座敷童のお子様がふつーな女子高生ライフを送る話
好きなことをあまり深く考えず好きに書いてみました。
短編で終わる予定ですが、感想とか評価とかで反響が大きいようだったら連載考えようかなぁ……
私はどこにでもいる高校一年生の女の子。名前は吾妻亜衣っていいます。
同年代と比べて身長が小さい以外特にこれといって特徴の無い私はいたって普通の女の子です。
ただちょっとだけ普通じゃない点を挙げるなら、人間の父と、座敷童の母親をもつ最近流行のはーふの女の子というやつでしょうか。
今日はそんな私の普通の一日を紹介しましょう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ジリリリリリリリ!!
朝六時。目覚ましの音と共に私は目覚めます。
昨日はテレビドラマをみて少し夜更かししてしまったので、決して気持ちのいい目覚めではありませんし、あと五分だけ寝ていたいという誘惑に駆られますが、残念なことに今日は平日。
勤勉な女子高生である私は学校に行かなければいけないので起きないといけないのです。
「あと五分、寝ててもいいのよ~」
私の耳元で甘い囁きがしました。
振り返ってみると、私には無い二つの柔らかそうな双丘が……
「おはようございます。さくらさん」
そこには薄い生地で仕立てられた和服を胸元だけはだけさせた枕返しのさくらさんがいました。
この人も困ったもので、毎晩毎晩私の寝ている間に枕を足元に持っていってしまうのです。おまけにさくらさんは「枕の代わり~」とのたまいながら寝ている私の頭をさくらさんの体に乗っけてしまうのです。
いやべつに寝心地は悪くないのでそこまで不満は無いのですが、目覚めたとき目の前がおっぱいで埋め尽くされているというのもなかなか複雑な心境です。
「亜衣ちゃん、あと五分寝ていかないの~?」
「私はこれでも優等生しているので、あと五分の誘惑に負けて遅刻するわけには行かないのですよ」
「あら~、残念だわ~」
私は畳に敷かれた布団を背に、お母様の作った朝食を食べるべく居間へと向かいました。
二階から階段を下りて居間へ向かうと、未だパジャマ姿の私を出迎えてくれたのはお母様の作った色とりどりの朝食でした。
ホッカホカのご飯に、澄んだ色のお吸い物。鮮やかな黄色をした卵焼きに、ほうれん草のおひたし。どれもおいしそうです。
「おはよう亜衣ちゃん♪」
台所から、私のお母様が出てきます。
エプロン姿のお母様は、座敷童だけあってとっても小さいです。その血を半分引いている私は身長が大体130センチなのですが(サバなんて読んでいません。当然四捨五入して切り捨ててますよ。ええ、小数点以下一ケタを)お母様は120センチ程度。私はまだ高校生なのでもう伸びないお母様と違って身長はもう少し大きくなるはずです。
お母様はその精神性も体に引きずられているのか、言葉遣いから仕草までとても子供っぽいです。
「ご飯できてるよっ。食べよ」
早くしないと冷めちゃうよ。と私を椅子に座らせます。こんなに小さいですが、父を早くに亡くし女手ひとつで私を育ててくれた尊敬できるお母様です。
ずずず。
私はお吸い物をすすります。ほっとする味です。
昔、私がまだ小さい頃のことですが、お父様のことをお母様に聞いたことがあるのです。どんな人だったのですか? と。
そのときのお母様はいつもの子供っぽい表情ではなく、どことなくダークな空気をその身に纏って答えてくれました。
「お金よ」
と。
私は幼いながらに「ああこれはきいちゃだめなことなんだ」と理解しました。
正直あのときのお母様は私のトラウマです。ほんと何があったんでしょう?
朝食を食べ終えて部屋に戻ると、私の布団でなぜかさくらさんがすやすやと寝息を立てていました。これでは布団が片付けられません。
まあどうせお母様に怒られるのは私ではないですし、ほうっておきましょう。
そのままなのもなんとなく癪だったので、さくらさんの頭の下の枕を足元に持っていってあげました。枕返しが枕を返されるというのも、なかなか皮肉っています。
これに懲りて、明日から私の枕を奪わないでくれないでしょうか?
枕を取られたにもかかわらず口からよだれをたらして気持ちよさそうに寝ているさくらさんの横で私はパジャマから高校の制服に着替えます。
ブレザータイプの制服は私はあんまり好きになれません。せっかくの女子高なのだから、もうちょっと可愛い制服にしてくれても良かったんではないでしょうか?
