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茶の味
蛙の入れてくる茶は毎度なぜこんなにも苦いのか。
一匹の古蛙は「私は珊瑚の親戚の恩人である」といった。
雨がしとしとと降りつける中、ぴょこと顔を出したと思えば何を言う。
井の中の蛙大海を知らずとはこのことだ。近頃この近辺の寺に密集して雨の日になると定例会のような模様しものをする蛙ども。まるで鳥獣戯画に描かれた憎たらしいカエルのような顔つきだ。
濁り茶をすすりながら我は思った。いや、蛙は大海を知っているわけがない。まてよ、なぜ、あやつらが珊瑚なんて知っているものか。おかしきことこの上ないであろう。
気づいてしまったのか、自らの無知に。なんだこの焦燥感は。
だが蛙たちが書物を読む力量などgod様は授けておられようか。
蛙など雨の音に合わせて独り言を抜かしていればよいのだ。