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001 反応

本作の記述(反応速度に関する部分を含みます。)には、実際の意義と異なる部分や、正確性を欠く表現が含まれています。

なぜハエを叩くことが難しいのか。


生類憐しょうるいあわれみのれいがある時代ならともかく、イライラさせられた経験を持つ人が多いのではないだろうか。これが多数の共通認識であるならば、そこには必ず理由がある。



ヒトとハエでは、脳の画像処理スピード、いわゆるフリッカー融合頻度(ゆうごうひんど)が異なるとされている。ハエはこのスピードがとてつもなく速く、世界をまるでスローモーションのように見ているらしい。


ハエを上回るフリッカー融合頻度を持つ生物ならば、容易にハエを捕まえられるのかもしれない。







「うわっ!あ…ちょっとまっ…。」



攻撃を完全に見切り、放たれた右ストレート。完璧なタイミング、完璧なカウンターがさく裂する。



―――ピロピロリーン



何とも言えない効果音とともに、プレイヤー2の体力ゲージが吹き飛んだ。レトロ感がただようディスプレイには、勝者をたたえるメッセージと、100円の投入を求める表示が並んでいる。



「よっしゃい!129連勝!」



もはやゲームを楽しむことよりも、いかにこの連勝記録を伸ばせるか、そこに重点が置かれている。もちろん世界は広い。ここは地元にある小さなゲームセンターだ。この連勝記録にどれほどの意味があるのだろうか。ただ、勝利を重ねるごとに増えていくギャラリーの数。それは俺に多幸たこう感をもたらしている。



「またノーダメかよ…どうやったら攻撃当てられるんだ…。」



「やばすぎ。まじであのカウンターはやばいって。」



大樹(だいき)先生の見えている景色は違うのか…。」



ギャラリーさんが盛り上がってくれている。しかも「先生」と呼ばれるのは初めて。(ほお)のゆるみが止まらない。


誰かの言葉にもあった通り、俺の戦術はカウンターのみ。自分から攻撃を仕掛けることは、滅多(めった)にない。


相手の攻撃をただ見切る。そしてカウンター。ただ、それだけ。

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