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異世界で料理人を命じられたオレが女王陛下の軍師に成り上がる!  作者: すずきあきら
第五章 ベジタリアンの濃厚メニューと、新たな敵
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10 来援

ちとネタバレなサブタイトルですが、

お読みいただいてお確かめください(^-^;


「弓隊、下がって! 投石を……ううん、鑓を!」


 アイオリアが迷う。

 そのいっしゅんの間にも、戦況はいっきにリュギアスに不利に傾く。


「ダメだ、もう混戦になっている! 四、五人をひとまとめに、剣で戦う部隊を作って……」


 しかし衝太郎の指示も間に合わない。

 兵の足りないリュギアス側は、弓や投石、鑓といった各部隊も、すでに二割から三割の損害を受けていて、想定した攻撃力を出せていない。すると損害がさらにかさみ、攻撃力の減衰に繋がるという悪循環だ。


(予備の兵はもう使い尽くした)


 城壁を守っている部隊からも兵を抽出している。

 市門を開けて敵を誘い込む戦術を始めてから二時間。五度にわたるフィレンツァ軍の攻撃を退けたが、


「もう、限界よ! 衝太郎!」


 アイオリアが叫ぶ。そのとおりだった。

 だが、


「また……来る!」


 六度目の攻撃が来る。市門の幅いっぱいに、二百名以上の敵兵が盾を前に押し立て、勢いよく突進して来た。


「投石! それから鑓だ!」


 続けて衝太郎が指示する。だが、


「もう石がないわ!」


 前回の敵を退けたあとの、石を回収するのが間に合わなかった。


 舗装の石畳や、壁のレンガも剥がして投げつけているのだが、一度投げるとレンガは割れ、威力が半減する。

 それでも、ある分だけでも投げつけるが、


「あいつら、上にも盾を!」


 密集した敵兵は、右腕にも小さな盾をつけていた。それをいっせいに頭上にかざし、投石をふせいだのだ。


「鑓兵を……きゃぁっ!」


 左右から鑓隊を繰り出そうとしたアイオリア。しかしその命令が途中から悲鳴に変わったのは、敵が分裂して突きかかってきたからだ。

 投石が終わったと見た敵は、前と左右の三つの集団に分かれると、垂直に立てていた鑓をかまえ、逆に突進して来る。


 これに対する、リュギアスの鑓隊。

 隊列を組んで槍衾を作り、防ぐのがセオリーなのだが、もう数が減っているうえ、何度もの戦いで疲弊し、鑓をまともにかまえることもできない。

 そのうえ、攻撃いっぽうで防戦の隊形ができていなかった。


「鑓隊が崩れるぞ!」


 一線を形成している鑓隊が崩れれば、もうまとまった正規兵はなく、市民兵がバラバラに剣で戦うくらいしかない。


 こうなると、市内に引き込んだ作戦が裏目になる。

 そのうえ、


「南の城門が突破されました!」


 さらに絶望的な報せが、伝令からもたらされた。


「くそ! こっちへ攻撃を集中していたわけではなかったのか!」


 歯噛みする衝太郎。

 いずれは来るとわかっていたが、それまで市門を開いて誘い込み、敵を撃退しつづければまだ勝機はあると信じていた。

 それが、


(同時に崩れるとは、な!)


「どうするの、衝太郎!」


 とアイオリア。その表情はもう助けを求めるせっぱ詰まったものだ。


「市門を閉ざせ! いったんこっちを閉めて、南の城壁に!」


 しかし衝太郎の指示に門の閉めようとするも、なだれ込んで来る敵の後続に押されて適わない。

 衝太郎とアイオリアの眼前でも、守備陣が崩壊しつつあるのがはっきりと目に見えて来た。


 すでに陣形、隊形はなく、逃げ散る兵も出始める。


「衝太郎、もう!」

「うん。館へ下がる。館へこもって、なんとか」


 数日、いや、一日、もたせられるか。

 東の砦の部隊が到着して、それで挽回できるのか。


(できる……いや、やらなければ、アイオリアをオレが守るんだろう?!)


 自問しながら、アイオリアの手を引いて館への道を急ごうとした、ときだ。


「きゃぁあああっ!」


 アイオリアの悲鳴。

 不意に現れた敵兵が剣で斬りかかって来た。味方の護衛兵はいつのまにか離れてしまっている。そこを衝かれた。


「アイオリア!」


 とっさに叫ぶ。だが剣も鑓も持たない衝太郎にできるのは、


(逃げる……いや!)


「逃げるか! とりゃぁああああ!」


 体当たり! と、そのとき。


「うぐっ!」


 うめいて、敵兵が崩れた。

 いっしゅん、なにが起きたのかわからなかった。

 護衛の兵が戻って来たのか、と思う。回りを見る。すると、


「なんだ? 押してるぞ。こっちの兵が……!」


 違う。味方が押しているというより、敵兵が潮が引くように後退していく。いやもっと、算を乱して逃げ帰っていくのに近い。


「どうなったの? 援軍が、東の砦の兵が来たのね!」


 アイオリアが歓喜の声を上げる。


「いや、違う。違うぞ、あの旗は……!」


 開け放たれた市門の向こうに見える。

 黒に赤の三角旗。

 つけられた黄色いリボンが何本もなびいている。


「あれは……」

「ドルギアの旗? まさか……」

「ケルスティンが?」


ようやく援軍が!

ヨカッタ(´▽`)

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