022 対策
「あの技をカウンターなんてありえないんで、検査させてください!だったりして。」
さっき亜美との話を放り込んでしまった仕返しだろうか。何だかいじられている気がする。まあ、気を悪くすることなんてないので、とりあえず軽いツッコミで返しておこう。
「やっぱり疑っとるやん!」
華麗なツッコミを入れたつもりだが、車の音でかき消されてしまったらしい。「なんて?」みたいな表情が返ってきた。
「ま、真面目な話、対策のことだと思うよ。」
俊が突然、真顔になる。
「対策?」
「うん。だって、このまま全国大会やったら、絶対、ダイキ先生の優勝じゃん。」
さすがにそれはないと思うが、そう思う人がいてもおかしくはない。現に俺は全国トップクラスであるワシさんをノーダメージで倒してしまっている。
もちろん俺が不正をしているわけではない。ちゃんとルールのなかでプレイしているし、ルールの隙をつく突飛な戦術を使っているわけでもない。技も使っていないぶん、むしろシンプルな戦い方をしていると思う。
「じゃあ…カウンターできないようにされるとか…?」
そんなことされたら困る。いや、ゲーム機を手に入れた時点で目的は十分に達成しているのだが、これだけ注目されるなか、初戦でぼろ負けというのはちょっと辛い。
「さすがにそれはないでしょ。だって、大樹はルールのなかで戦ったんだから。システム的に変な戦術を使っている…とかなら、何か言われるかもしれないけど。」
「そうだよな。うん、堂々としてよう。」
「そうそう。まあ、コンボボーナスの廃止とかじゃない?」
FPSでは、攻撃を連続で当て続けることで、攻撃力が上昇するという特典的要素がある。確かに妥当な提案ではあると思う。まあ、俺には不利益しかないのだが、ゲームバランスというものもある。コンボボーナスがなくなれば、俺がカウンターを当てなければならない回数も増えるわけで、その分、攻撃を受けるリスクも上がる。
「カウンターの1.5倍がなくなるとかは…?」
「まあ、それもあるかもね。俺が昔やってたゲームだと、猛威をふるいすぎた技自体が消されちゃったこともあるから…。」
―――うーん…少なくとも良い話じゃなさそうだな。
「そっか…まあ、覚悟しておいた方が良さそうだな。」




