第3話 7月14日放課後
放課後
起立、礼、
「建太、秋季帰ろうぜ」
「わかった。雄騎帰る…あれ?」
雄騎がいない、先に帰ったか?
「杏、奏は?」
「殿下に呼ばれたから先に帰ってくれって」
「そうか、じゃあ3人で帰ろう」
俺たちは3人で帰ることにした。
帰りの話題はもちろん秋季の事だ。なぜこんな時期に転校してきたのか、とか、前はどこに住んでいた?とか、親は何をしている?とか、趣味はなんだ?とか、好きな物はなんだ?などの質問をした。そして、それらすべてに答えてくれた。好きな色は黄色、好きな食べ物はたい焼き、趣味は料理、こっちに引越して来る前はイギリスに住んでいたそうだ。そして秋季は両親は何をしている?と言う質問にこう答えてくれた。
「お母さんは弟を産んだあとに事故で死んじゃったって聞いた。
お父さんは殺されたんだ、私の目の前で」
「ごめん、私たち知らなくて」
「大丈夫、もう10年前の事だもん」
秋季はそう言って明るく振る舞った。
「それにお父さんにならもう…」
そう言いかけて黙ってしまった。俺がどうしたのかと聞くと
「なんでもない」
と言われた。
しばらくして、杏の家の前に着いた。
「私の家ここなんだけど、秋季の家ってどこなんだ?」
と杏が聞いた。
その杏の問いに対して秋季は
「ここ!」
と杏の家の斜め前の家を指差した。
「え?」
「そこ建太の家だろ」
そう、秋季が指差したのは紛れもなく俺の家だった。
「あ、」
秋季はしまったというような顔をしている。
「え~とね、実はね、今私、家無いんだ。だから中嶋君の家に泊めてもらおうとおもって…ダメかな?」
秋季がとんでもない事を言い出した。
「そんなの良いわけないだろ!」
と杏が叫んだ。
俺も同感だ。まだ17歳の男女が同じ家で暮らすなんてありえないだろ。
「家が無いならうちに泊まりなよ」
と杏が続けた。
秋季は本当に良いのかと聞き直している。
そこに買い物から帰ってきた佐恵子さん(杏の母)が話に加わり杏の家に泊まることが決定した。
「それじゃあ俺帰るよ」
と言い帰宅した。
部屋に着いたらPCを立ち上げながら服を着替えてネットサーフィンを始めた。
「最近面白そうなの無いな」
そんなことをして無駄な時間が過ぎていった。
そして、そろそろ寝ようとしたとき、雄騎からメールがきた。明日は先に学校に行くらしい。俺は「了解」と返信して眠りについた。