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16話

「あぶねぇ。これで証拠隠滅だ。誰が見ても誰が俺が何かしたとは思わないだろう」


 壁はこれで完全に修復した。まさかこれが俺が大穴を開けた後だとは思いもしない。どこからどう見ても俺の勝ちだ。完全犯罪だ。俺のしたことを消すことはこれで成功した。後はこの子をどうやって言いくるめるかだ。俺にはこの子に大怪我を負わせてしまった前科があるのだが、今はもはやその事実はない。この世に存在しないのだ。どうやって誰が証明しようと俺がないと言えばない。この世の理だ。


 そろそろ起こしてみるか。大体この羽と頭のわっかは何なんだよ。人を超越しちゃってんじゃん。俺ですら、そんなものついてねぇぞ。この子にあって俺にはないってのがなんだか癪だな。もちろん、ださいからいらないけど、それでも俺についていないという事実が許せない。もいどくか。まだ起きてないし、気が付かないだろ。


「おりゃ!! おりゃ!!」


 手始めに背中に生えていた羽をブチっと引っこ抜いた。


「おい、やべぇ!! 血が止まらんぞ!!」


 引っこ抜いた場所からとめどなく血があふれ出てくる。間違いなく致死量だ。これは明らかにやっちゃいけなかったやつだ。まずいぞ。この子を殺してしまうわけにはいかないんだ。なぜならば可愛いから。可愛いは世界を救うんだ。主に俺を。俺は世界、だから俺を救うということはそのまま世界を救うということに直結している。故に、この子には世界を救う力があるんだ。こんなところで簡単に失われていい命じゃない。


「助けねぇと……おりゃぁぁぁーーー!!!」


 渾身の力を手に集中させ、また治れと心の中で叫んだ。


「なおれぇぇぇぇぇぇーーーー!!!!!」


 またもや俺の手からあふれ出た力は激しい光となって女の子の体を包み込んだ。

 ま、眩しいぞ。これじゃあどうなってるのか俺も見えないじゃないか。羽は復活したのか? それとも、傷だけ治って羽を取り除くことに成功したのか? いずれにしても真実は光の中だ。この光では俺と言えど目を開けることはかなわない。むしろ、目を閉じていたい。俺は目を開けたくないんだ!! だって眩しいだろうが!! ふざけんなよ!! 大体なんでこんなに眩しいんだ。もうちょっと光を抑えろよ!! 馬鹿すぎるだろ。眩しくて目も開けられない状況に何の意味があるって言うんだよ!!


「今回はやけに長いな。光がおさまらないぞ」


 先ほどはゆっくりとだが、おさまって行った光も今回はまるでその様子がない。

 このままだと、無駄に時間を過ごしてしまう。この間にも俺の時間は無為に消費されて行ってしまっているのだ。俺の時間はこの世のどんなものよりも価値があるんだぞ。それを無駄にしているということの重大さにこの光は気が付いたほうがいい。どう考えても尺の稼ぎすぎだ。いい加減にしてほしい。


 おっと、そうこうしていたら光が緩やかにおさまってきた。

 さっきよりも時間がかかったのは納得できないが、ようやく光もわかってくれたのか。俺のおかげで世界は救われたんだぞ? そこのところ理解しておけよな? この子が死んでたら今頃この世界はこの子の墓に備えるために滅ぼされていたはずだ。俺の意思とは関係ないところで起きるから俺としても救いようがない。無意識化での行動まで責任は持てないからな。


「おいおい、羽がなんか強化されてないか? 頭のわっかも3つになってるんだけど」


 不思議な光景が目の前に広がっていた。俺には到底理解することができない。なんで、この子はさらに進化してるんだ? 俺の放つ光には種族を超越して進化させる力でもあるのかよ。でも、俺もまじかで浴びてたけど何の変化もないんだよなぁ。もう、どうでもいいか。ここまでの羽だと常時ついていると邪魔でしかない。俺の頭から羨ましいという感情が完全に消えたことだし、これ以上羽をもいでどうこうするのはやめておくとするか。誤ってこの子を殺してしまっては元も子もないんだからな。


「……う、うぅん……」


「お? お目ざめか?」


「あれ? 私今まで何を? ……確か町で住民の人達に囲まれてそれで……抱えられて逃げてきたはず」


 おっと、案外記憶が残ってるじゃないか。まずいぞ、これじゃあ、思い出されるのも時間の問題だ。証拠を隠滅しているとはいえ、記憶に残ってしまっていては誤魔化すのが面倒だ。


「そうです、私は壁に激突してその衝撃で気を失ったんですよ。え? なんですかこの羽は? それに頭にも何かついてますよ!!」


「ようやく気が付いたか。俺もそれがどうしてついてるのか知りたいところだったんだ。俺にもわかるように話してくれないか」


「聞きたいのは私のほうですよ。起きたら羽が生えてるなんて恐怖です。私に何かしたんですか? それに、力が湧いてくるような気もします」


 やはり種としての進化を遂げたと考えるのが妥当だな。

 おめでとう、君はついに人類を超えたんだ。これからは超人類と名乗ってくれ。

 しかし、この子自信でも理解できていないとなると答え合わせは当分の間保留になるかもしれないな。俺に疑問を残させるとはやるな。


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