041 取材
取材は思ったよりもフランクな感じで始まった。緊張していた俺としては、大変にありがたい。あと、取材に来た記者さんと俊、知り合いだった。どうやら前に取材を受けていたそう。
「それではダイキさん。よろしくお願いします。まずは、優勝おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「今回が初出場ということですが、FPSを始められたきっかけなどありますでしょうか?」
嘘をつくわけにもいかないので、素直に話す。
「あの…お恥ずかしいんですが、地方大会の優勝賞品に目がくらみまして…。」
「優勝賞品…ですか?」
「はい。あ、ゲーム機です。最新の。今、売り切れててなかなか買えないやつ。」
「なるほど!では、それがFPSとの出会いだったということでしょうか?」
「レトロな格闘ゲームは少しやっていたんですけど、FPSを触ったのは地方大会のエントリーをしてからですね。」
「まだ半年も経っていないじゃないですか!すごいですね。」
「いえ…たまたま相性が良かっただけでして…。」
主に反応チートと。
「そしてやはりダイキ先生の代名詞と言えば、カウンターだと思うのですが、ずばり、カウンターのコツはなんでしょう?」
ズバリ聞かれた。実は反応チートなんです…と答えるのは気が引ける。あんまり明かしたくないというか、センシティブな部分には触れられたくない。少しぼやかそう。
「そうですね…よく見ることですかね。基本的にカウンターは後手に回るものなので、相手に集中することがコツだと思います。」
「なるほど。そんなカウンターとともに、初出場にして全国大会へと駆け上がられたわけですが、初戦から振り返って、印象深い試合などありますでしょうか?」
と、まあ、こんな感じで取材は進む。途中、俊の助け舟に救われるシーンはあったが、おおむねうまく対応できたと思う。話が結構盛り上がり、撮影開始ギリギリまで取材は続いた。
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「どうだった?初めての取材対応。」
「緊張したけど…楽しかった。ってか、俊、取材いっぱい受けてるんでしょ?話題が尽きないよね…。」
今回は初回だから良かったものの、2回、3回と受けたら、言うことが無くなってしまいそうだ。
「まあ、聞かれたことに答えるだけだからね。」
さも当たり前といった返しをされたが、それがなかなか難しい。本でも読んで、語彙力を鍛えよう。自分の考えを言語化する力は、きっと将来役立つと思う。
「じゃあ、撮影行ってくるね。」
「おう。俺は観客席でみてるよ。撮影もしなきゃだし。」
俊には撮影という大切な仕事がある。撮影で思い出したのだが、悠美さんのメールを眺めてニヤニヤしていたシーン、あれは絶対に消してもらおう。




