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酩酊

作者: 鬼火

 酩酊の最中にあって、初めて彼は正常であった。酔わぬ彼は世間の下僕、意識の混濁の森に彷徨い込んだ一匹の狐であった。

 酔うことでしか現し得ない本当の姿。それ以外は全てが仮装の人間である。酔うことで彼は本来の自身を取り戻した、目眩しの幻想によって。

 世界が回転するであろう。しかしそれが本来的な世界の姿なのである。流転するのが世界であるのだから。

 彼は酔うことでしか自身を表現できない。それでしか自己実現し得ない。なぜならば抑圧された精神が、阿諛することによって世界の海に飛び込むという自殺であるのだから。

 彼は精神に酔った世界に氾濫する。氾濫とはいかなるものであろうか。即ちそれは、人間が人間の限界を知るということである。

 初めて彼は天才ではなかったことを知った。

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