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7話

 ドーナツを作るのに材料って何を使うんだ? ドーナツだから、パンの真ん中に穴を開けたら完成だよな。当たり前だ。ドーナツなんて穴が空いてるだけのパンだからな。それならパンってどうやって作るんだ? 数えきれないほど食してきたものでも作り方を知らなければそれは一緒だ。何の意味もない。俺としたことが、まさか作り方の時点でつまずいちまうとはな。なさけないこった。でも俺は諦めねぇぞ。絶対に世界一のパン職人になって見せるんだ!!


「こうなったらパンの作り方から学ぶしかねぇ。俺の本気を見せてしまう時が来てしまったな。俺のパンで世界征服してやろう。すべての人間よ俺のパンにひれ伏せ!!」


 素晴らしいものが生まれる予感がする。

 俺の天職が簡単に見つかっちまったもんだぜ。これも俺の日頃の行いがいいからに違いないよな。さぁて、俺はパンを作るぞぉぉーー!!


 まずは、店を構えるところから始めよう。練習するのにも場所は必要だ。形から入って行こう。そのためにも店を召喚だ。俺の力でパン屋を召喚するんだ。


「出てこい、俺のパン屋!!」


 ドドンと豪快な音がして、こじんまりとした建物が目の前に現れた。

 圧倒的これじゃない感。俺がこの程度の店で満足する小物だとでも思ってるのか? ガチで舐めてやがるぜ。


 ありえねぇ。もういらねぇよこんな店。ぶち壊そう。


「おりゃーーー!!!」


 町を消し去ったパンチを再び放った。


 ズゴゴゴゴォォォォン!!!


 すさまじい破壊音と共に、店は跡形もなく消え去った。

 気分を害した。寝よう。


「出てこい、ふかふかの布団。それと愛用の枕!!」


 おっと、これは期待通りのものが出てきた。

 俺が前世で愛用していた枕と完璧に同じものだ。もはや俺の部屋から召喚したと言われても信じるくらいにはしっくりくるな。


「はぁ、ねみぃ。おやすみ」






「はぁぁぁーー!!!!」


 俺は雄たけびとともに目を覚ました。

 周囲を見渡すと、どでかい穴が空いた平原だ。なぜ俺はこんなところに? ……うっ、頭が痛い……そうだ、俺はドーナツを作ろうとしてこの平原に穴を開けたんだ。真ん中に穴が開いてる、それすなわちドーナツ。もうこの平原自体がドーナツなんだよ。

 これは俺が世界一のドーナツ職人だって断言できるな。これほど巨大なドーナツを作ったのは俺が初だろう。ほかの職人ども悔しそうな顔が目に浮かぶぜ。ざまぁみやがれ。


「しかし、目的を達してしまったな。これから何を目標に生きていけばいいんだ? 謎は深まるばかりだ」


 人生とは謎ばかり、確か凄い偉い人がそんな言葉を残していたはずだ。よく知らんけど。

 俺が好きなように生きるのに他人の言葉何て一ミリも関係ねぇわ。俺が人の言うことなんぞ聞くたまに見えたか!?


 今日の目的は……ないな。もう一回寝よう。






「はぁぁぁーー!!!!」


 俺は再び雄たけびで目を覚ました。我ながらかなり寝てしまったんじゃないかと思う。これが俺じゃなければおじいちゃんになっていることだろうな。

 相変わらず俺の目の前に平原ドーナツが広がっている。つまり、何十年もの年月は立っていないということだ。どうだ、俺は名探偵だろう? それもそのはずだ、生前は名探偵サブロウの名をほしいままにしていたからな。どんな小さなヒントも見逃さない俺に犯人は相当絶望したことだろう。悪いな、俺は名探偵なんだ。


 そういえば、この世界に来て召喚したもの以外を食べていない気がする。

 思い返してみてもやはり記憶にない。というか人と話していない。突然すぎるがお母さんの手料理が恋しくなってきた。これは、次の目標はお母さんの手料理に決まりだな。

 まずは、この世界で俺の心のお母さんを探すところからだ。俺が本心からお母さんと呼べる存在を探しに行こう。


「次はイルカに乗って行こうか。よっしゅぁぁ!! 出てこいイルカ!!」


 平原に召喚されたイルカは、ほどなくして息を引き取った。


「まあ、こういうこともあるさ」


 イルカの死体をドーナツへ落とし、ドーナツの隠し味としてイルカをテイストした。これで俺のドーナツ職人としての格がさらに上がったな。世界を超えてしまったというべきだろう。世界レベルを超えた俺はさしずめ、超世界レベルかな。あまり力を誇示するのは性に合わないんだが、これは俺の力が凄すぎる故に起きてしまった不幸な事故だ。決して故意に行ったわけじゃない。俺は無罪だ。


「イルカは一旦諦めよう。そもそもここは平原だ。俺はなんでイルカなんて呼び出したんだよ。せめて、アザラシだろ」


 反省したので、俺は悪く無い。どちらかというと俺に連想されたイルカが悪い。だって、俺はこの世界の神なんだから。俺を責められる存在なんてこの世界にはいないんだよ。俺がルール、俺こそが尊いんだ。


 移動は味気ないが、瞬間移動にしよう。

 俺が町のど真ん中に急に現れるサプライズをすれば、神と崇める人が増えること間違いなしだ。ナイスサプライズ。


「適当な町へ移動!!」


 なんか知らないが、能力を使う時には少し大きな声を出すのが通例みたいになってしまってるな。この流れはよくないぞ。マンネリへの第一歩だ。次は思考を変えてみよう。


 さっと、平原だったはずの景色が一変した。

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