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9話

「さぁてと、次の町を探すとしますか。でも、もう普通に探すのに飽きてきたな。何か変化をつけたいところだが……思いつかねぇし、ひとまずは普通に探すか」


 瞬間移動という神のごとき移動方法を入手した俺だが、思いのほか自由が利かない。確かに今回は町のど真ん中に移動した俺だって悪かったよ。でもあんなに目撃者が居て騒がれるなんて思うか? 思わないだろ。だから俺は悪く無いんだ。あんなところを移動先に選んだ瞬間移動が悪い。

 そもそも、町のど真ん中なんて絶対にダメだってわかるだろ。なぁ、瞬間移動よ。もう少し考えて行動してくれぇかなぁ? 


「はぁ、やる気が起きねぇ。そもそも俺はなんで町を探してるんだっけ? 忘れたわ。もう町なんて探さなくてよくねぇか?」


 俺はこの世界に来た瞬間に舞い戻ったような感覚に襲われた。

 何をすればいいのかわからない。自分を見失ってしまった。これじゃあ、生ける屍だ。死んでるのと同じだ。ふざけんなよ!! 神様が俺にもっと色々教えてくれなかったせいだ!! 俺はあの女と神様にはめられたんだ!! 俺は人殺しなんてするつもりはなかったんだぁぁぁぁーーーー!!!!!


 今にも叫びだしたい欲求を精神力で抑え込み、何とか頭を冷やす。

 俺が叫んでも何も解決しない。それどころか、負けを認めるみたいで嫌だ。俺は負けず嫌いなんだ。


「おかしいって。異世界に来たって言うのに、暇を持て余すってどういうことだよ!! ふざけんな!!」


 結局叫んじまった。恥ずかしい。自分の意思の弱さに感服だわ。

 もうやけくそだ。片っ端から町へ行ってみよう。騒がれたら離脱を繰り返して成功するまで粘るしかねぇ。俺の粘り強さはクラス一だったからな。もはや、面接の時にアピールポイントは粘り強さだからな。それくらいのものを俺は持ってるんだ。神様だって俺の心は折れねぇよ。


「行くぜ!! 瞬間移動!!」


 ピシュン!!


 景色が一変し、俺は薄暗い路地裏に立っていた。


「なんだこのじめじめしてて陰気臭い場所は。おいおい、まさか一発目から成功か? これが主人公補正だな」


 しっかりと路地裏転移を決めた俺はこれでもかと言うほどに叫び散らかしたいという欲求を今度こそ抑え込んだ。折角成功したというのに台無しにするような真似はできないからな。俺だって常識的な人間だ。


「こんなところに来てしまうとな。路地裏には路地裏の良さがあるが、今日の俺には少し合わないな。俺はもっとパリピなんだよ。いけいけなんだよ」


 そういってもしょうがないが、俺のパリピアピールは必要だと判断した。

 誰が聞いているかわからないしな。

 俺たちはみんな仲間だ。


「とりあえず、仲間を増やすか。俺一人じゃいつまで経っても暇なのは変わんねぇしな」


 ここに、俺の仲間を増やそう大作戦発令だ。

 緊急ミッションと心得よ。いかなることをも優先して行くぞ!! できれば可愛くて優しくて強い子が良いなぁ。


 俺の個人的な願望はさておき、仲間を増やすのは実際にしておいた方が良いだろう。一人の冒険なんてつまらないしな。俺と同じ次元の仲間を探すとなると、一生かかっても終わらない不可能ミッションになっちまうから、この世界基準で最強クラスで妥協しよう。男の時点で資格ははないからそこだけは考慮して探すんだ。


 この町で運よく俺の求める人材がいることを願おう。

 ひとまず、大通に出るか。俺の格好でも浮いたりはしないだろ。さっきの町を滅ぼしたのも目撃者はすべて始末したから俺が犯人だと知る人間はこの世にはいない。何食わぬ顔でいよう。


「どっちが大通だ? この時点で躓くの面倒なんだよな。路地裏にも看板くらい立てとけよ。使えねぇなぁ」


 この町の不親切さに既にイライラが止まらない。

 俺が来てやっているってのに歓迎もなしかよ。許せんなぁ。

 いかんいかん、ここでカッとなってはさっきと同じだ。俺は町を滅ぼしに来たわけじゃないからな。そこのところはしっかりしよう。


「右と左どっちに行くか? 俺の決断にこれからの異世界生活がかかっている。ここで右を選んで仲間をゲットできた場合、左を選んだ俺は死んだということになる。逆もしかりだ。本当に難しい判断をするとき人間は頭が真っ白になってしまうんだな。初体験だよこれは」


 俺の頭を攻撃してくるなんてやるじゃないか。もはや、この町自体が生きていて俺のことを排除しようとしている。俺の中ではどうしても負けてはならない勝負なのでやる気はバリバリゴージャスだが、ちょっと空回り気味だな。これ以上悩んでいても時間の無駄感があるし、さっさとどっちに行くか決めよう。


「左に行こうか……いや、待てよ。本当にそれでいいのか? そうだな、あえて右に行こう……いや、それで間違ってたらどうなんだよ。もうどっちも行こう。そうすれば良かったんだ。先に右に行って後から左に行こう。完璧だ」


 とりあえず、右に行くことにした。また戻ってきて左が正解だった場合は俺は正解したということになる。

 俺の勝ちだ。どちらが正解だろうと俺の勝ちだ。最悪のパターンはどちらもはずれという最初から俺に勝ち目のない勝負だけだな……おい、この町に世界最強クラスの美少女がいる確率ってどのくらいだよ。よく考えてみたらいる前提で話してたのがまず馬鹿だ。ふざけんなよ。居なかった覚えてろよ!!


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