グリモの魔導書
ここまで読めた君たちを理解できないやつが悪いんだ。
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――森 ?月?日 PM.00:12
初花「あいたたた……ここは……森?」
初花「ええと、あの黒ずくめの持ってた銃の弾丸がかすったと思ったら世界が反転して」
初花「……とりあえず、一哉と有紗ちゃんを探しましょうか」
ドラゴン「グルルルルル……」
初花「これは……本物のドラゴン?」
ドラゴン「ギャース!」
初花「なるほど、私も異世界に来たってことね」
初花「逃げましょう」
ドラゴン「ギャース!」
初花「私はあなたの相手をしてあげられるほど丈夫じゃないのよー?」
ドラゴン「ギャース!」
初花「わかるわけない……か」
??「シャイニングストライク!」
初花「一哉?でも今の声はどう聞いても女性だし……」
??「ふぅ、大丈夫ですか?」
――ヤタカ王国宮殿内 PM.00:04
一哉「なんだここ」
兵士1「貴様!どうやってここに侵入した!」
一哉「また異世界か」
兵士2「答えろ!」
一哉「気がついたらここにいた」
兵士1「真面目に答える気がないようだな」
一哉「おいおい、その物騒なものしまえよ」
兵士2「黙れ!」
一哉「答えろと言ったり黙れと言ったり、なんなんだアンタ!」
兵士1「うるさいガキ!今すぐ灰にしてくれる!」
一哉「うわっ!火?」
兵士2「魔法も知らない田舎者か。なら仕方ないな」
兵士1「貴様を牢獄へ連行する」
一哉「はいそうですかってなるわけねぇだろバーカ!」
兵士1「ほぅ、我々二人を相手にするつもりか」
一哉「へっ、銃の試し打ちでもしてみるか」
??「そこまでよ!」
一哉「誰だ!」
兵士1「じょ、女王様!」
??「貴方、面白いものを持ってるじゃない」
??「私と戦って勝ったら見逃してあげるわ。負けたら言うことを聞きなさい」
一哉「ああ!いいだろう!」
??「貴方たちは下がっていいわ」
兵士1「はっ!」
兵士2「はっ!」
??「さぁ、はじめましょう。破壊と暴力のパジェントを!」
――グルトン王国 PM.00:13
洋「ついたぜ」
有紗「お、おぉ……これは紛れもなく異世界!ファンタジーにありがちな世界!」
洋「ああ、俺のいた世界もこんなだったかな……」
文(確かにこの世界に二人ともいる。どっちもまだ大丈夫そうだね)
有紗「じゃあ早速迎えに行こう」
文(ここからなら初花のいるほうが近いかな)
洋「どこにいるかわかるのか」
文(一応この世界全体を把握してるよ)
文(初花が西に10キロ、一哉が東に40キロってとこだね)
洋「状況もわかるか?」
文(初花はドラゴンから逃げてて、一哉は宮殿かなんかで幼女と戦闘中)
有紗「一哉の状況が理解できないけど初花ははやく助けに行かないと」
洋「そうだな。移動するのに時間をかけてられないな」
有紗「ちょっと!なんで私を背負うのよ!」
洋「しっかり捕まってろよ!」
有紗「きゃああああああああああああ」
――森 PM.00:21
初花「あなたは一体……?」
??「ええと、なんでそんなに警戒されてるんでしょうか」
初花「そうね、助けてもらったんだから礼を言うのが当然よね。ありがとう」
??「あ、はい。どういたしまして」
初花「で、アナタは一体何者?」
ハル「えっと?ああ、私はハルといいます」
初花「私は初花よ。そうじゃなくて、アイツと同じ技でドラゴンを倒すなんて……いや、いいわ」
ハル「???」
初花「私、道に迷って困ってるの。出来れば街までの道案内をお願いしたいのだけれど」
ハル「はい、いいですよ。お任せください」
――ヤタカ王国宮殿内 PM.00:21
一哉「オウッフハァァァァーーーン!」
??「面白い魔法だったけど、戦い方がなってないわね」
一哉「チクショウ!この俺が負けただとっ!?」
??「今までどんな敵と戦ってきたか知らないけど、そんなゴリ押しなんて……っ!?」
一哉「どうした?」
??「いえ、何でもないわ」
??(今のは……?前にもこんなことがあったような……)
一哉「じゃあ俺はこれで」
