何かを見つけ他の討伐隊に大声で知らせた。
討伐隊D
「居たぞー!『スノードラゴン』だ!」
討伐隊Dの言葉を聞いた討伐隊達が顔を見合わせた後、火口に飛び込んで行った。
その様子を一通り見終えると元達は草木の影から出てきた。
奏
「スノードラゴン?スノー、ってまさかゆきちゃんも!?」
奏は驚きスノーを見る。しかしスノーは小首を傾げるばかりだ。
元は討伐隊が向かった火口に近づき中を見る。奏もそれに続いた。
火口内の溶岩に蓋をするように雪が積もり、その火口の中心に純白の龍が先ほどの討伐隊に牙を剥いていた。
討伐隊はあまりに脆く、ドラゴンの爪の一振りで既に瀕死の状態だ。
ドラゴンを見たスノーはドラゴンの方へ駆け出した。
奏も一瞬遅れてそれに続く。
スノーは走っている最中、一瞬スノーの体が光に包まれ小さなドラゴンの姿に成った。
純白の龍は討伐隊に止めを指すべく吹雪息を放つ。
スノーは既に純白の龍の目の前まで来ており吹雪息をかわせない。
呆然と立ち尽くすスノーを前から抱き抱えブレスに背を向ける奏、吹雪息の衝撃に身を備えるが一向に吹雪息は襲いかからない。恐る恐る振り替えると元が吹雪息の前に炎の壁を作って吹雪息を受け止めていた。
元
「焔障壁」
龍はブレスを止め、それに続き元も焔障壁を解いた。
スノーは奏の腕の中から離れ龍の元へ駆け寄った。
スノー
「ピー!ピーピー!」
スノードラゴン
「ああ、貴女方がこの子を連れて来てくれたのですか?」
奏
「ドラゴンが、喋った……。あ、貴女がゆきちゃんのお母さん?」
スノードラゴン
「ゆき?」
スノー
「ピーピー!」
奏
「あ、え~っとゆきちゃんっていうのは私がそう呼んでるだけで本当はスノーちゃん、ですよね?」
スノー
「ピー!」
スノードラゴン
「ふふっ、いえ、この子の名前はゆきですよ。今そう決めました」
奏
「え?」
スノードラゴン
「この子は卵から孵る前に何者かによって拐われました。なのでまだこの子に名は無かったのです」
奏
「拐われた!?」
スノードラゴン
「ええ、ですがこの子を拐ったもの達の組織は何者かによって壊滅させらたようです。それを確認してから私はゆきを探していたのですから」
奏
「そう、ですか」
スノードラゴン
「それでは私達はそろそろ行きますね。またお会いしましょう」
ゆき
「ぴーー!」
スノードラゴンの親子はそれだけ言い残すと空を飛んでいってしまった。
第56話 ヴォルヴァーズ END
元
「動けるか?」
討伐隊C
「あ、ああ。俺は直撃を受けなかったから大丈夫だ。だがAとDが…」
討伐隊B
「俺もなんとか動けそうだ」
元
「なら俺が1人を担いでいく。もう1人はあんたに任せるぞ」
討伐隊C
「ああ、すまない、恩に着る」
元
「奏に感謝するんだな」
討伐隊B
「感謝してもしきれない。戻ったら相応の礼を用意するよ」
奏
「そんなのはいいですよ。私達は私達で勝手にここに来ただけですから。皆さん命に別状がなくて良かったです」
紫
「さ、早く降りないと火山が噴火するよ~」
奏
「それでは皆さん、気をつけて、急いで山を降りましょう!」
第56話 ヴォルヴァーズ END