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6話

 人間が走っているとは思えない速度で駆け抜ける俺こと新幹線は平原を疾走していた。


「まだまだ早く走れそうだ。こんなことなら新幹線なんて縛りはやめとけばよかったな。光にすらなれそうだぜ」


 止まらない、もう俺を止めることは何人たりとも叶わない。いつまででも走り続けてやる。俺の心は蒸気機関だ!!


 しかし、この速度で走っているというのになかなか町は見つからない。もはや町なんて探してなかったことに今更ながら気が付く。走ることに集中していて町なんて見てなかった。もしかすると、数個町を見落として素通りしてしまったまであるぞ。もうここまで来たらこの世界を町へ立ち入ることなく一周してみたい。まだこの世界のでかさもわからないうちから無謀だと思われるかもしれないが、俺は本気を出せば光速で移動も可能な新幹線だ。不可能な話じゃない。ものの数秒で制覇してしまうだろうな。


 物事は苦労を伴うからこそ達成感があるのであって、一切の苦労なしにやり遂げたとしてもそこに価値は生まれない。光速で世界一周、我ながら何が楽しいのかわからないな。さっきのあほな俺にジャーマンスープレックスをかましてやりたいほどだ。割と自分自身の馬鹿さ加減に萎えている。これれは萎えすぎて逆にマッスルになっているかもしれない。


 そろそろ、新幹線にも飽きてきたころだし違うことを初めて見るか。

 走り続けることをやめるわけにはいかないので、走りながら考えを巡らせる。そういえば、この世界にはモンスターが存在してるんだったな。一回遭遇してみたいもんだ。走り続けているうちにどこか視界の端には移っていたのだろうが、俺が見ていないといえばそれこそが事実だ。新幹線は目なんてついてないからな。見つけれなくて当然だ。


「今の俺が本気で相手をしても大丈夫なモンスターが居てくれれば楽しめそうなんだが……モンスターの王、モンスター王を探しに行こう」


 いるかわからないものを探すときが一番楽しい……かもしれない。

 モンスター王ならば俺の期待にもきっと答えてくれるだろう。なにせ、王なんだから。俺はもはや王何て器の小さいものじゃない。神だ。俺はこの世界では神なんだ。俺が神というのならば、それなりの扱いをしてもらわないとこの世界を滅ぼしてしまいそうだな。手始めに俺を信仰する宗教を作ろう。名前は何がいいだろうか、信じる者は救われる教にしよう。思い切って名前を使うなんてことも考えたが、あまりに品がない。俺は目立ちたくてしているわけじゃないんだよ。崇め奉ってくれれば満足だ。それで、俺にちやほやしてくれればなおいい。


「教祖は俺、神も俺、うん最高の布陣だ。死角はないな。どんな宗教が相手だろうと、俺が勝つ」


 こんなに充実した気分はいつぶりだろうか。新幹線はもうやめよう。神は新幹線だったと思われても困るしな。

 俺は新幹線としての自分を捨てた。これからは神だ。敬虔なる信徒たちを救っていこう。そうと決まれば、まずは信徒を増やすところからだ。これで、町に行かないといけない理由ができちまったな。


「俺は神だ。すべて俺を信じろ」


 これをキャッチフレーズにして広めていこう。誰もが俺の神々しさを見れば一発で信徒確定だ。


 町を見つけるとなると、また移動しなければならない。もうめんどくさくなってきたし、町をここへ召喚してしまうか。町の場所が少し変わるくらい誰も困らないだろ。


「近くの町をここへ召喚!!」


 ドンッ!!


 目の前に土煙がおきた。

 少しずつ前方を視認できるようになってきているが……おお、壁に囲まれた町が出現している。俺の気分次第で地図は書き換えれる何て本当に神だ。俺が神なんだよ。


 とりあえず、この壁が邪魔だな。この町は信じる者たちの救い教が聖地にする場所なんだ。つまり、俺のもの。俺が気に入らないものは徹底的に排除だ。


「オラァァァァーー!! ドッシャイ!!」


 力いっぱい壁をぶん殴った。

 超大型爆弾が爆発したのかという衝撃が周囲に走り、目の前にあったはずの町は綺麗さっぱり消え去っていた。それどころか、クレーターができてしまっていた。


「しまったぁぁぁぁーーー!! 力をいれすぎたぁぁぁーーー!!!!」


 明らかに力加減をミスってしまっている。俺が邪魔だと思ったのは壁だけで、町そのものまで消し去るつもりは毛頭なかったんだよ。決してこの町に済む人間の命を奪おうなんて考えていなかったんだ!!


 これで、本来町があった場所から町は消え、さらに移動した先でも消え去ってしまったということになる。憐れ、不憫な町だ。でも、こうして、神である俺に関われただけでも住んでいた人間の生に意味はあったんだ。


「よし、これはなかったことにしよう。俺は何もやってないし、見てもいない。ああ、あぶねぇ。俺としたことがやらかすところだったぜ」


 この光景は綺麗さっぱり俺の脳内記憶庫から削除された。

 つまり、この出来事を知る人間はこの世に一人も居なくなったということだ。完全犯罪だ。


 町は召喚しても俺の居に沿ったものじゃなけりゃ意味ねぇし、次からはもっと具体的にしよう。

 あ、ドーナツ食べたい。よっしゃー! 俺はこの世界一のドーナツ職人になって見せるぜ!!


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