016 動画
「じゃあ、全国大会まで特訓…って言いたいところだけど、大樹に関しては練習する必要もないって感じだな…。」
「あははは…。まあ、さすがに技の動画くらいはみようと思ってる。決勝の速度強化とか、まじで知らんかったし。」
「ま、確かにね。ダイキ先生やばいから、ものすごく研究されるし、新手の対策とか絶対出てくるし。」
カードゲームなんか特にそうだと思うのだが、いわゆるティアワン、環境と呼ばれるデッキの対策をしないというのは、ありえない選択だと思う。友人間で遊ぶ分には何の問題もないし、自分の道を貫くのも一つの手だ。しかし、大会で優勝を狙うとなると、やはり対策しないわけにはいかないだろう。
自分で言うと恥ずかしいのだが、現状、俺がその対策すべき相手ということになっている。いくら地方大会とはいえ、ノーダメージで優勝してしまったのだ。しかもワシさんを倒して。聞くところによると、ワシさんは全国大会でベスト8に入ったこともある実力者らしい。全国大会出場者は128人と決まっているので、結構ハイレベルかつ有名な選手ということになる。
「多分公式でもプレイ動画が上がってるはずだから…ほら。」
俊がスマホで動画を検索してくれた。確かにプレイ動画がダイジェスト形式でまとめられている。大会が終了してまだ2時間も経っていないというのに、すごいはやさ。
「へー。あ、コメントも結構ついてる…。えーっと…一、十、百、千…?」
「ん?どうしたん?…コメントが1万件!?さ、再生数も100万回軽くこえてるしっ!」
思いっきりバズっていた。
■
『12:25~ これはチートですか…ガクブル』
『全国大会、やらなくても良いんじゃない?優勝者、もう決まってるよ。』
『日本人がFPS世界大会で優勝するときがやってまいりました!!』
『何も当たらなくてw』
『いやいや、我らがカナちゃんには勝てないさ!…勝てない…よね?』
『ワイ、この人と反対の山であることを心から願ってる。』
コメント欄も大変に盛り上がっている。俺がプレイしている部分は25秒ほどだが、既に解説動画まで上がり出しているよう。
「あら…これは。大樹、急ごう!今から編集すれば、30分でなんとかなるし!あ、本人の解説付きで上げたら…これは再生数が期待できる!」
お金…もとい、再生数に目がくらみまくった友人に連れられ、編集部屋へレッツゴー。まあ、ものごとにはタイミングというものがあるし、儲けられるときに儲けておくというのは、合理的な考え方だとは思う。契約したおぼえはないが、一応俺の専属スポンサー様らしいので、協力せざるを得ない。
―――まあ、俊だから協力するんだけど。…それにしても…解説って何を言えば?




