プロローグ1~とある絵本の話 ~
絵本・白騎士シリーズ 第77巻
【白い騎士と闇の王】
とあるお城に一人の蒼い装飾の入った真っ白な鎧を着た騎士がいました。
その特徴的な見た目から、みんなは騎士のことを白騎士と呼びました。
白騎士はとても強く、剣を一振りすると魔物たちがまるで木の葉のように吹き飛び、盾を構えればどんな魔物の攻撃も防ぎました。
ある日、お城に魔物の大軍が攻めてきました。
その姿はまるで大きな闇のようでした。
お城の兵士たちは一生懸命魔物と戦いましたが止めることができませんでした。
魔物の大群の中にとても強い闇の王がいたからです。
傷ついた人々は白騎士にお願いしました。
「助けて、助けて!」と。
白騎士は大きな声を上げると闇に向かって突進していきました。
白騎士の剣がピカっと光ったかと思うと闇はまるで光に照らされたかのように次々と消えていきました。
みんなはもう大丈夫だと安心しました。
しかしそのとき、闇の王は白騎士を倒すために残った魔物を食べて巨大化してしまいました。
白騎士は戦い続けてとても疲れていましたが闇の王に向かって最後の力を振り絞り剣を振り下ろしました。
ドドドーン!
大きな音を立てて闇の王は倒れました。
白騎士は無事にお城を守ることができたのです。
これで、お城の人々が魔物に襲われることはありません。
お城の人々はたいへん喜びました。
ですが、そこに白騎士の姿はありませんでした。
白騎士は闇の王との戦いでとても大きな傷を負っていたのです。
みんなが喜ぶ姿を遠くから見て、白騎士は安心した顔でひとりでそっと眠りにつきます。
白騎士は夢を見ました。
夢の中で白騎士は、こことは違うどこか別の場所で知らない人達と楽しく笑い合う自分の姿を見るのでした――。