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3話

 これがジェット機か、すさまじいぞ。このままどこまでも飛んでいきそうだ。


 俺は、コックピットから流れる景色を見ながら物思いにふける。


 適当に移動しているが、実際町を見つけて俺は何をするつもりなんだ? モンスターを狩って生計を立てる必要があるのか? だって、俺は無限い食料を出すことができるんだぞ。金なんてなくても一向に困らないじゃないか。


「そうだよ。俺が金を稼ぐ必要なんてないんだ。有名になるために適度にやってればいいんだよ」


 第一目標のこの世界で有名人になるというものだが、これは人類滅亡の危機なんか颯爽と現れて世界を救えばいいだけの話だ。なんてったって俺は全知全能の神のような存在だからな。俺に不可能はない。


 そんなことを考えていると、水平線の向こうに町が見えてきた。


「やったぞ、町だ!! とりあえず降りてみるか……これどうやって着地するんだ?」


 まずいぞ、非常にまずい。今までは雰囲気だけで操縦してきたが、着陸するとなればそうもいかない。このスピードのまま地面に激突なんてすれば、町は大惨事、俺も大怪我だ。でも着陸できそうな気がまったくしない。いっそ、このままずっと飛び続けるのもありかもしれないな。俺の世界はこのコックピットの中で完結だ。ちょっと狭いのさえ我慢すれば景色もいいし、住めば都だ。


「馬鹿なこと考えてる場合じゃないぞ。町を通り過ぎちまう」


 どんどんと近づく町、俺はこれほどジェット機のスピードを恨んだことはない。早さが仇となるとはな……やっぱり自転車で向かうべきだったか。


「あああぁぁぁァァァァーーーー!!!! 町がぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー」


 俺の悲鳴はコックピットの中でこだましたが、現実は残酷で折角見つけた町はそのままの勢いで通過してしまった。まるで、特急の止まらない駅が目的地だった感じだ。急いでるからって特急に乗って、降りることができない。あれはかなりの絶望だ。


 なんとか操縦すれば引き返すことは可能だろうが、一度失敗した町に未練がましくなんてのは俺の性に合わない。

 ここはきっぱり諦めて次の町を目指そう。そう、ここには町なんてなかったんだ。俺の目がおかしくなってただけで、町なんてなかった。俺以外誰も見ていない状況で俺がなかったといえばそれが真実になるんだよ。


「そうだ!! なんで俺はむやみやたらに探してたんだ。少し考えれば人に尋ねるのがいいことくらいわかるじゃないか。俺のチート能力でこの世界の人間を呼び出そう」


 折角呼び出すんだったら、可愛い子がいいなぁ。

 そうだな、この付近で一番美人な子を俺の案内役として呼び出そうじゃないか。こんなところに急に呼び出されて戸惑うだろうが、俺は優しいし大丈夫だろう。


「近くで一番可愛い子召喚!!」


 一瞬外の景色に人間のシルエットが見えた。

 そして、そのまま後方へと消えていった。


「やべぇ、召喚したのはいいけど、コックピットの外に召喚しちまった!! あれじゃあ、上空に放り出されただけじゃないか」


 後ろを見てみると、小さいシルエットがじたばたしながら地面に向かって落下している様子が目に入った。

 ありゃ助からないな。くそぉ、俺がミスをしたばっかりにこのあたりで一番の美人さんの命を奪ってしまった。厳密にはまだ生きているが、なにか能力でもない限りは助からない。俺が今飛んでいるのは高度何メートルくらいだろうか? 凄く高いことはわかるが正確な高さまではわからないな。


 この世界にきて、初めて命が散るのを目撃してしまった。

 しかも、原因の一旦は俺にあるのだ。せめて、魂が安らかにあの世へ迎えるように祈ろう。かぁぁぁーーー!!!


「次は、ミスってもいいようにじいさんかばあさんにしよう。なんで最初からそうしなかったんだよ。もし、今死んだ子が俺のドストライクの子だったらどうするんだよまったく。知識量も多いだろうし、老人にしよう。召喚!!」


 すると、先ほどとまったく同じことが置き、じたばたしながらシルエットが後方へと消えていった。

 しまった、また同じミスを。くそぉ、俺としたことがなんてこった。すまねぇじいさん。

 俺は、じいさんかばあさんかわからないシルエットに向かって黙とうを捧げた。まだ生きているが。


「またか、この召喚も難しいなぁ。今回は老人だし、俺に比はないからべつにいいか。名案だと思ったんだけどなぁ。ちょっとこの作戦は没だな」


 二人の尊い命が帰らぬものとなってしまった。

 これも俺が生きていく上で必要な犠牲だった。そう、俺たちが豚肉を消費するのと同じだ。必要なことだったんだよ。俺が今更考えたところであの二人は帰ってこない。可愛さと年齢が悪い方向へ働いたんだ。つまり、自分のせいだ。運が悪かったとしか言いようがないな。


「さぁて気を取り直して町を探しますか。いけぇぇぇーーー!! ジェットーー!!」


 特にスピードが上がるわけでもないが、気持ちを上げるためにコックピットの中で叫んで宣言した。

 そして、ついに俺は次の町を見つけるのだった。


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