??「待ちなさい」
一哉「え?なんだって?」
??「貴方が負けたら何でも言うことを聞く約束よ」
一哉「知らんな」
兵士1「あっ!窓から飛び降りた!」
??「まぁいいわ。レイニー」
レイニー「ただいま留守にしております。ピーと言いますので金庫の鍵の在処と暗証番号をお話し下さい」
??「さっきの男を追いなさい」
レイニー「面倒くさいのでお断りします」
??「そろそろ怒るわよ?」
レイニー「はいはい、行けばいいんでしょ?行けば」
??「貴方最近態度が悪いわね」
レイニー「そうですか?いつも通りですよ?ユキちゃん」
ユキ「ユキちゃん言うな。……昔はこんな子じゃなかったはずなのに」
レイニー「それじゃ、行ってきます」
――森 PM.00:24
洋「おい、大丈夫か」
有紗「アンタ一体何者よ!どうやったらそんな速度出せるのよ!」
洋「別にそんな全力なんて出してないぞ?」
文(なかなかに規格外だね、君)
洋「そうだなっとぉ、見つけたぞ」
有紗「初花!と知らない人」
初花「有紗ちゃんと……誰?」
ハル「あ、知り合いの方ですか?私、ハルといいます。初花さんが迷子で困っていたので一緒についていました」
初花「まぁだいたいあってるし、その説明でいいわ」
有紗「私は有紗だよ!よろしくね!!」
洋「俺は暁洋。よろしくな、ハルさん、初花さん」
初花「知ってるなら自己紹介は省くわ、よろしく。ところで何者なの?」
洋「昔は異世界で魔王とかやってたけど、今は異世界を旅するヒーローってとこかな。」
ハル「異世界?……っ!?」
初花「わけがわからないわ。ん?ハル、どうしたの?大丈夫?」
ハル「え、ええ。ちょっと眩暈がしただけで、大丈夫です」
洋「……成程ね。そちらの人が体調悪そうだし、ここで少し休むか」
有紗「え?一哉とも早く合流しようよ」
洋「あいつなら大丈夫だろ。会ったことはないが、チート異世界主人公なんだから」
初花「確かに大丈夫そうではあるけど」
ハル「いえ、私は大丈夫ですから。急いでいるならそちらに向かった方が」
洋「俺の背負ってるこいつも体力の限界が来てると思うぜ?初花さんもな」
有紗「そりゃあ疲れてるけど……」
初花「……そうね、少し休みましょう」
有紗「いいの?」
初花「休むべきよ。特にあなたは」
ハル「いいのでしょうか?」
洋「いいって言ってるんだから休むべきだぜ」
――ヤタカ王国城下町 PM.01:32
一哉「困った。実に困った」
一哉「街を見たらわかる。今回は完全にファンタジーな異世界だ」
一哉「いや、あいつが使ってた魔法っぽいものの時点で気づくべきだったな」
一哉「そしておなかが減った」
文(一体誰と話してるのさ)
一哉「おぅ、やっと出てきたか」
文(一人でも大丈夫そうだけど様子見にね)
一哉「ところで有紗は?」
文(西に50キロほど行ったところにある森の中で休んでるよ。この世界の人間と初花、謎の異世界人も一緒)
一哉「なんで初花がいるんだ?謎の異世界人って誰だよ……」
文(それは私も知りたい)
一哉「とりあえず西に行けばいいんだな?」
文(う……そう……あ…………こえて……も……し)
一哉「おい、何言ってるかわかんねーぞ」
一哉「慈乃?文ちゃーん?」
一哉「まさか会話ができなくなった?」
一哉「どうすんだよ!どうしろってんだよ!」
??「西の森を目指せばいいんじゃね?」
一哉「そうか!ってあんたは?」
うどん「僕は……そうだね、うどん太郎とでも名乗っておくよ」
一哉「おいしそうな名前だな!」
うどん「そんなことより気をつけたほうがいい」
一哉「???」
うどん「慈乃は君を利用することしか考えてない」
一哉「なんだって!?それは本当かい!?」
うどん「ああ。初花って子を巻き込んだりしたのもアイツだ」
一哉「慈乃の奴!ぜってぇ許さねぇ!」
うどん「アイツの言うとおりに動くといずれ大変なことになる」
一哉「大変なことって?」
うどん「ああ!」
うどん「今君に伝えるべきことはこれぐらいだ。また会おう」
一哉「ああ、またな」
一哉「って、なんなんだアイツ。でも慈乃はぜってぇ許さねぇ!」
はい、はるは大丈夫です。