013 実況
―――ここで…こうっ!
『またしてもカウンターが決まったー!ダイキ選手、相手の動きを完全に読み切っているっ!』
実況さんが入ったことで、会場のボルテージが上昇中。いたるところから歓声が飛ぶ。俺もノリノリでカウンターを決め続ける。
―――読んでるわけじゃなくて…見てるんだけどね。
まあ、それはどっちでも良いことだろう。全部を読み切っていると思われていた方が、格好良い気もする。
『最後もカウンターで決着!いやー、ダイキ選手は初戦からノーダメージを継続中!異次元の強さを見せつけています!』
カウンターで決着…まあ、カウンター以外にダメージを与える手段を知らないので、当然の帰結ではある。そして全ての攻撃を回避する以上、ノーダメージも当然なのだ。
「ありがとうございました。」
次は準々決勝。ゲーム機獲得まであと3試合。ギャラリーさんから拍手をいただいたので、ペコリと頭を下げて、ステージを後にする。
『では、第二試合に移りましょう。』
大会はボルテージを上げつつ、テンポよく進む。
■
『炎陽からの…春霞一閃!…決まったー!前回優勝のワシ選手、貫禄の勝利です!』
前回優勝の方も順当に勝ち進んでいる。この様子だと、十中八九、決勝に上がってくるだろう。ワシさんのスタイルは、ガードなんてしない超攻撃型。強烈な攻撃を連続して叩き込んでくる。俺にとってはカウンターしやするのでありがたいのだが、普通に考えるとなかなかの脅威だろう。「力押し」はどんなゲームでも一定の強さをほこるのだ。
ちなみに春霞一閃とは、攻撃までの時間がランダムに設定されている剣技の一つ。このゲームにはガードがある。しかし、無限にガード状態を維持できるわけではない。その時間わずかに1秒。結果、春霞一閃はガード崩しとして大変に有効な技とされている。
―――俺にはあんまり関係ないけど…。
そもそもガード使わないし、攻撃は見てから回避する。今観戦していた感じ、特に問題なくカウンターを決められると思う。
この後、準々決勝、準決勝をノーダメージで勝ち進み、俺は決勝進出を決めた。
「ダイキ先生…やばいな。」
ギャラリーさんに「先生」という愛称を付けられた。素直にうれしい。
「無理だって、何にも攻撃当たらん。どういう予測…未来が見えてるんじゃね…。」
「まさか…未来人?」
こちらではとんでもない誤解がうまれている。まあ、本気で思われているわけではないので、スルーしておこう。
「決勝、よろしく!」
「よ、よろしくお願いします。」
ワシさんに声をかけられる。当然ながら、決勝の相手はワシさんだった。ちなみにワシさんというのは愛称のようで、本名は黒川慎太郎さんというらしい。くろか「わし」んたろう。そしてこのワシさん、とっても良い人だった。
俺がカウンターばかり使っているので、もしかしたら技の使い方を知らないのでは…と心配され、声をかけてくださったのだ。対戦するかもしれない相手、敵に塩を送ることもいとわないとは。
それはさておき、ゲーム機は目の前まできている。ちなみに準優勝でも賞品がもらえるのだが、ゲームソフト。もらえることは当然うれしいのだが、またゲーム機を探す旅に出なければならなくなる。やはり目指すはゲーム機のみ。
『皆さん、お待たせいたしました…いよいよ決勝戦です!』




