第18話 記憶4
前回も言いましたが今回は奏視点の物語です。
では皆さん、どうぞ
「…う~ん」
起きなきゃ、そう思った。なぜかそう思った。何でそう思ったんだろう?
目を覚ました私はその理由を理解した。
ここは私の大嫌いな場所。
私が私でいられない場所。
もうすぐ6時になる。6時になるとあいつがやってくる。
???
「おら、さっさと起きろ、…ってもう起きてんじゃねーか、さっさと降りて来やがれ」
奏
「神楽坂…」
こいつの名前は神楽坂「かぐらざか」晃瑶「こうよう」、私は6歳の時にこいつにさらわれた。
神楽坂はこんな喋り方をしているが、実は女性なのだ。
神楽坂
「てめぇ、1年もここにいてまだわかんねぇのか?口の聞き方には気をつけろ」
と私の髪の毛を引っ張りながら言ってきた。
奏
「そう…でした…ね。すみま…せん…でした」
そういうと神楽坂は私の髪の毛を離した。
神楽坂
「分かりゃいいんだよ、ほら、さっさと来い」
そういって神楽坂は階段を降りていった。
私もその後をついていく、目的地はわかっている、パソコンが1台置かれていて、それ以外は何もない部屋。
神楽坂
「ほら、さっさと始めな」
神楽坂にそう言われ、私はパソコンに向かってキーを打ち込んでいく。
当時の私は自分で何をしているのかわからずにキーを打ち込んでいたが、今ならわかる、今、私が神楽坂にやらされているのはハッキングだ。
神楽坂
「今日はそこのファイアウォールを全部解除したら終わりだ」
そう言って神楽坂は部屋を出て行った。
私は神楽坂が出て行くとパソコンに向き直った。
なぜ私がこんな事をさせられているかと言うと、私は過去に一度だけ日本国軍のデータベースにアクセスしてしまったことがあった。
その後、どこから聞きつけたのか神楽坂にさらわれたのだった。
今私が消すように言われたファイアウォールは、おそらく米国軍のデータベースに侵入するためのファイアウォールだろう、何の為かは分からないけど。
しかし、今の私にはそんなのは関係ない、私はここから逃げ出すんだ。
まず、この建物のシステムを書き換える。
ここの警備は神楽坂が1人と後はロボット警備兵が15機配置されている。
そのロボット警備兵は別の部屋にあるマザーコンピューターと呼ばれるコンピューターで管理されている。なのでそのマザーコンピューターにアクセスしてプログラムを書き換えればここを抜け出せる。
午前11時30分
プログラムの書き換えが完了した。
私はパソコンの電源を落とし、部屋を出た。
部屋の外にはロボット警備兵が2機配置されていた。普段ならここで警報が鳴り響き、ロボット警備兵に捕獲されるところだった。でもプログラムを書き換えたからその心配はない。
私は出口を目指し進んでいく。
しかし、出口にたどり着く前に神楽坂に見つかってしまった。
神楽坂
「あ~ら奏ちゃん、こんな所で何してるのかな?さっさと戻って作業を続けろ」
奏
「嫌だ!私は家に帰る!お願い、ロボット警備兵さん達!」
私のその声に反応してロボット警備兵達が神楽坂を取り押さえた。
私はその隙に出口を目指し駆けていった。
神楽坂
「逃げられると思うなよ!」
神楽坂はポケットからリモコンを取り出し、スイッチを押した。
するとロボット警備兵達の動きが一瞬止まり、私の方へ迫ってくる。
奏
「ロボットさん達、神楽坂を足止めして」
神楽坂
「無駄だ、このスイッチを押すことでこいつ等のプログラムは全て初期化される。」「ウソでしょ」
そう言いたくなった。
でもそんな事を言ってる場合じゃない(別に言う位は問題ないけど)それよりも私は出口を目指した。
私が出口に到達する直前に出口の扉が開き、目の前にロボット警備兵が2機現れた。
神楽坂
「は~い、残念でした~、もうちょっとだったのにね」
神楽坂がそう言ってる中、扉側のロボット警備兵達が私に迫ってきている。
私がダメだ。捕まる。と思ったその時、扉側のロボット警備兵2機が突然爆発した。
私はその爆風で少し吹き飛ばされた。
???
「お、すまん奏、巻き込むつもりは無かったんだけどな」
そこに現れたのはひとりの男の人だった。
神楽坂
「だれだてめぇ、何しにきた」
???
「俺はこの子を助けに来たただの通りすがりの学生だよ」
そう言いながら男の人は私を抱きかかえた。
神楽坂
「させるかよ!行けポンコツ共!」
神楽坂の命令に従いロボット警備兵達が私を取り返すべく、男の人に襲いかかった。
しかし、男の人は微動だにせず、片手をロボット警備兵達に向けた。
???
「ダークネスブラスト」
男の人がそう呟くと男の人の手の平から黒い炎が出てきてロボット警備兵達を襲った。
炎は瞬く間に建物を飲み込み炎上している。
そして私は、男の人の腕の中で気を失ってしまった。
???
「ん?あー、気絶しちゃったか、ま、良いか、それじゃあ家に帰ろう、奏」
次に私が目を覚ました時は、目の前にお父さんとお母さんの顔があった。
私が目を覚ました途端、お母さんは泣き崩れ、お父さんは私を抱きしめた。
今回は連続投稿です。
次は記憶5です。