028 白紙
「いや、むしろ大樹自身、気づいてなかったの!?あんなカウンター、普通できるわけないでしょ!?…あ…普通、ってのは良くないか…ごめん。」
「た…確かに…。」
よく考えてみれば、おっちゃんのゲームセンターで樹立した連勝記録、あれも反応チートのなせるわざだったのだ。最初のころは、何でみんなカウンター使わないんだろう、なんてピュアな疑問を抱いていた。何だかあの頃が懐かしい。
「まあ、とにかく。大樹にはゲームの才能があるってことじゃん。前も言ったけど、今、ゲームの世界でもプロになる人たちがいて、ゲームで生計をたてられる人もいるんだ。一握りだけど。大樹、ゲームの世界もありなんじゃない?」
「プロゲーマー…か…。」
悲しきかな、将来の夢は白紙状態。こう、やりたいことが何も見つかっていなかった。そんななかで見えてきた一つの可能性。どこまでできるかはわからないが、突っ走ってみるのも悪くないか。
「まあ、厳しい世界だとは思うよ。でも…せっかくだから、ちょっとやってみたら?大樹の成績なら、勉強の方は大丈夫だろうし。あ、スポンサーは任せて!」
俊の言う通りかもしれない。せっかくここまで来れたのだ。中学生のころに部活の県大会は経験している。まあ、個人ではなく団体での出場だったけれど。いずれにせよ、全国大会までいった経験はないわけで、これが初めて。どこまでできるか、試してみるのも悪くない。
「あはは…ありがと。ちょっと真面目に考えてみようかな?」
その夜、さすがに父さんに相談した。返ってきた答えは「やってみなさい」の一言。こうしてなんちゃってプロゲーマーから、新人プロゲーマーへとランクアップすることとなった。ちなみに初めてのスポンサーは俊。東のおっちゃんもスポンサーについてくれた。
―――走り切ってみよう。どこまで行けるか…楽しみだな。




