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055 的中

『カナ選手の選択は…雷鳴(らいめい)だ!なんと、三連続で雷鳴!なんという胆力(たんりょく)っ!』




会場から、(せき)を切ったように歓声が上がった。




―――すご…。




俺だったら、絶対に変えていた。三連続とは…さすがとしか言いようがない。




『備えあれば…。』




受け入れがたい画面の表示に、歓声が感嘆(かんたん)の声に変わっていく。




「マジかよ…。」




状況が目まぐるしく変わる。




『…な…なんとーっ!トリック選手、ここも読み切っていたーっ!』




まさか三連続で読まれるとは。「雷鳴」のカットインが入り、試合終了の瞬間が近づく。ただでさえ高威力の「雷鳴」。それを倍のダメージで受ければ、カナさんのゲージは間違いなく飛ぶ。



会場の誰もがカナさんの負けを確信しただろう。(しゅん)も隣で肩を落としている。



ただ、俺はそうは思わなかった。何か理屈があるわけではない。根拠は、形容しがたい違和感のようなもの。




―――雷鳴…。




なぜ、カナさんは高威力の技を使ったのだろうか。確かに、決まれば大逆転なのだが、これはトリック選手の土俵(どひょう)だ。ハイリスクハイリターン。



カナさんは世界屈指のFPSプレイヤー。相手の土俵で戦うことの意味を、俺よりも深く知っているはずだ。とすると、「雷鳴」でなければならない理由があったと考えることが…できなくもない。




「あっ…。」




俺の(ひらめ)きに、画面の閃光(せんこう)が重なった。











『これで決ま…っと?カナ選手!なんと、ここで雷鳴を(かわ)したーっ!そしてこれは…!』




―――…カウンターッ!




『決まったーっ!大、大、大逆転っ!勝者…カナ選手!』




会場から割れんばかりの拍手、そして歓声がこだまする。まさか、俺の十八番(おはこ)がここで使われることになるとは。




「なるほどね…。」




頼んではいないのだが、俊が解説を始めてくれた。




「雷鳴は高威力なぶん、モーションが長いんだよ。モーションが長いということは、回避できる…もっと言えば、カウンターを決められる時間が長いんだ。大樹(だいき)相手にあんまり使われなくなったのも、そういう理由だし。」




言われてみれば確かに。大会前に発表されていた技の使用率ランキング、「雷鳴」は大きく順位を落としていた。まさか原因が俺だったとは。




「やっぱりすごいな…。」




反応チートである俺はともかくとして、普通、カウンターというものはなかなか決まらない。それでもトリック選手の「第六の備立(そなえた)て」をこえる手段は、カウンターしか残されていなかった。



結果まで見た時、この試合の印象は《180度変わる》。











最後、カウンターが決まる瞬間、トリック選手のゲージは残り5パーセント程度だった。裏を返せば、「第六の備立て」を除くと、カナさんが圧倒していたことになる。トリック選手の勝ち筋は、予測の三連続成功以外になかったのだ。



そして「雷鳴」という選択。ラッキーなかたちであっても、当たれば試合を決定づけることができる。おそらくカナさんは、「雷鳴」をカウンターすることに特化した練習を積んできたのだろう。



トリック選手が三連続成功を要求されているのに対し、カナさんは一回でよかった。「第六の備立て」による反射であれば、技の発動タイミングは一定。最後の一瞬、最もカウンターを決めやすい状況がつくり出されたのだ。




―――結論。カナさん、ヤバい。




俺の語()力もヤバい。

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