私は鏡の前で身だしなみをチェックします。
よし、完璧です。
学校に着きました。教室の扉を開けると、風紀委員であるイギリスからの留学生のエリーさんが扉の横に立っていました。
今日はどうやら抜き打ちの服装チェックの日のようです。
「おはよう亜衣」
「おはようございますエリーさん」
屈託の無い笑顔であいさつするエリーさん。スタイル抜群のぼんきゅっぼんで、私だけでなく多くのクラスメイトから羨望の視線を集めています。
そんなエリーさん、実はサキュバスなのです。
ひょんなことから私はそれを知ったのですが、そのことよりも未だに妖怪の存在さえも一般に浸透していないこの世の中、しかも外国からそんな方が来ているという事実の方に驚きました。
しかもここは女子高です。
サキュバスというと、男の精を搾り取る悪魔として伝えられていますが、エリーさんいわく別に女の子でも問題ないそうです。精そのものではなく、エッチな感情が必要なのだとか。
エリーさんは「私も女の子が好きなので問題ないデース」といっていました。
学校内でも女の子によくラブレターを貰ったりしているので、ご飯には困っていないのでしょう。
私は小さいからかエリーさんにはよく子ども扱いされていたのですが、彼女がサキュバスという事実を知ってからはそんなことは無くなり、一人の普通の女の子として接してくれています。
私の苦手な数学と英語も嫌な顔せずに、むしろ見ているこっちが気持ちよくなるような笑顔で教えてくれるのです。
良い人ですね。
きーんこーんかーんこーん
放課後です。
帰宅部の私は特にこれといってすることが無いのでまっすぐお家に向かいます。
帰りがけ、見知った顔に出会いました。
あれはウチに居候している、貧乏神の千尋さんではないですか。右手にわたあめ、左手にヨーヨー、頭にはなぜかひょっとこのお面をつけています。この近くではお祭りやっていなかったはずですが……またどこか遠くへ行っていたのかもしれません。彼女はありえないくらいに方向音痴なのです。
千尋さんはお母様と昔からの親友らしいのです。類友ですね。
そして貧乏神なのになぜか大金持ちでもあります。そんな彼女ですが、私はいつも疑問に思うのです。お金があるのに、どうしてウチの居候なんかをしているんでしょう?
「あら? 亜衣ちゃんじゃない。やっほー」
千尋さんも私に気付いたようで、手を振って近づいてきます。ヨーヨーがばいんばいんです。
千尋さんのお胸もヨーヨーに負けないくらいばいんばいんです。
「こんにちは、千尋さん。こんなところで何してるんですか?」
「うん? なんとなく歩いてたらここにいたの」
「あいかわらずですね。今回は一週間くらいですか? 家に帰って来れなかったの」
「大体それくらいかな? 楽しかったー」
にっこりと笑って語る千尋さん。
この人は間違いなく自分自身の気付かないうちに大冒険を終えて帰ってくるタイプの人(?)ですね。
「いつも思うのですが、わざと迷子になってるわけじゃないですよね?」
「そんなわけ無いじゃない。第一……あっクレープ屋さん。おいしそうね」
ふらふらと千尋さんは歩いていってしまいます。
「ちょっと待ってくださいよ」
「私チョコ。亜衣ちゃんは?」
「あ、この前服とか買っちゃってお財布が厳しいので……あ、これおいしそう。イチゴ一つ」
また、お財布が軽くなってしまいました。
千尋さんがあんまりおいしそうに食べるからついつられて買ってしまいました。
貧乏神、恐ろしいです……
家に帰って、まずはシャワーを浴びます。
今日は体育が合ったので汗をかいてしまいました。
誰かが気を利かせてくれたのか、浴槽にはお湯が張ってあります。
有難くいちばん風呂をちょうだいしましょう。
かぽん。
もわもわ。
うっふーん。
私だって女の子です。だからお風呂シーンは音声だけでお楽しみを。
最後のは忘れてください。どうせ私はロリ体型です。
「あー、良いお湯でした」
お風呂から上がると、誰かが私にバスタオルを差し出してくれました。
いったい誰でしょう? 気が利いていますね。
「亜衣ちゃんprpr」
あぁ、家のお風呂にすんでいるあかなめのかなちゃんですか。
彼女は一年中お風呂場にひきこもっていますからね。顔も日焼け後などまったく無い真っ白です。
ただ、私の入った後のお風呂をぺろぺろするのは正直なところやめてほしいです。あかなめだからしょうがないとはいえ、せめて私の見ていないところでやってほしいですね。
ですがかなちゃんは舐めたあとはちゃんと綺麗に洗っているので、かなちゃんのおかげで家のお風呂はいつも綺麗なのです。
気分はぬっとぬとですが……
「亜衣ちゃんの全身prprしたい」
「prprハスハスは浴槽だけにしておくのです」
私は興奮で顔を真っ赤にしたかなちゃんの頭にずびしぃ! とチョップを決めます。今日のはいつもより綺麗にはいりました。かなちゃんの身長は私よりも高いので大抵はあんまり綺麗に入りません。だからちょっとだけ気分が良いのです。
「prprはするけどハスハスはしてないよぉ」
涙目のかなちゃんは華麗にスルーです。
夕飯はカレーとハンバーグでした。お母様の大好物です。
ですが私には一つだけ不満があります。
もう三日も同じメニューなのです。つくってもらっておいて不満もアレなのですが、流石に飽きてきました。ですが家の台所の実権はお母様が握っているので口は出せても手は出せません。
以前に貧乏神の千尋さんが「カレーは飽きた」といって勝手に冷蔵庫からいろいろ持ち出して台所で料理を作っていたのですが、お母様に見つかりそれはもう口に出すのもはばかられるほどの酷い目にあっていました。
こんな感じに私の一日は終わります。
夕飯を食べてから就寝までは、ごろごろしたり、勉強したり、テレビ見たり、かなちゃんにprprされたり、お母様と遊んだりと、普通の女子高生らしくしています。
私の普通な一日はいかがだったでしょうか?
普通ですよね。ええ普通です。物語なら完璧なモブキャラです。
気付けばもう10時、普通な私はもう寝る時間です。
でわでわ、おやすみなさいzzz。
個人的にお気に入りはサキュバスとあかなめです。
当初予定していたトイレの花子さんは未登場。
女の子のトイレとか描写したら怒られそう……