第12話 7月16日テスト前日
前回の予告通り今回からは『現代と未来と異世界と』の『未来編』の第1話です。
朝起きて、顔を洗い、歯を磨き、服を着替え、朝食を食べるという朝の一連の行動を済ませ、家を出た。
家を出ると、杏が自分の家の前で佇んでいた。
俺は杏のもとへ近づき話しかけた。
「どうした?こんな所で?」
「秋季を待ってるのよ、あの子朝弱いみたい」
と言った直後「そんなことないもん」と秋季が飛び出してきた。
秋季曰く、時差ぼけに掛かっているらしい。
「それじゃあ行こっか」
と秋季が言い歩いていった。
…いや、お前を待ってたんだぞ。わかってんのか?
そんなこんなで学校へむかって歩いていった。
学校へ着くまで昨日やっていたテレビ番組の話をしながら登校していた。…と、言っても俺は話についていけないので2歩後ろをついて歩いているだけだが…。
学校に着いて靴を履き替えようと下駄箱を開けると中に1通の手紙が入っていた。
「どうした?建太?ラブレターでも入ってたか?」
と杏が冗談混じりで聞いてきた。
…………
杏は俺の手の中にある手紙を見て硬直している。
そこへ秋季が来て手紙の中身を読み出した。
そのファンシーな便箋に見覚えのある字でこう書かれていた。
『突然このようなお手紙を出してしまい、誠に申し訳ありません、もし、お暇でしたら今日の放課後、屋上までお越しください』
…………………
手紙を読み終えた俺たちは、教室に急いで向かった。
教室に着くとやはり雄騎は先に着いていた。
俺は雄騎に歩み寄り、片手を空に掲げ、降り下ろした。
ゴンッ!
「ってー!何すんだよ建太!」
「お前がふざけてるからだろうが!」
俺はそう言いながら、さっきの手紙を雄騎に見せた。
「…こ、これがどうかしたのか?」
まだしらをきるつもりのようだ。
「どう見てもこの字はお前の字だろうが!」
そこまで言ってようやく認めた。
雄騎の奴、何がしたいんだよ。
そんなことをしているうちに殿下が来てHRが始まった。
「ホームルーム始める、……特にやることないから1限目の用意しとけ、以上だ。」
1限目の授業は殿下の世界史だ。
生徒は各自、世界史の準備を始めた。
そして、始業のチャイムが鳴ると同時に、殿下が「自習」と宣言し、どこかへ歩いていった。
1限目の用意しとけって言ってたよな?
そして、殿下が出ていった後、いきなり秋季が真剣な顔で「テストが終わったら屋上に来て」と言ってきた。
「良いけど」
俺が心の中でもしかして告白か?などと考えていたがそんな考えは「皆もこれから誘ってくる」という秋季の1言であっさり打ち砕かれた。
それだけ言うと、秋季は、俺の前で教科書をしまい始めている雄騎を誘い始めた。
雄騎はその申し出を承諾したようだ。そして、秋季は杏たちの方へ歩いていった。そこで何かを話しているようだ。少し間をおき、杏と奏が頷く素振りを見せた。そして秋季は俺のへと戻ってきた。
「2人もOKだった。」
そして、その後、1限目は雄騎と秋季と3人で話をしていた。
「また元さん来てないね」
実はまだ元は学校に来ていなかった。
「そうだな、またどっかの組織潰してたりしてな」
と雄騎がまたアホな事を言い出した。
そんな話をして、1限目を過ごしていた。
そして、1限目の授業が終わる5分前に元が登校してきた。
元が教室に入った瞬間に秋季が元目掛け走っていった。
何かを話しているようだ。恐らく俺たちに話したことだろう。
そして秋季が戻ってきて「OKだった」と俺に報告してきた。
…別に報告要らないからな。
こうして1限目は終了した。終業のチャイムが鳴ると同時に、殿下がやって来てこう告げた。
「校長からだ『今日はもうめんどくさくなったから帰るよ、皆も帰っていいよ』だそうだ」
それを聞いて、1人の生徒が「帰って良いの?」と殿下に質問した。
殿下は「そうだ」とだけ言い残し、教室を出ていった。
は?何?今日の授業終了?マジで?
こうして、この日の授業は全て終了した。
実際は1時間しかしてないけど…。しかも自習だし…。
その後、俺たちは明日がテストであるため、全員家に帰り、テスト勉強を開始した。
もちろん俺も。
そして、この日俺は、1日中テスト勉強をして過ごした。
1話はきっかけだけですが、これから未来へ行きます。