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012 現実

「おい、聞いたか?今までノーダメ完封で勝ち上がっている人がいるらしいぞ。」



目の前で俺についての会話が始まった。盗み聞きは良くないと思いつつも、気になる。それとなく近づいてみよう。



「まじで?ノーダメとかあり得るん?だって炎陽(えんよう)とか絶対ダメージ受けるじゃん。」



「いや、全部かわしてるんだって。」



そう。全部かわしてる。そして、全てにカウンターを決めた。



「まじかよ…。よし、見に行こうぜ。その人、どこで試合してるん?」



「次でベスト16だから、そろそろメインステージで始まるはず。」



ベスト16。無事に残ることができた。俊は観客席の最前列。最高の位置でカメラを構えている。基本的に撮影は許可されていないのだが、俊はちゃっかり事前に許可をとったらしい。対戦者や観客のプライバシーに配慮するかたちで、スクリーンのみの撮影だそう。



「いやー、1回戦で負けちゃったけど、そんなすごい人見れるんなら来たかいがある。」



そう言ってもらえると、嬉しい限り。


メインステージの横でスタンバイする。さすがにもう緊張はしていない。視線の先には優勝賞品のゲーム機が鎮座している。今更ながらではあるが、あのゲーム機は副賞に過ぎない。メインの賞品は、全国大会への切符だ。



―――全国大会…どんな賞品もらえるんかな…?



もう賞品のことで頭がいっぱい。何よりも、もう優勝した気分になっている。気合いを入れなおさなければ。



『ベスト16に進出されたプレイヤーの皆さん、ステージに上がってください。』




いよいよだ。




ちなみに当然と言うべきか、前回優勝の方もいらっしゃる。幸いなことにトーナメント的には反対の山。対戦するとなると、決勝ということになる。



―――まあ、ゲーム機を手に入れるためには、勝たなきゃいけないんだけど。



今のところ負ける気がしない。ここまでの戦い、当然ながらノーダメージを継続中。よく異世界転移系のアニメを見るが、俺ならば無双できると思う。カウンター戦法ならば、どんな強大な敵であっても、ノーダメージで倒すことができるのだ。



…何だかフラグを立ててしまった気がするが、まあ、異世界転移なんて現実ではありえない。



―――ん?これもフラグか…。



『では、第一試合を始めます。ダイキ選手、コウタ選手。準備をお願いします。』



さあ、目指すはゲーム機、優勝のみっ!

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