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4話

 また振り出しに戻ってしまったな。気合いだけは無限大だが、それだけじゃ町は見つからない。とにかく足で探しまくろう。幸いなことに俺にはこのジェット機がある。駆使して行けば相当なアドバンテージだ。


「コックピットの中が快適すぎる。そういえばさっきから俺操縦まったくしてねぇな」


 今更ながらとても重大なことに気が付いてしまった。俺は操縦かんに触っていない。途中から手放し運転をしていた。つい、自転車の時の癖が出てしまった。となると、こいつは自動操縦機能が備わっているということだ。


 俺の中のやる気が一気に覚めていく感じがした。

 自分で操縦していたと思っていたものが実はそうではなかったのだ。むしろ、俺は何もしていない。こんな体たらくじゃダメだろ俺よ。


 もうこれいらねぇな。自動操縦とかないわ。最悪だよ。

 しかし、降りると言ってもどうすればいいんだ? 着陸するか? いやいや、もっと面白そうなのがあるじゃねぇかよ。よく映画とかでみる緊急脱出をしてみよう。


 自分が勢いよくコックピットから射出されるのを想像しただけで心が高鳴る。そうそうできる体験じゃねぇぞ。


「それっぽいボタンはないか?」


 コックピットの中をくまなく探していく。色々なボタンやレバーがあるがどれがそうなのかわからない。


「絶対これだろ!!」


 透明なフィルターで蓋をされているあからさまなボタンを発見してしまった。

 馬鹿でもわかる。これが緊急脱出ボタンだ。つまり、これを押してしまえば俺は空中へ放り出されるというわけだよ。

 パラシュートは? そんなのかんけぇねぇ。男は気合いだ!!


「そりゃーーー!!!」


 ポチッ。


 バシュン!!


 一瞬の衝撃と、目まぐるしい景色の変化に襲われたがどうやら俺は無事に射出されたようだ。


「すっげぇぇーー!! やばいって今の。最高だ!!」


 空中に放り出されているのに、気分は最高。俺にも小学生みたいな心が残ってたんだな。ガキじゃあるまいしこんなことではしゃぐなよと、少し前までの俺だったら言っていたかもしれない。こんなに楽しいことを自ら放棄するなんて馬鹿のすることだ。


「さぁて、次はどうするかな。とりあえず空を飛ぶか」


 そういったとたん落下していた体が重力に逆らい動きを止めた。

 これまたすごいな。操縦者を失ったジェット機はそのまま下へと進路を変え、地面に激突してキノコ雲を上げていた。


「あそこに町なんてあったら大量虐殺になってたな。つぎはそこまで考えてやらないと大変なことになっちまうな。ここは平原だし、よっぽど運が悪く無ければ巻き込まれた人なんていないだろ」


 今度は自分自身の意思で空を飛んでいることが自覚できるのでとても楽しい。

 まさに鳥にでもなった気分だ。そうだ、俺はこのまま鳥になろう。大空を自由に飛び回る鳥になるんだ。手始めに、どこかの群れに合流しよう。鳥なんてどうせちっせぇ脳みそしかないし、空さえ飛んでりゃみんな仲間だろ。俺も空を飛んでるからそこは大丈夫だ。


 俺は鳥になりきるため、飛ぶという行為に全く必要ないが手をぱたぱたと羽ばたかせる。これにより俺の鳥っぽさは120パーセントを突破した。鳥の中の鳥だ。まずいな、このままじゃ群れの王になってしまいそうだ。俺は別にそこまでしようなんて思ってねぇし、流石にやりすぎな気がする。


 そうこう考えていたら、前方に十数匹からなる鳥の群れを発見してしまった。

 これはもう俺にあの群れの一員になれと神様が言ってくれているんだ。そうに違いない。


「クワッ、クワッ」


 果たして異世界の鳥がどんな鳴き声を上げるのか予想はできないが、勝手に鳴き声を決めつけ接近していく。


 このまま行けば、俺と鳥たちはすれ違うことになる。その際に最後尾に合流すれば完璧だろう。自分の頭の冴えに震えを覚えるほどだ。いつからだろう、俺はここまでの天才になってしまったんだ。これじゃあ、ちいせぇ脳みその鳥の仲間には入れてもらえないな。


「よしっ、決めた。あいつらは全部焼き鳥にしよう。ファイアボール!!」


 無警戒でこっちに向かってくるあほな鳥どもに向かって俺は渾身のファイアボールをお見舞いした。

 ファイアボールとはその名の通り炎の玉だ。まさか自分の手から炎が発射されるとわな。軽い気持ちで試してみたが、できるないことを探すほうが難しそうだ。


 バンッ!!


 群れの先頭に着弾し、そのまま炎がすべてを飲み込んだ。


「ありゃりゃ、これじゃあ火力が強すぎて灰も残らねぇな。折角うまい焼き鳥にする予定だったのに……もういいや、自分で出そう。焼き鳥、うーんとりかわのタレ出でよ」


 焼き鳥を呼び出した俺は、そのまま空中を優雅に飛びながら食した。やっぱり焼き鳥はうめぇや。


 こうやって食べるとさっきの失敗が悔やまれる。新鮮な焼き鳥を食えるチャンスを自ら不意にしてしまったという絶望感にもはや死にたいと思うほどだ。しかし、俺はまだ死ぬわけにはいかない。まだこの世界でやらないといけないことがたくさん残ってるんだ。ということで、代わりになにか殺そう。俺の代わりに死ねるんだ光栄だろう。


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