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14話

 突然の大声に振り返る。

 すると、俺たちのことを睨みつける男の姿があった。


「なんでてめぇみたいな薄汚いゴミが町を歩いてんだよ。俺たちの町を汚すんじゃなぇ!!」


 言っている意味がわからない。もしかして、こいつ身の程もわきまえずに俺に暴言を吐いてやがるのか? とんでもない勇気の持ち主らしいが残念ながらそれは蛮勇だ。俺に対してそんな言葉遣いをしたことを後悔させてやろう。


「おい、そこのお前もなんでそんな奴を町の中にまで連れ込んでるんだ。大方、この町に来たのが初めてなのかもしれないが、そいつらは呪われてるんだ。町に入っちゃいけねぇ存在なんだよ」


 おっと、今までのセリフはどうやら俺に向けられたものではなかったようだな。それでも、俺が連れている仲間に対してこの発言だ。許すわけには行かないな。それも、この子は俺のドタイプの子だ。悪口を言われて許すわけにはいかねぇなぁ。


「お前には関係ねぇだろうが、うるせぇんだよ」


「なんだと!? こっちは親切心で忠告してやってんだぞ。お前自身も呪われることになるんだぞ? それでもいいのかよ」


 声がでかいんだよな。

 おかげで周囲の注目が俺たちに集まってるじゃねぇかよ。またどこかで見たパターンに陥ってるな。今度はカッとなって町ごと吹き飛ばさないようにしないといけないな。この子までまきこんじまったら元も子ない。


「見ろよ。あいつなんで……」


「嘘だろ。路地裏から出てくるなんてどうなってるんだ?」


 ほらほら、野次馬が増えてきて周りが騒がしくなってきたじゃねぇか。どうするんだよこれは。


 そもそも、呪われてるってどういうことだよ。たかが、町の路地裏に住んでるだけのホームレスじゃないか。どこにそこまで毛嫌いする理由があるんだよ。大体、そこまで嫌ってるんだったら町から完全に追い出せばいいじゃねぇか。やることが中途半端なんだよ。


「すいません、やはり私が一緒にいると貴方のことを困らせてしまうみたいです。私は帰りますよ」


「気にするな。俺がなんでこいつらの言うことをそのまま利かなくちゃいけないんだよ。俺にそんなつもりは一切ない。それに、もうお前は俺の仲間になったんだ。何が合っても連れていく」


 このままじゃらちが明かない。もういっそ、この町から離れたほうがいいのかもしれない。


「ふざけなんよ。よそ者が勝手なことしてんじゃねぇ!! 俺たちがそれで被害を受けたらどうするつもりだ!! いい加減にしろよ!!」


「その通りだ。お前が呪われるのは勝手だが、俺たちにまでそれを押し付けんじゃねょ」


「とっととそいつを元居た場所に戻して来い」


 何なんだ? 路地裏には封印でも施されてんのか? 結局町の中にいることには間違いないんだから変わらないだろ。路地裏に閉じ込めておくんだったら町から追い出しちまえば早いじゃねぇか。


「もういいから黙れよ。俺に指図するな。殺すぞ」


 いけない殺すとか言ったらダメだ。本当に殺しそうになっちまう。俺は、路地裏でこそ絡まれて正当防衛で殺してしまったが、自分から殺したりはもうしないって誓ったんだ。俺にはそれくらいの理性はある。人殺しはいけないこと、先に手を出したら負けなんだよ。


「くっそ、話の通じないやつだ。もうこいつはダメだ。呪われちまってる」


「やばいって、こいつらに呪われた奴は絶対に死ぬんだ。そうなっちまったら近くにいる俺たちにも呪いが……」


 呪いがどうこううるさいやつらだ。マジでいい加減にしてくれ。枝豆を褒めてもらって良くなっていた気分が台無しだ。この恨みでこいつら殺してもいいだろうか?


「なんで、お前のことをこんなに目の敵にしてるんだ? 普通じゃねぇぞ?」


「私もわかりません。生まれたときからあの路地裏からほとんど出たことはないんです。もうずっとこうなんです」


「はぁ、それじゃ余計俺もわからねぇなぁ。この町に未練はあるか? もう俺はここから離れたくてたまらん」


「ないです。私も常々、この町から出ていきたいと考えていました。むしろ、大歓迎です」


「それなら、もう躊躇する理由もないな」


 この子がそういうんだったらもう何も問題はないだろう。この町から離れよう。ほかの町でもこの調子で絡まれるんだったら対処法を考えないといけないが、ここでだけだというんだったらここを離れれば万事解決だ。

 しかし、移動はどうしようか。瞬間移動はまだ俺自身にしか試したことがないからなぁ。ジェット機の時見たいな感じになってこの子を殺してしまうわけには行かない。そうなると、ほかの移動手段を考える必要があるな。そもそも、俺が抱えて走れば追ってこれる奴なんていないんじゃないか? もうそれが一番早い気がするな。それでいこう。


「ちょっと俺に掴まってろ。かなり早いと思うが大丈夫だよな?」


「え?」


 スッと、抱え上げダッシュを開始した。

 これは戦略的撤退だ。さらばだ。

 ぐんぐんと加速してすぐに町の壁を突き破り、外へと脱出した。俺の身体能力を舐めてもらっちゃ困るぜ。この程度のこと朝飯前だからな。


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