こちらも地道に
一方その頃時雨は、妖気を操る事が出来るように神経を研ぎ澄ませていた。
床に座り両手を合わせ目を閉じる。
フーっとゆっくり深呼吸をし精神統一をするように妖気に意識を集中させた。
意識を妖気に集中させると不思議と自分自身の周りにある妖気を感じることが出来た。
(わ、わかる!少し暖かいような…でもどこか寒い気もする…。…感じる事は確かに出来たけど…操る…そんなことが本当に…?)
半信半疑ではあったが目をゆっくりと開き、目の前の妖気に意識を集中する。
(集める…僕の前にできるだけ多くの妖気をなるべく集める……)
強く、なるべく強く念じた。
すると、ゆっくりジワジワと妖気が時雨の目の前に集まり始めた。
(っ!?…もっと…もっとだ。こんなんじゃないはず…もっとできるはずだ!!)
さっき以上に強く念じ、両手に力を込めた。
ゆっくりジワジワとした動きがみるみるうちに早くなるのは見て取れた。
「凄い!凄い!!ちゃんと集まる!」
テンションが上がり集中が途切れてしまった。
「あっ…」
集中が途切れた瞬間集まっていた妖気はフッと力が抜けたように元通りになってしまった。
(妖気は戻っちゃったけど操るコツは何となく掴めた気がする!)
少し自信がついた所で1つの疑問が浮かんだ。
(妖気を妖術に変え武器を生み出す…これはどうするんだろう…)
倉庫の伝書には詳しく書いてなかった為に時雨は武器を生み出す方法が全く分からずじまいだった。
暫く考えたがやはり分かる訳も無かったのでとりあえず思い付いた二つのことを試す事にした。
「剣よ!現れろ!!」
声だけが無機質に部屋に響いた。
(誰もいないのに…めちゃくちゃ恥ずかしい……)
案の定武器が現れることも生み出されることもなかった。
(…き、気を取り直して…次だ!)
ノートにそれっぽい感じの魔法陣を書き、それを床に置いた。
手をかざして妖気に意識を集中させる。
(妖気で剣を作るイメージ…鋭く切れ味のいいカッコイイやつ…!!)
強く念じ目を開くと、確かに妖気は剣らしきものの形を作っていたがモヤモヤと消えてしまいそうな感じのものだけが出来ていた。
ダメ元で掴もうとすると雲でも触ったように形は崩れてしまった。
「ダメかぁ…そりゃそうだよなぁ…」
時雨は考えてもダメだと思ったようで、まずは妖気をきちんと操る事が出来るようになる事を目標とする事にしたようだった。




