夢の引きこもり生活
異世界では引きこもりたい!
好きなことして過ごしたい女性が、たまに面倒臭い人達に絡まれつつ生きていく話です。
「佐藤 里奈」34歳独身。貯金なし。彼氏なし。
短大を卒業してからフリーター▷▶︎派遣と、フラフラしつつ生活してる。
20代後半に、事故で左足が少し不自由になってから始めたオフィスワークはいつまで経っても慣れない。。。
(何もかも放り出してしまいたい。)
憂鬱な気分になりつつ、何となく毎日を過ごしていた。
そんな日々の中でウイルスの蔓延により「来週からリモートワークを導入します」との上司からの指示があった。神様からの贈り物かと思ったのはしかたない。
さっさと申請を出してリモートワークの準備をしなければ!
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「食料品と日用品、あとはお菓子必須!飲み物系も揃えたいなぁ」
自宅で1人ウキウキしていると、在宅ならではの出費がかさむ。。。
そういや電気代なんかの補填はそんなにないし、自重しなきゃかなぁ。と浮かれた気分が萎んでくる。
「今月も、ギリギリかぁ」
無駄遣いもあるけど、家賃・光熱費・携帯代・通信料・食費・日用品・その他もろもろの支払いで、残るのは少しだけ。
一人暮らしで、実家も遠く頼れないとなると、副業でもしたいけど、足に障害があるから立ち仕事は厳しいし。。。
胸がモヤモヤして暗くなってきた気持ちを頭を振って吹き飛ばす。
こんなこと考えちゃダメだ!もっと前向きにならなきゃ!しっかりしなきゃ!
「あれ?」
振っていた頭を止めると、真っ白な空間にいた。
え?なんで?っと混乱しつつ頬をつねってみる。
「うん。痛い。」
「痛いだろうね。」
勢いよく振り返ると誰もいない。
混乱する頭でどうにか「誰ですか?」と声を絞り出す。
「んー。君たち人間の言うところの神様かな?」
「…かみ、さま?」
「そう。実は君たちの世界て流行っているウイルスは、別の世界のものでね。早急に対処する必要がある。」
まだ上手く現状を把握出来ない私を置いてきぼりにして話し始める。
「ウイルスを終息させる知識を持った者を送る代わりに、1人を回収する必要があったんだ。」
つまりは生贄ってこと?なんで私が?「え?私死んだ?」呆然としたまま言葉を絞り出す。
「死んではいないが、戻すことは出来ない。このまま死んで元の世界で生まれ変わるか、別の世界で生きるか、選ばせてあげる。」