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13話

「俺から聞いたのにすまんが、死ぬほどどうでもいいわ。もうお前には俺についてくる以外の選択肢はないがどうするんだ? ここで死ぬか?」


「つ、ついて行きます。どうせ、ここにいたところで私はいつか餓死する運命なんです。私は自分の可能性を信じます」


 可能性が如何チャラって言うのはよくわからんが、ついてきてくれるって言うことだな。俺もようやく一人目の仲間を確保だ、正直これまで数えきれないほどの人間を殺してきたが俺はもう改心した。これからは真っ当に生きて見せるぜ。

 とりあえず、こいつの身なりをマシにするところからだな。これじゃあ、連れて歩いてる俺まで白い目で見られちまう。


「おい、まずはここから出るぞ。俺を大通に案内しろ」


「え? は、はい。こっちに進めば町の中へつながってます」


 よかった。ここで知りませんなんて言われてたらカッとなって殺しちまってたわ。こいつはつくづく運のいいやつだ。俺の扱いというものをもう理解しているというのか?


 女の後ろをついて歩ていると、言っていた通り大通に出てこられた。


「おし、やっときたねぇ路地裏からおさらばだ。まずは、お前の恰好を何とかしねぇとな」


「私はこのままでも大丈夫です。でも、何か頭から被るものがあれば助かります」


「そんなもん持ってねぇけど、それは必要なのか?」


「この髪は目立ちますから、町中を歩いているといつも絡まれて運が悪ければ捕まります」


 これも、こいつらが路地裏で暮らしていた理由の一つか。確かに、絡まれてしまっては俺が人間を殺す確率が上がっちまう。なんとか、こいつを隠しておきたいところだが、可愛いから同行させてるのに、顔を隠してちゃ何のために連れているのかわけわからんな。一応、理由の5パーセント位強いってのもあるが、あくまでもサブ要素だから女であること、可愛いことがメインだ。絡まれたら俺たちに絡んできたことをあの世で後悔させてやろう。俺に慈悲はない。


「別にいい。返り討ちにしてやればいいだけだろ。それとも、お前は路地裏に残るか?」


「いえ、ついて行きます。貴方の強さは嫌という程見ましたから、この町、いやこの世界でも貴方に敵う存在はいないんじゃありませんか?」


「わかってるじゃねぇか。俺は強いんだ。それこそ、誰も寄せ付けないほどでな。気分がいい、何か食わせてやろう」


 さっきの戦闘を見るだけで、俺の強さを理解している点は評価に値するな。

 身の程知らずの男どもは俺の実力を理解できなかったせいで全滅してるんだ。よっぽど、こいつのほうが賢い。やっぱり連れてきて正解だったな。


「私は何でもいいですから、普通の食べ物が食べたいです。お腹が……」


 ぐぅーとお腹の音でも空腹のアピールをしてくるが、顔がいいせいで凄い食べ物を恵んでやりたいという気持ちがあふれ出してくる。ほかの奴だったら不快という理由で殺しているかもしれないな。


「すいません。本当にお腹が空いているもので」


「いいさ、とりあえずこの枝豆でも食ってろ。うめぇぞ」


 俺は、枝豆を召喚して女に渡した。

 枝豆は至高の食物だ。これほどシンプルでうまいものを俺はほかに知らない。ついでに、この世界でも枝豆のうまさを布教してきたいとひそかに考えている。この世界では、枝豆を大トロと並ぶ、高級食材にする予定だからな。


「美味しいです!! これは外側まで食べられるんですか?」


 中の豆と一緒に枝豆の外側までハムハムしている光景はとてつもない癒し効果を持っていると俺が断言しよう。もちろん、こいつに限ったことでほかの奴らがしてたら、枝豆を馬鹿にすんなって殺してるところだな。やっぱり人間顔だよ。


「豆だけ食べればいいんだ。外側はとても食い物じゃないだろ?」


「え? 美味しいですよ」


 いつの間にかハムハムしていたものはかみ切って食べてしまっていた。

 こいつは本物だ。本物の枝豆ストとしてこの世界で枝豆文化を牽引していく存在になるんだ。普通初見で枝豆を丸ごとうまいなんて言いながら食いきることは不可能だ。事実、会長の俺すらそこまでのことはできなかった。精々、三食枝豆生活をしていた程度だ。次元が違うぞこいつ。


「俺は今モーレツに感動してる。お前は俺よりも格上だ。誇っていい、というか俺はもう名誉会長として退くことにした。今後はお前が会長を務めてくれ」


「えーと、わかりました。よくわかりませんがわかりました」


 これで、この世界の枝豆文化は100年分は進歩した。いつかは、俺がいた世界を追い越してさらなる高みへと至るだろう。俺はその生き証人としてこの世界で生きていこう。枝豆の布教こそ我が人生。それ以外は蛇足だ。


「お前にはもっと色々食わせてやろう。もちろん、枝豆が最高にして至高なのは変わらないだろうが、世界には他にも枝豆に匹敵するくらい美味しいものがたくさんあるんだ」


「ありがとうございます!! こんなに嬉しいのは生まれて初めてです!!」


 喜んでもらえて良かった。


「おい!! なんでてめぇみたいなゴミが町中を歩いてんだ!! とっとと消えろ!!」

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