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5話

 漠然と命を奪おうと考えても優しい俺にはその意欲を継続させることができなかった。

 もう落ち着いてきたし、やっぱりさっきのはなしにしとくか。単純にめんどくさくなってきたわ。俺が自ら手を下してまですることじゃねぇ。勝手に死んでくれるならどうでもいいけど、そんなの今も世界中のどこかで尊い命が失われていることだろう。これをもって、俺のやりたかったをなしたことにしよう。


「空を飛ぶのにも飽きてきたな。うーん、空とくれば次は海だが……見たところ近くにそれらしいもんはないな」


 俺の意思にそぐわない世界を滅亡させそうになりながらもそれは流石に自分の命に関わってくるので抑え込んだ。いつかやってしまいそうで自分が怖い。


 しかし、海がダメとなるともう地中しか残ってないな。地面を掘り進んで行くか? でも時間かかりそうだな。俺に時間が無限にあるとはいえ、無駄な時間を過ごす気はさらさらない。地中を空と変わらないようにすいすい進んでいくんだったらありだが、それだと感覚の差がないに等しいな。無意味だ。やめよう。


「なにもかもめんどくさくなってきた。手始めに、呼吸をやめてみるか。人間がいつもしていることと言えば呼吸が代表格だよな。もはや俺には呼吸さえ必要ない」


 すっと、流れるほど自然に息を止めた。

 本来の俺ならが、1分そこそこで限界が来るだろう。お見返してみればこの世界に転生して俺は呼吸をしていたのか記憶が曖昧だ。もしかすると、意識する前から無呼吸だったかもしれない。もしそうならば、俺は今どれだけ無駄なことをしていることになるんだ? 


 体が酸素を求めて苦しくなって来る感覚が走る。

 しかし、俺は呼吸をしない。なぜならば先ほど決めたからだ。故に俺は呼吸をしない。死が俺の意識を刈り取るまでだ!!


「ぷはぁ、このまま呼吸とめてたらガチで死ぬわ。あぶねぇ。息をとめて死ぬなんて馬鹿を通り越してバカバカだな」


 危うく、異世界に転生したというのに、死因、息止めになるところだったぜ。ダサいというか間抜けというか。俺はそこらへんも抜かりはない。自分の限界をわかっているからな。


 俺が一生懸命息を止めている間も空を移動していたが、前方に異世界二つ目の町を発見した。

 今度は前回と違って自分の意思さえあれば降りることができる。ジェット機はもうこりごりだ。コックピットの中だけ快適でも生きていけないからな。二人の命を奪ったあのジェット機を俺はまだ許していない。もしかしすると、墜落の際にさらなる犠牲をうんでしまっている可能性も考慮して人数を増やしておくべきかもしれない。4人にしておこう。あの罪深いジェット機はおよそ4人の命を奪ったのだ。


「離れててもでかい町だってわかるな。これなら色々そろってそうだ。ひとまずは、ここによって人間観察でもしながらこの世界に馴染んでいこうかな」


 しかし、俺は町の上空を減速することなく通り過ぎた。


「ハハハハハッ!! 今誰もが町へ立ち寄ると思っただろう。それは罠だ!!」


 なぜかスルーしてしまい。こんなことを口走ってしまうほどに俺は混乱していた。町に寄ろうとする体を止めようと精神が働きかけたんだ。ジェット機で通り過ぎてしまったことがトラウマにでもなってるって言うのか? ありえない。俺の体は確かに町へ向かおうとした。でも体が動かなかったんだ。まるで、体の所有権が一瞬だけ俺からあのジェット機に移ったかのような気さえした。恐ろしい、これがジェット機ののろいか。


「まぁいいか。あそこは俺にふさわしい町ではなかったんだ。気を取り直して次に行くぜ」


 本格的に飛ぶという事象に飽きが来てしまい、町でも何でもないただの平原に降り立った。

 実に先ほどの町を通過して1分程の出来事だ。なぜ俺は、こんな何もない場所に降りてきたんだ? 誰だってここと町の中だったら町を選ぶぞ。俺は馬鹿なのか?


「もう過ぎ去ってしまったものはしょうがないか。新しい町を目指すって自分で決めたんだ。俺は自分に正直に生きたい。自分自身に嘘はつきたくないんだ!!」


 体に喝を入れて、再び歩き始める。

 特に体が疲れて動けないとかそういうことではないのだが、これをしたらより雰囲気が出るかなと思ったんだ。後悔はない。


 歩くのは時間がかかるからやめよう。

 俺が新幹線になろう。俺が新幹線と同じ速度で走ればそれは新幹線だ。もはや俺じゃない。本気を出さずともそれくらいの速度で走ることくらいわけないだろうな。


「ぽっぽぉぉーーーー!!」


 口で汽笛を演出し、俺は出発進行した。

 新幹線に汽笛が搭載されているのかは実際に乗ったことのない俺には知る由もない。だがそれがいいんだ。これがないことを知っていたら恥ずかしくてこんな真似はできない。知らぬが仏というやつだ。ハンバーガーもうまい、そういうことだよ。


「当新幹線はすべての駅を通過して、終点までノンストップで走行します。座席のシートベルトは締め、駅弁を食べるときはおかずを一品運転手の俺までもってくるようお願いします」


 機内アナウンスも欠かさない。これにより、俺は真の新幹線へと進化した。つまり俺が新幹線の中の新幹線。真新幹線だ!!           

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