17話
とりあえずこの子の身に起きたことを解明しよう。そうしなければ俺は先に進めない。どうしても気になってしまうんだ。これ以上ないくらい気になっている。もはや、このことしか考えれない体になってしまっているぞ。俺だって人間という種から解放されてさらなる高みを目指したいんだ。俺の力に上限はないが、どうしても人間の体には限界が来てしまう。そうなればいくら俺とは言えども今後もしかすると不覚を取ることが出てくるかもしれない。そうなったときに俺は後悔してもしきれないだろう。そのために今の時点で俺は進化しておくべきなんだ。この子にできることが俺にできないなんてことはありえないだろう。だって、俺のほうが強いんだもん。
「わかることをすべて教えろ。なんでそんな見た目になってるんだ?」
「え? 私が聞きたいくらいです。起きたら、羽が生えてるなんてどんな恐怖体験ですか? それに、頭の上にも輪がありますよね? もしかして、私が気を失ってる間に何かしましたか?」
これは困った。確かに俺はこの子を命の危険から救ってはいるが、その原因を作ったのがまぎれもなく俺なのだ。俺でしかない。壁にぶち当てて首の骨をおるという普通の人間だったら死んでいることをこの子にしてしまっているからな。どう説明したものか……。
「まあ、気にするな。そこは別に考えなくてもいいところだ。俺もお前が急にそんな状態になってるから驚いてるんだよ。それで、何か心当たりがあればと思ってな」
「いえ、残念ながら私はただの人間だったはずです。羽が生えてくるようなことに覚えなんてありませんよ」
そりゃそうだろうよ。この子は初めてあった時は正真正銘人間だったはず。それが、回復魔法的な何かを使ったらこんなことになってるんだ。むしろ原因はこの子じゃなくて俺のほうにあるんじゃないか? 俺が使ったのはただの回復魔法だったのか? 治れとしか思ってなかったからな。回復魔法だとは思うが、自分でもそこに百パーセントの自信を持つことはできないな。難しい話になってきたぞ。こんなのを一発で解明できる方法があればいいんだが……そうだな、例えば鑑定スキルとか。
「それだぁぁぁーーー!!!」
「きゃぁ!!」
「悪い、あまりの天才的な発想加減につい大声を上げてしまった。別にお前をおどかそうとかそういう意図はなかったんだ」
「大丈夫です。ちょっと心臓が口から飛び出そうになった程度ですから。気になさらないでください」
「そうか。飛び出てないんだったら問題ないな。そう、俺が思いついた方法とは鑑定だ。今から俺がお前のことを鑑定してやろう」
「そんな……鑑定スキルまで使えるんですか? 戦闘だけでも世界でもトップクラスの水準だというのに、ほかのスキルまで使えるなんてもうずるですよ」
「いや、厳密にはまだ使えない。ただ、今までは俺が使おうとしたスキルはすべてその場で覚えることができたからな。鑑定スキルだって例外じゃないだろう? まぁ、指を加えて待ってろ」
俺の力はとどまることを知らない。
鑑定スキル程度覚えれないはずがないんだ。むしろ、大鑑定スキルとか、超鑑定スキルとかを覚えちまいそうだな。オーバースペックは望むところだ。俺だって、ギリギリ使える位じゃ満足できない。何でも鑑定できるくらいないとな。今後また、同じような状況に陥った時に使えないじゃ話にならない。ここは何でも鑑定できるスーパー鑑定スキルを習得しておくべきだ。
「よっしゃー! かんてーいぃ!!」
「そんな適当に叫ぶだけで使えるんですか?」
俺の目に次々と情報が表示されていく。
レリーナ、これは名前か。こいつレリーナとかう名前だったのかよ。そういえば名前もまだ聞いたなかったかもしれない。
女、ふざけんなよ。それくらい見たらわかるわ!! もっとマシな情報をよこせ!!
天使、うん? 天使? それは天使と見間違うほどに可愛いってことか? いや、待てよ。背中に羽。それに頭のわっか、どちらも天使の特徴と合致するじゃないか。なんで俺は今まで気が付かなかったんだよ。どう考えても天使でしかないじゃないか。おし、これはもう鑑定スキルで看破したというよりも俺が自力で真実にたどり着いたという方がいいレベルだ。俺の頭脳を舐めてもらっちゃ困るよ。なんせ、クラス23位だぜ?
「お前の正体がわかったぞ」
「本当ですか? 私はどうなっちゃったんですか?」
「その前に一つ、俺はシンザブロウだ。よろしく頼む、レリーナ」
「どうして私の名前を? はっ、もしかして鑑定スキルですか? 凄いです。よろしくお願いします」
なかなかどうして、この無邪気な表情が可愛い。
可愛くてたまらない。もう、種とかどうでもよくなったわ。別に俺の中で解決してしまえば、レリーナに教えることもないな。教えなくていいや。
「気が変わった。やっぱり教えない」
「なんでですか? どういう気変わりですか? そういうのはよくないですよ。私は当事者なんですから知る権利があると思います。お願いします。私にも教えてください」
お願いする表情が可愛い。
気が変わった。教えてあげよう。
「わかった。レリーナの種族は人間じゃなくなっていた。今の君は天使だ。そうエンジェル!!」
かっこよく両手を広げて宣言する。
これは決まった。




